ネパールにあるチベット仏教の聖地ファルピンの仏教美術を訪ね歩く旅

ネパールでチベット仏教美術を多く見ることが出来る場所はスワヤンブナート、ボダナート、そしてカトマンズ郊外にあるファルピンだ。

ファルピンはチベット仏教の開祖グル・リンポチェが瞑想した洞窟がある場所でチベット人やネパール仏教徒の聖地だが、そんな場所だけあってゴンパ(チベット仏教寺院)が沢山あるのだ。

ゴンパは信仰の場所だが美しい壁画や仏像が沢山あり、チベット仏教美術の粋を集めたような極彩色の寺院で、ボクのような仏教の絵を描く人間や仏像好きの人間にとっては最高の場所だろう。

【チベット仏教の聖地】

ボクはそんなチベット仏教美術があるゴンパが好きでチベット文化圏各地を訪ねているが、特にネパールは好きでゴンパが多いスワヤンブナートやボダナートはネパールの中でも好きなエリアだ。

特にチベット仏教の聖地ボダナートはゴンパが20以上もあり以前タンカ(チベット仏画)を3か月修行した場所としてボクの想い出の地として心に焼き付いている場所だ。

■ボダナートのゴンパ一覧はこちら

『チベット仏教の聖地ボダナートの寺院一覧表』行き方・注意点のまとめ

 

ボクはそこ以外にもゴンパが多い場所が無いかと探した所、ダクシンカリ近くにあるファルピンにゴンパが沢山あるという情報を手に入れ、タメルからタクシーで1時間走り抜け、チベット仏教の聖地ファルピンに到着した。

 

タルチョーがはためくグル・リンポチェが瞑想した洞窟の下にはチベット寺院があり洞窟を見学した後、美しいチベット美術である壁画や仏像を拝観すべく寺院内に入ってみた。

 

薄暗い寺院内にはゴンパお決まりの四天王と六道輪廻の壁画が描かれ、数人のネパール人達が談笑していた。

因みにチベット寺院に四天王の壁画が描かれるのは四天王が持っている意味、東西南北を守護する存在として描かれているのだ。

【聖地を護るチベット仏教の神々達】

四天王の壁画がある小部屋の奥にはグル・リンポチェの金ピカの仏像があり天井には幾つもの曼荼羅が描かれ、それはとても美しいものだった。

 

その後、階段隣にあるチベット寺院に行くと僧侶達のお勤め最中で、まるで宗教音楽のような読経が辺りを包み込んでいた。

 

彼らが読経している部屋の隣にも小さな部屋があり、そこにも美しい壁画が沢山あったがボクは他のチベット寺院で見ることが出来ない意外な壁画が目に止まった。

 

それは何人ものヨーガ行者が描かれた壁画で、小さく描かれたそれらは様々なヨーガのポーズをとり、見ていて面白いものだった。

ヨーガ行者というのは、つまり悟りを開く為に修行している人達で悟りを開く為に修行している僧侶達がいる寺院が持っている意味としても、この壁画は寺院に相応しいものだと思った。

 

また奥には赤い身体をしたアミターバ(阿弥陀如来)という仏が本尊として祀られていてボクの事を見守っていた。

■阿弥陀如来についての記事

アミターバとアミターユス『二つの阿弥陀と浄土世界の真実』

この他にも緑ターラ菩薩等のチベット仏教の神々の壁画が壁一面に描かれ、本尊隣にはダライ・ラマの写真が堂々と掲げられていた。

 

この二つのチベット寺院には美しい壁画や仏像がありボクとしては満足だったが直ぐ隣にあるゴンパにも何か引きつけるものがあった為、行く事にした。

 

そのゴンパには巨大なストゥーパ(仏塔)があり細かな装飾に白亜の仏教が土手も美しかった。

 

そのストゥーパがあるゴンパの本堂は堅く鍵が閉められ中に入る事が出来なかったが、本堂前の壁には四天王や六道輪廻の壁画、そしてハヤグリーヴァ、ヴィジャヤの壁画があった。

この鬼のように見える尊格は東方と西方を守護する存在として四天王と同じようにゴンパに描かれるテーマの一つだ。

 

 

因みにハヤグリーヴァは和名で馬頭明王と訳され、日本では馬頭観音として信仰されている。

 

ボクはこういうゴンパごとに違う壁画を見るとゾクゾクする。

 

同じテーマでも描き手が違うからゴンパごとに壁画が細かかったり、荒かったり壁画一つ一つに微妙な違いがあり絵師として描き手の表現方法は勉強になるからだ。

*写真はボダナートで最も色鮮やかな壁画があるゴンパだと思っているShelkar Gompa

 

因みにチベット仏教の神々に興味のある人はこちらの記事を読んで欲しい。

チベット仏教における仏達の種類『代表的なチベットの神々とは?』

【山あいの村シェスナラヤン】

ファルピンのゴンパを見学した後、グルリンポチェが瞑想した洞穴があるシェスナラヤンのゴンパ群に行ったがゴンパの堅く門が閉まっていたり、壁画があったと思われる壁が奇麗に塗りつぶされていたりして、チベット仏教美術を見るという点では残念だったがシェスナラヤンはのんびりとした場所で城のような巨大なゴンパが幾つもある風景は土手も綺麗で、行った価値はあったと思った。

ボクはシェスナラヤンに行った後タメルまで戻ったがスワヤンブナートやボダナートとは違う自然に囲まれたゴンパ群の風景は今でもボクの心に残っている。

ボクはこのネパールでチベット仏教美術を求める旅を通して思ったのはファルピンのように混沌としたカトマンズから離れた場所にもチベット仏教の聖地があり、そこにも美しいチベット仏教美術が沢山あった事だ。

 

 

もしかしたらファルピン以外にもゴンパが沢山ある聖地があるのかも知れない。

 

 

そんな地元住民しか知らないようなガイドブックにも載らない場所があれば行ってみたいし、ネパールというのはいつ来てみても奥が深いなぁ

 

 

と思うのであった。

 

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