ネパールのチベット仏教の聖地ボダナート(現地発音ではボダ、ボウダナートとも)には20を超えるチベット仏教寺院ゴンパが点在し、チベット美術の粋を見ることが出来る。
ボクはネパールに観光をする人たちの為にボダにあるゴンパを出来るだけ多く紹介しようと思う。
【チベット仏教の聖地ボダナート】
ネパール最大の仏塔があることで有名なボダだが悲しい事に2015年のネパール震災で仏塔は倒壊し、かつてのハルミカ(世界を見通す目ブッダ・アイが四面に描かれた部分)は無くなったがその後再建し現在は元の状態になっている。
ボクはチベット仏画タンカの修業の為ボダに訪れ、この地で3ヶ月住むことになったがボダは朝と夕方になると巡礼者達でごった返し、各ゴンパで宗教音楽がなっていたり祈りをささげるチベット人達やネパールで少なくなった五体投地を行う巡礼者の姿をたまに見ることが出来、ボダが最も輝く時間帯とも言える。
ボダには中国共産党による侵略で亡命を余儀なくされたチベット人達が多くいるが、彼らのおかげで世界最大ともゆうべきゴンパ密集地域が誕生したのだ。
【仏塔回りのチベット寺院】
ネパール最大の仏塔の周りには旅行者が必ず目にするだろうゴンパが四つあり、それぞれチベット仏教主要宗派からなっている。
その主要宗派とは・・
●ニンマ派
●ゲルク派
●サキャ派
●カギュ派
の事だが宗派を説明すると長くなってしまうのでボダのゴンパを紹介しようと思う。
因みにチベット仏教における4大宗派と成立についてはこちらの記事を読んで欲しい。
【Buddha ahan ghuti Gompa】
ボダの中で恐らく最も解放的だと思うこのゴンパは確認出来る資料がないがニンマ派の寺院であり、密教をチベットに広めたチベット仏教の祖とも言うべきパトマサンヴァパ(グル・リンポチェ)を祀っていることで有名だ。
宗派の事を少しだけ言うとパトマサンヴァパがチベットに埋蔵した身ずらの教えを後に発掘した宗派の事をニンマ派と言い、この宗派を元に様々な宗派が誕生していったのだ。
それはさておきこのゴンパの3階にはパトマサンヴァパを祀った祖師堂があり、3階から見渡せる仏塔は何とも美しく、寺院に描かれている壁画も繊細で綺麗に残っている。
それと個人的な事を言うとゴンパのシンボル、ダルマチャクラ(金色の六道の輪、意味は仏法の教え)が間近に見られる貴重な場所でもある。
【サムテリン・ゴンパ】
木々で生い茂っているゲルク派僧院サムテリン・ゴンパではよくごま業が行われていたり僧侶達による問答修業をしている風景を見ることが出来る点だ。
ただこのゴンパを訪れるにあたり注意してほしい事が一つ・・
鳩によるフン害だ!
ボダは鳩が多くサムテリン・ゴンパ内に木々が生い茂っている事もありゴンパ内が鳩のすみかのようになっているからフン害に注意して見学してほしい。
【ツァムチェン・ゴンパ】
ボダ入場ゲートから左回りに回るとすぐ近くで目に止まるサキャ派のゴンパだ。
日中行くと鍵がしまりゴンパ内に入ることが出来ないが朝夕方に門があき入ることが出来る。
このゴンパの大きな特徴は他のゴンパと違い四天王が彫刻で表現されている所だ。
四天王像がコミカルな表情をしていてとても面白く1度見てみてほしい。
【サンゲトン・ゴンパ】
カギュ派のこのゴンパでは毎朝、1~3人による僧侶達による打楽器を使ったチベット仏教特有の宗教音楽が聞こえ、よく参拝者が訪れる。
【仏塔周辺のチベット寺院】
ここでは主に入場ゲートを過ぎ仏塔奥にあるチベット人街にあるゴンパを紹介しようと思う。
各ゴンパどれも特徴的で外国人が仏教を学ぶための施設が充実しているゴンパが多くあるように感じられる。
【ターリーリュック・ゴンパ】
サムテリン・ゴンパや土産物店が立ち並ぶ通りを真っ直ぐ行くと十字路があり、その右に進むと見えてくるのがターリーリュック・ゴンパだ。
サキャ派の寺院で美しいチベット模様ののれんがあるゴンパだが、このゴンパがある通りによく物乞いが出現するので注意。
【タンゴ・ゴンパ】
先ほどの十字路を左に行くと見えてくるのがカギュ派のタンゴ・ゴンパだが犬注意の看板があり入るのは危険。
その為ボクはゲストハウスから近いにも関わらず1度として行った事が無い・・。
【タプサン・ゴンパ】
ボクが3ヶ月間泊まっていたゲストハウス『ロータス』運営のサイドビジネスに積極的なカギュ派のゴンパ。
他にも仏具店、アパートをしていたり、このゴンパの目指す所は一体・・。
場所はターリーリュックの通りを真っ直ぐ行く。隣なのですぐに見えてくるだろう。
【クンロー・ゴンパ】
ロータス隣にあるカギュ派僧院クンロー・ゴンパ。
夜になるとロータスから小僧達による経が聞こえてきたり、早朝5時過ぎにチベットホルン?の音が静かに聞こえてくる修業に熱心なゴンパだ。
【タルラム・ゴンパ】
十字路を真っ直ぐ行くとボダ入場ゲートがあり、そのまま進むとwelcomeという看板があり、その敷地内にある赤い色をしたゴンパだ。
震災で壁画が傷つけられしまったがタンカ絵師が修復し現在は美しい壁画を見ることが出来る。
タンカ絵師の技術は凄い・・。巨大な壁画を1人でやったんだろうか?
【カニン・ツェトゥプリン】
通称ホワイト・ゴンパと言われる白亜のゴンパ。
このゴンパは外国人がチベット文化を学ぶための施設が充実していてチベット語、瞑想、通訳クラス等、短期から長期等様々ある。
ホワイトゴンパ近くではチベット僧に扮した外国人が多くいて、彼らはここで学んでいるようだ。
巨大なゴンパで白亜の寺院を見れば場所はすぐに分かるだろう。
【シェチェン・ゴンパ】
東チベットのシェチェン・ゴンパの分院でタンカスクール『ツェリンアートスクール』があるニンマ派の寺院だ。
ボクはタンカを学ぶためお願いしに行ったが6年オンリー!と言われてしまい門前払いされた経験がある。
短期はダメかー・・確かにタンカは短期間で習得出来るものではないが。
シェチェン・ゴンパがある場所は仏塔周りにあるニンマ派寺院『Buddha ahyan ghuti gompa 』隣の細い通路を行くと入場ゲートがあり、そこを斜めに左に行くと木々が生い茂っているシェチェン・ゴンパが見えてくるはずだ。
【ニェナン・ゴンパ】
ホワイトゴンパ近くの坂近くにあるカルマ・カギュ派寺院だが壁画前に柵があり中を拝見する事は出来ない。
【カルマ・タルギュ・ゴンパ】
ニェナン・ゴンパがある坂を真っ直ぐ行くと舗装されていない大きな通りに出る。その通りから見える塔のようにそびえるゴンパだ。
だが塔の中に入る事が出来ず、ゴンパ内に入ったら番犬隊に襲われた苦い経験が。
【ベーロ・リング・ゴンパ】
場所をタルラムゴンパがある通りに戻し、果てしなく真っ直ぐ20分位歩き続ける。
すると仏像が置いてある交差点に辿り着くはずだ。
その場所を右手に行き歩くと、路地が右手にあるはずだ(近くにタクシーがよく止まっている)
その路線を真っ直ぐ行くと巨大なゴンパが見えてくる。詳細は不明だがのんびりした場所で本殿の中には美しい壁画が数多くある。
【ベーロ・ゴンパ】
先ほどの仏像がある交差点を左に行くと細い路地がある。ここを進むと見えてくるのがベーロ・ゴンパ。
朝になるとチベット人達に炊き出しを行っていて地元住民から信仰されているゴンパだが、日中行くのは危険!
このゴンパにも番犬が!入れないよ!!
犬怖い!!
【国際仏教徒大学】
サキャ派のゴンパで詳細不明だが名前の通りなんだろう。
場所はベーロ・ゴンパがある通りを真っ直ぐ。
【ShelkerGompa】
クンロー・ゴンパ近くの細い路地を進むとチベット人居住区が見え、坂近くにある細い路地(分かりにくいが)を進むと見えてくるのがこのゴンパ。
宗派不明だがここの壁画はボダの中で最も美しく(個人的に思ってる)見所だ。
【丘の上にあるチベット仏教寺院】
ボダより歩いて1時間ほど歩くと小高い丘があり三つのチベット寺院が確認出来る。
コパン・ゴンパ、カチュ・ゴンパ、プラハリ・ゴンパ。
コパン・ゴンパは世界的な仏教組織FPMT(大乗仏教保存団体)の本拠地。
ここでは外国人向けの瞑想コースがある。
カチュ・ゴンパはコパンの尼寺でプラハリ・ゴンパはカルマ・カギュ派のゴンパだ。
【リングロード沿いのチベット仏教寺院】
ボダ入場ゲート外にも幾つかゴンパが存在し、騒々しいリングロードにたたずみチベット人から深い信仰を受けている。
【ウギェン・ドンガ・チューリン】
入場ゲートを出て、道路の向かい側の歩行者道を右に歩いて行くとおおきな門が見えてくる。
ただ2016年、地震の影響で倒壊してしまっていたが今はどうなっているのだろうか・・
ゴンパも震災の影響をモロに食らっていて半壊状態だった。
震災は美しいゴンパに多大な被害を受けしまった・・何とも悲しい現状だ。
【シェルパ・ゴンパ】
シェルパ族の名を頂くこのゴンパに行った際、法要が行われていてチベット人達で賑わっていた。
訪れていたチベット人達にお菓子を配っていたが外国人であるボクにも大量のお菓子を貰うことが出来、参拝者に対して心配りがある優しいゴンパだ。
場所は入場ゲートを出て、右手に真っ直ぐ。
この他にもリングロード沿いにもゴンパがあったり小さなゴンパも含めればボダには20を超えるゴンパがある。
一つ一つゴンパを訪れると各ゴンパ特徴が様々でボダが飽きることなく散策でき面白いからチベット仏教の聖地ボダナートに行ってみてはどうだろうか?