チベット仏教

秘仏中の秘仏!歓喜天(聖天)と象頭の神ガネーシャの意外な関係とは?

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仏教にはヒンドゥー教の象頭の神であるガネーシャを由来とする歓喜天(聖天・天尊)と呼ばれる神様がいる。

歓喜天はサンスクリット語でマハー・アールヤ・ナンディケーシュヴァラと言い破壊神シヴァの別名とされてきたが仏教に入るとガネーシャと同一視されるようになった。

ガネーシャはシヴァと妃パールヴァティの子供で学問の神として学生や学者に様々な障害を取り除く役割を持っている。

 

 

また富を司る神様であり商人に人気で商店や学校に祀られている事が多い。

 

 

他にも夫婦中を良くし子宝を授ける神とされ性的なイメージが歓喜天に受け継がれるようになった。

 

 

歓喜天は古くは遊郭の間で信じられ、今でも水商売の間で信仰されている。

 

【歓喜天の図像】

ガネーシャ同様象の頭を持っていて、二臂、三面六臂等様々な形で表されてきた。

 

日本においては夫婦和合の性格を持つことから二尊が抱き合う姿で描かれている事が多い。

 

 

この内一つは男性の神で、もう一つは女神であるが、この女神は観音菩薩の化身であり、その慈悲によって魔王だった聖天の欲望を満たしていると言われている。

 

そして聖天が仏教に入り守護神となった。

 

因みにチベット仏教やヒンドゥー教では女神信仰が盛んで観音菩薩が生んだターラ菩薩という女神が存在している。

歓喜天は胎蔵界曼荼羅で描かれていて、その場合単身で右手に斧、左手に大根のような野菜を持っている。

 

金剛界曼荼羅では四方六部歓喜天という尊格が東西南北にそれぞれ三尊ずつ描かれている。

 

 

ガネーシャに関しては大きな腹と四本の腕が特徴で蛇の帯をしめ、蓮華、斧等を持っている。

 

 

頭に三日月を飾る場合があるがこれはシヴァ神の眷属を表している。

 

日本では抱き合った姿で描かれている場合が多いがインドやチベットでは単身で信仰されている。

 

男尊女尊が抱き合う尊格と言えばチベット仏教のヤブユムが思い起こすが、悟りを表現されている点では歓喜天と大きな違いがある。

チベット仏教のヤブユムについてはこちらの記事を読んで欲しい。

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【ガネーシャの頭が象の理由】

ヒンドゥー教の神々の中でも象の頭という異形な姿のガネーシャ。

その理由は様々あるが一般的な説としてシヴァが妃パールヴァティに水浴の番を命じられたガネーシャの首をはねてしまったという説だ。

この時、嘆き悲しむパールヴァティを気の毒に思ったシヴァは従者

 

 

「北に進んで最初に出会った者の首をとれ。それをつけよう。」

 

 

と言ったので従者は言われた通り北に進み、最初に出会ったのが象だったのでガネーシャは象頭になったという。

 

 

他にも美しい少年だったが、シヴァの怒りにふれ象頭になったという説やシヴァが象の姿になった時にパールヴァティも同じように象になったから象頭の子供が生まれたという説もある。

 

 

ガネーシャの牙は片方折れているが、これはヴィシュヌ神の第六の化身パラシュラーマと争った時に折れてしまったという。

 

 

他にも自分が転んだ時に月が笑ったので、牙を折って月に投げたという説もある。

 

 

因みにパラシュラーマとガネーシャが争った場所とされているカイラス山は実際に存在していて西チベット奥地に四宗教(ヒンドゥー教、チベット仏教、ボン教、ジャイナ教)の聖山とされている。

ヒンドゥー教においてカイラス山はシヴァの住む聖山であり、チベット仏教では『仏』そのものとされていて秘境好きには憧れの的となっている。

 

【ガネーシャの祭り】

現世利益の大きいガネーシャはヒンドゥー教文化圏で信仰されているが、それだけに縁の祭りも存在する。

 

インドの太陽暦バードラパダ月に開催される『ガネーシャ・チャトゥルティー』というお祭りはガネーシャ誕生を祝う祭りでインド全土で開催される。

 

【仏教に調伏された神々】

ガネーシャは仏教に取り入れられると歓喜天(聖天)となったが、他にもヒンドゥー教の神々が仏教の護法神になった例を幾つか紹介する。

 

鳥の姿で描かれる迦楼羅天はヒンドゥー教ではヴィシュヌ神の乗物であり、煩悩の象徴である蛇を加えた姿としてチベット仏教寺院のレリーフに刻まれている場合がある。

他にも天使のような姿やバリ島のガルーダのようにカラフルな姿で表されるときがあり、仏教・ヒンドゥー教圏で広く信仰されている。

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七福神の一つ弁財天も元はヒンドゥー教の学問・芸術を司る女神サラスヴァティーであり、名前の由来は『水を持つもの』

 

名前の通りネパール・スワヤンブナートに行く道中にサラスヴァティー川という小川が流れている。

 

チベット仏教の神々にシャクティと呼ばれるエネルギーを注ぎこむ荼枳尼天(ダーキニー)も元はヒンドゥー教の破壊の女神カーリーの侍女であった。

その後仏教に取り込まれ、日本では稲荷信仰と結びついて御稲荷さんとして祀られている。

インド・チベット仏教の生き血を啜る恐るべきダキニ天と日本の稲荷信仰の関係

特殊な例ではチベット仏教のヤブユム像はシヴァ神からイメージをとったものが殆どだ。

いずれにしても仏教とヒンドゥー教の神々は切っても切り離せない関係だろう。

 

【歓喜天を拝観出来る場所】

ガネーシャが一般的なアジア圏とは違い日本においては基本的に歓喜天の仏像は秘仏中の秘仏であるため、拝観出来る寺は限られている。

 

静岡県下田市にある了仙寺には男女の歓喜仏が抱き合った双身歓喜天が祀られている。

 

また、この寺には他にも感見歓喜天というチベットのヤブユムを彷彿とさせる仁王と女尊が抱き合った仏像がある。

 

一方ネパールにはヒンドゥー教と仏教が融合したガネーシャのネワールタンカ(仏画)がカトマンズの国立博物館で見ることができる。

他にもカトマンズにはインドとチベットが隣り合わせの為、見事なヒンドゥー・仏教美術の数々が目にとまる。

 

【秘仏として祀られる理由】

アジアからやってきたガネーシャが何故、日本では秘仏として人目を避けるように祀られているのか?

実は歓喜天は効能が高い一方、供養をおろそかにすると天罰が下る恐ろしい尊格なのだ。

 

 

だからこそ密教僧は歓喜天を敬う一方、避けるべき存在として崇め奉られているのだ。

 

日本には性をモチーフにした仏像等が多いが、こういったものは人間の根源的なエネルギー(子孫を残していく)が形となった結果だろう。

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