チベット仏教

悟りを開きたい人にオススメ!深淵なる仏教宇宙『曼荼羅』の意味とは?

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空海が日本に伝えた両界曼荼羅図やチベットに伝わる美しい曼荼羅・・。

仏画の中で最も緻密な曼荼羅には一体どういった意味を持っているのだろうか?

 

仏画絵師であるボクが気になる曼荼羅について色々な所から切り込んでいこうと思う。

 

【曼荼羅は大きく分けると二種類ある?】

ボクは仏教の絵を描いているので曼荼羅と聞くとチベットの左右対象の円形丈の曼荼羅を思い浮かぶ。

しかし、それはボクがチベット仏画をモチーフにした絵ばかり描いているからで仏画に詳しくない日本人からしてみたら一般的ではないだろう。

日本人が一般的に思い浮かぶ曼荼羅というのは恐らく国宝の両界曼荼羅図ではないだろうか?

 

両界曼荼羅とは空海が持ち込んだ仏教の宇宙観を表した金剛界曼荼羅、胎蔵界曼荼羅の二つの事だが、こういった曼荼羅は仏教教義の実践・瞑想用に使用される。

 

 

曼荼羅の意味は仏教の本場であるネパールやチベットでは仏教教義用である事は間違いがないのだが日本にはそれとは違った曼荼羅の意味もある。

 

 

それはパリにある大聖堂やのバラ窓や何かが密集した左右対象の円形丈の絵を曼荼羅という点だ。

 

 

普通こういった芸術作品をチベットでは曼荼羅と呼ぶ事は無いが日本のように宗教が曖昧になっている国では広く受け止められている事なんだろう。

因みにボクは日本人が持つ曼荼羅に対しての広い意味を持つ考えをまざまざと感じてしまった事があった。

 

以前個展の準備をした際、画廊のオーナーに『カーラチャクラ』の絵を見せた際に

 

 

曼荼羅みたいな絵を描いてきたね

 

 

と言われた事だ。

勿論ボクは曼荼羅を描いたつもりは無いが手が幾つもあり左右対象性を持つカーラチャクラ尊の姿が曼荼羅のように見えてしまったんだろう。

確かに曼荼羅的なイメージを持つものや五秘密菩薩のような菩薩が集合した仏画は曼荼羅と呼ばれる事がある。

 

しかしそれは日本人の感性が作った曼荼羅なのだろう。

 

 

こういった経験があったせいか曼荼羅には二つの意味があるのだと思う。

 

 

 

一つ目は仏教教義の実践・瞑想用の曼荼羅。

 

 

二つ目は広い意味を持つ左右対象の図形、もしくは曼荼羅と思える芸術作品の事。

 

この二つが曼荼羅を定義付ける意味なのでは無いだろうか?

 

【曼荼羅の持つ力とは?】

曼荼羅が持つ能力は仏教教義の実践や瞑想用の為であるが具体的に言うと

僧侶が曼荼羅を壁にかけ、あるいは心の中でイメージし曼荼羅の中の神仏をその場に呼び起こし一体化する事である。

僧侶が神仏と一体化する事で仏に帰依したり救済して貰う事であり行が終わると仏を供養して帰すという一連の流れで進んで行く。

 

また、曼荼羅を使い神仏を見ようとしたり、神々を迎えいれ捧げ物をだす儀礼もある。

 

その一つがネパールのティハールと呼ばれる光の祭りだ。

 

 

ティハールとは富と繁栄を祈る収穫祭で祭りの4~5日目には曼荼羅を家の前に書き女神を迎え入れるため捧げ物を置くのだ。

 

 

ボクは実際にネパールで見たことがあるが各家ごとに曼荼羅のデザインは様々で小さなものから大きなもの等見ていて面白かった。

 

 

曼荼羅には仏教教義の実践装置としての能力の他に結界としての力もある。

 

 

結界というのは魔を払う聖なる空間の事を言うが、そもそも曼荼羅という名前の由来は『円』『輪』を意味する。

 

 

この事から円=聖なる空間を作っているという事なのだ。

 

その為、チベット仏教寺院等に行くと寺や入り口の天井に曼荼羅が描かれているという事がある。

因みに結界としての曼荼羅はチベット仏教のみならずチベット伝来の土着宗教ボン教の寺院にも描かれている。

 

【曼荼羅に登場する主なキャラクター達】

曼荼羅には数多くの仏達が登場するが主だった仏を紹介すると以下のものとなる。

■如来

釈迦如来
薬師如来
五仏
秘密集会
ヘーヴァジュラ
チャクラサンヴァラ
ヴァジュラヴァイラヴァ
マハーマヤー
カーラチャクラ

■菩薩

観音菩薩
金剛薩唾
文殊菩薩
普賢菩薩
勢至菩薩

■女神

ターラー菩薩
般若波羅蜜多
ヴァジュラヴァラヒ
ダーキニー
ヨーギニー
ヴァスダラー
仏頂尊勝

■明王

降三世明王
ヤマンタカ
マハーカーラ

■郡小神

インドラ
アグニ
ヤマ
クベラ

■祖師

パトマサンヴァパ
ツァンカパ
ナーガルジュナ

各仏達の詳しい説明はこちらの記事を参考にして欲しい。

チベット仏教における仏達の種類『代表的なチベットの神々とは?』

【立体曼荼羅の数々】

東寺には両界曼荼羅の他に有名な立体曼荼羅がある。

それは大日如来を中心とした仏教の宇宙観を立体的に造った曼荼羅である。

 

東寺の立体曼荼羅には実際の曼荼羅同様、如来・菩薩・明王・天のカテゴリーの仏像がつくられ見る人に仏像の宇宙観を分かりやすく伝える仕組みが出来ている。

こういった立体曼荼羅は日本のみならずチベットにもあり円形丈の曼荼羅を立体的に造った芸術作品とも言うべきモノや東寺のようなスタイルの立体曼荼羅もある。

また、視覚的な装置としての曼荼羅は仏像だけでなく建造物・街すらも曼荼羅として造られる事もある。

 

 

例えばチベット初の仏教寺院サムイェ寺は曼荼羅の形をしていて明らかに先に述べた結界としての曼荼羅の役割を担っている。

 

 

またチベット自治区のペンコル・チューデ内には数多くの仏像・壁画が描かれ曼荼羅として造られている。

 

他にもネパールのカトマンズ盆地を昔、湖だった事から(曼荼羅としての湖)ネパール人はネパール・マンダラと呼び

湖誕生の際に出来上がった丘の上に造られたヒマラヤ最古の寺院スワヤンブナート自体も曼荼羅とされている。

さらにネパール版仏塔には四方に仏陀が造られ蓮華座の彫刻が施されている。

もうお分かりの通り仏塔自体が曼荼羅でありカトマンズ各地で信仰の対象として造られている。

このような街・建造物を曼荼羅とする例はチベット文化圏だけでなくインドネシアにも存在する。

インドネシア・ジャワ島の謎の世界遺産ボロブドゥール遺跡がそうであり遺跡が一体何なのか?

 

様々な議論があるが遺跡内にある数多くの仏像や構造、何よりも上空から見ると明らかに曼荼羅である。

 

これは遺跡が造られた八世紀後半~九世紀に密教がジャワ島に伝えられた事と無関係ではないだろう。

 

【曼荼羅の正体】

チベットの曼荼羅を見てみると全て円形丈で幾何学的な模様の中に仏達が所狭しと描かれている。

これは仏教の宇宙観を示すものなのだが、もっと分かりやすく言えば仏達の住む宮殿を表しているのだ。

つまり円形丈に見える曼荼羅であるが実際は仏達の世界を平面化したものであり、曼荼羅の四方には門や外壁等が描かれているのだ。

この曼荼羅の中には鳥居の原形となったトーラナと呼ばれるものがあるがネパールには半円形丈のトーラナがありヒンドゥー教や仏教の宇宙観のシンボルとして寺院上部に設置されている。

また曼荼羅の最も外側の輪を火炎輪、内側を蓮弁と呼ばれ宮殿に住む仏達を守っている。

【曼荼羅の意味についてのまとめ】

今回は曼荼羅の意味について書いてきたが深淵なる曼荼羅世界を紐解こうとすると、曼荼羅が誕生した仏教の歴史等様々な勉強が必要となってくる。

 

この記事で書かれている事はごくごく曼荼羅についての一部である。

 

しかし曼荼羅の意味について考えた時に大きく分けた教義用と広い意味を持つ曼荼羅の二種類が日本人にとっての曼荼羅であることは間違いが無いだろう。

反対にチベット人にとっては形式的な曼荼羅だけが曼荼羅であり、教義用に止まらず建築物すらも曼荼羅としていった。

 

やはりそこには信仰心の高さや歴史が深く関係しているのは疑いようが無い。

 

ボクは何度もチベット文化圏に行っているが、そこから見えてくるのは寺が沢山あり信仰心を育んできたチベットこそが巨大な曼荼羅では無いだろうか?

仏教が少数派となってしまったインドにはもう曼荼羅と呼ばれるものは無いが(ヤントラと呼ばれるヒンドゥー教版曼荼羅はある。)各地のチベット文化圏には多種多様な曼荼羅が存在していて現在でも儀礼の為に使用され続けている。

このような絵としての曼荼羅を探求するのも、旅する仏画絵師であるボクの今後の課題としたい。

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