ボクは普段アクリル絵の具を使った、チベット仏教のホトケの絵を中心に描いているが描くテーマによっては仏では無い絵も描いている。
例えば『竜』
竜は菩薩の乗物だったり単体で描く事もしばしばで昔から大勢の絵師が描いてきた人気のテーマの一つだ。
そこで今回は仏教やキリスト教の竜伝説についてもふれ、気になる格好い竜の描き方について5つのポイントに触れ書いていこうと思う。
【竜とドラゴンの違いとは何なのか?】
まず竜を描くときのテーマについて触れていこうと思う。
竜はRPGやアニメ・映画でよく登場するキャラクターだが宗教に登場する竜を知る事で絵のテーマを決めやすくなるので初めに竜と宗教の関わりを見ていこうと思う。
突然だが竜とドラゴンの違いは御存じだろうか?
一般的に竜と言えばヒゲを生やし宝玉を手に持つ空中を飛ぶ蛇。
ドラゴンボールに登場するシェンロンのような幻獣を思い浮かぶ。
日本や中国等で伝えられる竜とは神獣であり聖なる存在であるが仏教の伝説を調べてみると必ずしも善い存在として伝えられていない場合もある。
例えば竜王と訳されるヒンドゥー教のナーガ(蛇)族は仏教で煩悩の象徴として迦楼羅に食されていたりする。
ただし釈迦の説法を聞き仏法を守護するようになった八大竜王と呼ばれる存在もあり一概には言えないようだ。
仏教の竜王ナーガについてはこちらの記事を読んで欲しい。
因みにボクは絵のインスピレーションを得るため
よくネパールやチベットに行くが仏教寺院に行くと竜の彫刻をよく見る事ができるが
恐らく竜の神秘的な力を持って魔除けの意味があるのだろうと思った。
また日本で絶大な人気を誇る不動明王の化身に倶利伽羅明王という竜があり、その姿は宝剣に纏わり付く竜の姿で描かれる。
一方西洋に伝えられるドラゴン(日本語で訳すと竜)はコウモリのような翼に炎を吐く巨大なトカゲであり
その姿から悪魔の象徴として描かれる事が多く大天使ミカエルに倒されている宗教画をしばしば見る事がある。
こういった事からキリスト教では日本のように神獣としてではなく悪魔・サタンとして神話に登場している。
例えば黙示録の七つの頭と十本の角を持つ赤き竜や七つの大罪の一つ憤怒のシンボルが竜であるように。
しかしキリスト教・仏教の竜に対する神秘的な話は後世のRPGゲームに活躍の場を移すようとなる。
【竜の描き方①竜の頭】
竜の描き方について語る前に言っておきたいのはボクの絵のタッチは漫画風であり古今東西で見られる伝統的な竜の描き方ではないという事だ。
これはボクが元々漫画家志望だった事が原因で竜に限らず仏に対しても、こういった描き方なので悪しからず。
さて
竜の描き方だがボクが竜を描くときに気をつけているのは
いかにインパクトのある顔にするかだ。
例としてボクの絵を見て欲しい。
ボクが描く竜の絵は胴体よりも顔が大きめに描かれている。
こうすることで竜の迫力を出す事が出来るのだ。
また竜の顔を描くポイントとしてはワニの頭をイメージして描く事で、そこに真ん丸い目玉とヒゲ、ギザギザの牙を描いていく。
そこに舌をだしたり炎を描き加えれば、なを良い。
竜の角に関しては西洋のドラゴンは山羊のような曲がり角や先が細長い角にするのがポイント。(悪魔の角のような感じで)
日本や中国の竜の角は鹿の角や木の枝をイメージするといいだろう。
【竜の描き方②胴体】
次に胴体についてだが竜をイメージするのは身体にビッシリある鱗である。
ボクは鱗を描くとき色が単調にならないように一つ一つ違う色で塗っている。
例えば緑色の竜を描くときライトグリーン・エメラルドグリーン・ブリリアントイエローオキサイドを使う事が多い(リキテックスというアクリル絵の具)
そこにエメラルドグリーンで陰影をつけ光り輝く感じにする為、描き終わった後に筆で白を足している。
また胴体の背に馬のたてがみのような物を頭から尻尾まで描くと竜らしくなるだろう。
因みにドラゴンの場合はコウモリのような翼がポイントで竜のような鱗は存在しない。
【竜の描き方③爪・宝玉】
竜の特徴の一つに鷲のような爪がある。
竜の爪の数は民間信仰に息づく竜が3~4本で皇帝の権威として描かれる場合5本とされる。
また手に持っている宝玉は何でも願いが叶うドラゴンボールのような物で竜を描く際の定番アイテムである。
ボクは宝玉を描く際、宝玉の回りや胴体に炎を描き足すことがあるが、こうする事で竜っぽくさせているのだ。
【竜の描き方④竜の色について】
竜を竜らしくさせる色と言えば断然グリーンだろう。
緑色にする事で爬虫類さをかもちだせる事が出来るし我々がイメージする竜は大抵緑色の身体をしている。
しかし中国の伝統模様やチベット仏教寺院を見ると黄色い(黄金)竜が描かれている事があっていかにも神々しい感じだ。
このように色を変えると様々なイメージを彷彿させ竜を描くとき自分にあったものにすれば良いだろう。
例としてボクが思う竜の色のイメージを幾つか挙げておいた。
緑色=一般的な竜
黄色=神の化身・竜王、一般的な竜よりワンランク上。
青色=水辺に住む竜。西洋における水の悪魔リバイアサン。
赤=炎の竜。竜というよりもドラゴン向きの色。
黒=邪悪な感じ。黒い竜にすると全体が引き締まって格好良くなる。
白=神秘的な力を持っていそう。白い竜で有名なのは『千と千尋の神隠し』に登場するハクの竜の姿。
紫=毒々しい。毒属性を持つ竜を描くときに紫はオススメ。
【竜の描き方⑤背景・その他】
竜を描くときに考えて欲しいのは一体その竜はどういった状況にいるのか?だ。
例えば空を飛んでいる竜を描くときに雲も一緒に描く事で竜が空にいるという事が分かるし
水の中に住む竜を描く時は一緒に魚や水草を描けば水中という事が分かる。
このように竜プラス何かを描く事で様々なシチュエーションを作る事ができるのだ。
また様々なものを竜の回りに描く事で目を飽きさせない効果もある。
例としてボクの絵には欠かせない枠もその一つで、竜だけでなく様々な所に目を向けさせる狙いがある。
絵に自信の無い人はまずは納得がいくまで画像検索や本で得た竜の姿をスケッチブックに描き続けるのが吉だ。
実際ボクは絵を描き始めた当初、筆の使い方すら判らなかった素人だったのが毎日絵を描き続ける事でレベルが上がっていったという事がある。
詳しい事はこちらの記事を読んで欲しい。
【竜の描き方のまとめ】
竜の描き方を①~⑤まで挙げてきたが要約すると
①顔は迫力のある感じにする。(炎を吹かせたりするとベスト)
②胴体にある鱗は一つ一つ違う色にする。
③爪の数は3~5本
④色によって様々なタイプの竜にすることが出来る。
⑤竜以外の物を書く事で、その場のシチュエーションを作る事が出来る。
と、長々竜の描き方について書いてきたがボクの記事がお役にたてれば幸いである。
それでは、そろそろボクは絵を描かなければいけないのでこの辺で。