仏教には様々な文様がある。
植物や伝説上の生き物、法具等、西洋の宗教美術に負けない仏教には様々な文様があるのだ。
ボクは普段、仏教の絵を描いていて絵のモチーフに仏教の文様を描いてみたり
ボクの絵の特徴である枠の中に様々な文様を描き込んでいる。
個展を開くと、こういった枠の中のデザイン(文様)はどうやって思い付くのか?
と、聞かれる事がある。
ボクはここに描かれているのは頭の中で思い付いた事を描いたり、本やチベットで撮ってきた写真を元に描いていると答えている。
元々ボクの枠の中のデザインは
『世界装飾図』
という本等を読んでボクなりにアレンジしたものが殆どだがチベットを旅するようになってきてから旅の中で撮ってきた写真を元に描くようになってきた。
とはいえ、仏教の文様等は既にボクの頭の中にあるため何かを見ながら、という事は少なくなってきたが・・
ただそれでもチベット仏教に伝わる八大吉兆文様は絵のデザインを考えるために本を読んで描くという事は多い。
【チベット仏教の八大吉兆文様】
チベット仏教には幸せを呼ぶ八大吉兆文様というものがある。
例えば山伏がボ~ボ~と吹いている事で知られるホラ貝。
これはチベット仏教では解脱を知らせるホラ貝の音である。
また吉兆文様の一つ蓮華は清らかさの象徴として描かれている。
他にも悪い影響から守る宝傘
仏法の教えの勝利を象徴する勝利の幡
仏法を広める象徴としての法輪(チベット寺院の屋根には必ず法輪のオブジェがあるし梵天の持ち物でもある。)
不死の甘露がある瓶、慈悲の教えである永遠の絆、世俗という海から解き放たれた事を象徴する二匹の魚がある。
こういった吉兆文様は仏画でもよく描かれていて意味が分からなくても美しいと思えるデザインだ。
この絵はチベット仏教の吉兆文様をモチーフにした絵で蓮華の中に座る釈迦如来を中心に幸せを呼ぶ八大吉兆文様を描いてみた。
また、枠の中のデザインは完全なオリジナルだが龍や邪気を踏みつける護法尊等、チベット仏教寺院で見られる壁画や彫刻が殆どだ。
【チベット仏教寺院に描かれている文様】
チベットのお寺は仏教美術の集合体と言ってよくボクは壁画の写真を撮る。
当然、絵の為で写真を元に絵を描いたりしているが本当に寺に描かれている壁画は感無量の一言。
仏画絵師が何ヶ月もかけて描いたであろう四天王の壁画に
植物をモチーフにした唐草模様やチベットの土着宗教であるボン教寺院に行くと卍が描かれていたりする。
チベットにおいて卍はボン教を表し仏教は逆卍を表している。
逆卍についてはボクの絵を見て勘違いしている人もいたのだが逆卍はヒトラーやナチスを表しているのではない。
逆卍はナチス以前にもあったし、卍と同様に元々は太陽を表現しインドや中世ヨーロッパ等様々な所で文様や彫刻として造られてきたのだ。
という事をあえてボクはいいたい。
ボクはチベット寺院に行き、こういった伝統的な文様を吸収し絵の中で解き放つ。
伝統的な仏教画絵師から見れば
「何なんだこれは!?」
と思われるかも知れないが、これがボクなりの表現方法なのだ。
伝統とは新しさを入れていく事で受け継がれていくのでは無いかな・・
と個人的には思っている。
ボクの絵の場合は漫画風に描いている事で仏教圏の国だと賛否両論あるかも知れない。
しかしボクは、このスタイルで描く。
描いていく。
仏教文様を入れ漫画風にアレンジした仏様を。
因みにボクの絵は仏教の絵が殆どだが最近キリスト教である天使の絵も描き始めた。
キリスト教の場合、当然ながら仏教文様ではない為、枠の中にそういったデザインは描けないが植物や花等世界共通な文様を描くようにしている。
まだまだ奥の深い仏教の文様の世界。
ボクは絵を描き、絵の世界観を上手く表現するためチベットを旅をする。
そして、そこで得たチベットの情報をブログで公開していくが天使の絵にハマっていけば、もしかしたらヨーロッパに行くかも知れない。
絵は一体何処へボクを導くのだろうか?