色鮮やかな絵を描く。『色の持つ意味を知る事とは?』

この絵はボクが専門学校で始めてアクリル絵の具を使って描いた作品だ。

この頃は現在の繊細に描いた仏教の絵とは違い、色のバランスも良くない良い絵でもなかった。

 

ただ1つ今に至るまで共通しているものがある。

赤や黄色等、暖色系の色を使っている点だ。

理由は赤や黄色は見た目にも鮮やかになるし、色彩学的に見ても赤は『火』『興奮』等を意味し、黄色『活発』『ポジティブ』等を意味する。

ボクは画材技法の授業で教えて貰うまで色の意味なんて知らなかったが、始めて色を使ったイラストは赤や黄色をふんだんに使ったイラスト(初めは絵の具ではなくイラストを描く際に使うコピックで描いた)だったと記憶している。

ボクはこの時、先生に言われるまで自分でも気が付かない色彩感覚がこの手に宿っている事に気が付いたのだ!

これに気が付いた時、絵を描くという面白さに始めて気が付いたのだ!

ただ同時にその難しさにも気が付いたのだ。

様々な色を使って描いていくと、この色とこの色を使うと合う合わないがあるという事を知り、特に始めてアクリル絵の具を使った時はその事に大きく苦しめられた。

だがボクは色のバランスを悩み、考え、やり続けた結果今のような鮮やかな絵を描けるようになったのだ。

 

【黒とそれ以外の色を混ぜると‥】

絵を描き進めて4~5年目位だったか‥。

ボク影を表現したいと思い黒を混ぜるようになった。

 

理由は影があれば立体的になるだろうと思ったからだ。

 

だがしばらく描いてみて分かったが、ボクのようなカラフルな絵の場合は黒を使った表現は合わないという事が分かったのだ。

ボクの絵の最大の特徴は『枠』がある点だ。

この装飾的な枠があることによりボクの絵の美しさが際だって見えるからなのだが、黒を用いた瞬間、全体的に暗くなり装飾的な枠が見えなくなる状態に陥ったのだ。

その事に気付いた時、ボクは黒は髪の毛や武器等だけに使い、黒は出来るだけ使わないようにした。

黒は物を奥行き感や立体的にさせる効果もあるがカラフルな絵の場合、かえって邪魔になってしまうのだ。

2014年製作

2016年製作

当時の絵と今の絵を離れて見れば分かるのだが、黒を極力使わないようにする事で当時の絵より今の絵の方が明るく見え、細かい部分もよく見えるのだ。

 

 

【ネパールで学んだ色の表現方法】

タンカ(チベット仏教画)修業の為ネパールに訪れた際、数々の仏画や僧院に描かれた壁画を見たが、やはり暖色系が多く使われ目にも鮮やかな壁画等が多かった。

旅をして“本物”を見た時、やはりカラフルな絵には黒といった暗い色は合わないと確信したのだった。

タンカ修業をした際、空や大地を表現するグラデーションの描き方を指導して貰ったが、そのまま描く必要性はないと思う。

例えば空を描く際、青と水色を混ぜたあと白も混ぜグラデーションを作る。

 

普通空は青だ。

 

だが青である必要性はどこにもない。

 

なぜなら決まった色の空はどこにもないからだ。

自由に空の色を表現したっていい。

 

ボクの場合青~ピンク~黄色をグラデーションにして空を表現していることが多い。

こうする事により不思議な雰囲気を出せ、黄色があることによりメインキャラクター(尊格)が栄える効果もある。

空の表現はこの他にも様々あるのだが、それは別な時に紹介しようと思う。

ボクはアクリル絵の具と出会った事により、その難しさ、面白さを発見し何年にも及ぶ色の研究をした結果、色鮮やかな絵を描けるようになったのだ。

そして描けば描く程、どんどんボクの絵は進化していくだろう。

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