チベットのお祭り『チャム』インド秘境の地ラダックで見た曼荼羅世界とは?

 

チベットのお祭りの中で最も有名なのがチャムと呼ばれる僧侶達による仮面舞踏祭だろう。

 

 

チャムはチベットやラダック、ネパールといったチベット文化圏の各僧院で年1回位のペースで開催され、期間中は日本のお祭りのように会場周辺は屋台が建ち並び、賑わいを見せる。

 

 

また、チャムでは僧侶達がチベット仏教の神々のお面をつけ美しい舞を見せるが、その目的は大体が仏教に対する『敵(煩悩)』を象徴するダオ(ツァンパを練って作った人形)を供養する事だ。

 

因みに僧侶達が扮する神々はどういったものなのか?

 

という事をまとめた記事があるのでチェックして欲しい。

チベット仏教における仏達の種類『代表的なチベットの神々とは?』

 

【始めてのチベット仏教のお祭り『チャム』を見に行く】

“インドの中の小チベット”ラダックに行ったのは2015年3月の事だった。

 

目的はただ1つ。

 

チベットの仮面舞踏祭『チャム』を見に行く事でガイドブックを活用し事前に3月にマト・ゴンパでチャムが開催されている事を知ったボクは、ラダックに行く事にしたのだ。

ラダックとはジャンムー・カシミール州に位置する山岳地帯の事で中国の進行を受けなかった事もありゴンパ(チベット仏教僧院)が破壊されずにすみ、チベット仏教美術が多く残されている事で知られている。

この“インドの中の小チベット”の存在を知ったのは仏教画を描いていく中、チベット仏教画『タンカ』を知ることになりチベットやタンカを調べていく中、チベット仏教美術が多く残されているラダックという場所の存在を知ったからだ。

だが調べれば調べる程、仏教美術の事よりも独特な文化に興味が沸いてきた。

 

 

チベットの仮面舞踏祭『チャム』もその1つだ。

 

 

護法尊や道化、仏達の仮面を付けた人達がゴンパで踊り狂う、神々の曼荼羅のようなチベットのお祭りがあることを知ったボクはどうしても行きたくなり3月、冬のラダックに向かったのだった。

 

また、チャムでは美しいチベットの民族衣装をきた人達がいるという情報もあったので俄然見てみたいという事もあった。

チベットの民族衣装はこのサイトで多数見る事が出来る。

民族衣装店『カイラス』はこちら

【辿り着けないインドの“小チベット”】

 

冬のラダックは飛行機の欠航が多い事で知られているが案の定‥

 

 

欠航した。

 

 

次のフライトまで1日待たないと行けない。

 

だがボクはインド=怖いところというイメージが払拭出来なかったボクは航空で待ち続ける事にしたのだ。

 

 

分かってる。

 

 

勿体ない事をした。

 

 

だからもしも次に行くときは誰かと一緒に行こうと思う!

 

その方か安心だ。

 

長すぎる待ち時間の後2回目のフライトは成功しラダックに到着する事が出来たのだった。

ただ冬のラダックは欠航が多い事や気温が氷点下に下がったり旅をするのが厳しい季節なので、この時期にラダックに行く人は注意して欲しい。

冬(12~2月)のラダック旅行の注意点『旅行者が気を付けたい6つの注意ポイント』

【インド辺境の地ラダック】

 

 

ボクがラダックを初めて目にした印象‥

 

 

なんて所だ‥

 

 

絶景過ぎる‥。

 

雄大なヒマラヤ山脈の峰峰に驚いたボクだったが、さらに驚かせたのがラサのポタラ宮によく似たレーの王宮跡だった。

ラダック王国のセンゲ・ナムギャル王が建てた王宮跡の存在感‥

 

さすがレーのシンボルといった所だろうか。

 

ただ1つ怖かったのがネパールの時もそうであるように犬の存在がボクに恐怖を与えたのだった。

 

 

ボクは犬が苦手である‥。

 

 

だがラダックの存在が恐怖を払拭したのだった。

街を歩けば至る所にここはチベット文化圏である事を思わせる建造物が多く有り、レーの商店街はまるでネパールの商店によく似ていて懐かしささえ感じられた。

しかもラダックの人達はとてもフレンドリーでネパールやカンボジアで出会った外国人目当てに近づく輩達がいなかった事もあり、一気にラダックの事が好きになったのだ。

 

【マト・ゴンパ】

チャムが開催されるマト・ゴンパは15世紀にドルジェ・パルサンによって建設され、ラダック唯一のサキャ派寺院だ(座主ルディン・キェン・リンポチェ)

 

レーに到着後『オールド・ラダック・ゲストハウス』に宿泊したボクは翌日チャムを見にマト・ゴンパまで行ったが、あいにくフライング!

 

1日早かったようだ。

 

仕方がないからお堂で美しい壁画をスケッチしているとそれを見ていた僧侶に厳重注意を受けてしまい追い出されてしまった!

ボクのような真似は決してやらないでほしい。

 

ゴンパは神聖な場所であるから不謹慎な行為をやってはいけないのだ。

 

【ボクはチベットの神々を見た!】

3月8日、2日間にわたるマト・ゴンパで行われる『マト・ナグラン』が開催された。

午前11時に開始されると共に参道には出店が多く集まり、ゴンパにはラダック人達が時間と共に多く集まり初め今か今かとチャムの開始を待っていた。

午前11時の開始1時間前にもなるとチャムの準備のため僧侶達や関係者達が集まり、信仰心高いラダック人達の中には民族衣装を着込み、チベットの有名な真言『オム・マニペ・フム』を唱えマニ車を回す人達も出始め異様な雰囲気の中‥

 

 

遂にチャムが始まったのだ!!

 

 

始まりのホルンの合図が地響きをうならせながらゴンパ中に鳴り響いた!

 

 

『ブォオオオオ!ブォオオオオ!』

 

 

ホルンの合図と共に神々や道化等、恐るべきラダックの守護神の仮面を付けた僧侶達が境内で舞い始めたのだ!

 

ボクはチベット文化の真っ只中にいた!!

ラダック人達が境内を囲む中、神々が舞っている姿を見ていたボクは高揚感に包まれてチベット文化の素晴らしさを身にしみる事が出来た!

ブォオオオオ!ブォオオオオ!となると共に様々な神々が舞い、後半に登場した護法尊はとても迫力があった。

あの時のチャムの光景は忘れられない。

あのチベット文化の真っ只中にいたボクはチベット文化をもっと知りたい、様々なチベット文化圏の国々や地域に行ってみたいと思ったボクはその年の9月タンカ修業の為ネパールへ再訪するのだった。

 

因みにチャムでは仮面舞踏と共にホルンやシンバル等数々の宗教音楽が鳴りひびくが、この音楽にも意味があるので以外の記事でまとめているので気になる人はチェックしておいて欲しい。

魂打たれるチベット仏教音楽が持っている意味とは?

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