冬(12~2月)のラダック旅行の注意点『旅行者が気を付けたい6つの注意ポイント』

インド北部ラダック地方にはチベット本土が失われつつある文化と仏教美術の宝庫としては知られるが冬に旅行する場合、色々注意が必要である。

実際にボクが三月の冬の終わりにラダックを旅をした時に感じた注意点を書いていこうと思う。

 

■其の一【レー行きの飛行機の欠航が多くなる】

ラダックの中心地レーに行く為には陸路と空路があるが陸路の場合マナリとスリナガルから行けるレー行きのバスがあるが11~5月にかけてヒマラヤ山脈の積雪の為、通行不能になり陸路で行く事は出来ない。

よって冬季にラダックに行く場合飛行機でレーまで行くのだが、とりわけ冬はデリーの濃霧の影響やラダックの天候不良で欠航になりやすい。

その為レー行きの飛行機は霧の薄い午前中のフライトなのだがボクも初めてラダックに行った際、一度欠航(ラダック付近まで飛んだが途中天候不良でデリーまで引き返した)になり二日目にようやく飛んだという事がある。

 

ただこれはマシな方でラダックに行った知り合いの話によると三~四日欠航なんて事も普通にあるらしい。

 

だからラダック旅行に行く場合日数に余裕を持って計画した方が良いだろう。

*レーまではエア・インディアやジェットエアウェイズ等が就航している。

ボクはエア・インディアでレーまで行ったが往復95000円位だった。

 

■其の二【凍てつく冬のラダック】

12~2月の厳寒期のラダックは-20~30℃という北海道の真冬並みの寒さで特に朝と日が落ちた後は恐ろしい寒さになる。

当然それなりの温かい服装で行けばいいのだがボクは秋に着るような薄手のハーフコートに薄手のズボンで行ったという経験がある。

温度計がないため当時の気温はよく分からなかったが明らかに氷点下にいっているラダックの中、身震いが止まらずガタガタ言わせながら旅行したという事があり、ラダックの冬をなめていたボクのミスであった。

*軽装で行ったのはラダックの民族衣装ゴンチュが欲しかったという理由であったが防寒スパッツ位履いていけばよかったと思う。

 

ただ後にラダック在住の日本人と会う事になり、彼女の話によれば平年以下の寒さなのだそう。

 

「今年は寒くない。異常だ」

 

と言っていたが相当寒かったので日本で厚手の防寒着やパーカ等買ってからラダックに行った方が良いだろう。

 

■其の三【水が出ないゲストハウス】

ボクがラダック滞在中泊まっていたのが『オールド・ラダック・ゲストハウス』という安宿で“地球の歩き方”にも紹介されているラダック1古い安宿であるが水が全く使えないという事があった。

当然シャワー、トイレの水が流れず安宿のスタッフからバケツいっぱいに入ったお湯を使ってくれという事だった。

 

トイレは余った水で用を足したモノを流すというシステム。

 

水が不便なのはこのゲストハウスだけかどうか分からないが、少なくともマキストーブだったりお湯が使えなかったりと少々不便に感じるかも知れないが致し方ない。

ラダック人も同じような生活をしていると思えば気が休まるのではないだろうか?

因みに『オールド・ラダック・ゲストハウス』の位置はレーの旧市街にあり空港でゲストハウス名を伝えれば宿まで連れて行ってくれる。

*Single:400ルピー

 

■其の四【冬は飲食店が激減!】

冬のラダックはとにかく営業している飲食店の数が減る。

夏のシーズン中はヒマラヤ山脈が雪に覆われていないので都市部から、ありとあらゆる食材がラダックに届き、レーで何でも食べられるが冬になると食材が減り主にチベット料理を食べる事になる。

その現実をまざまざと感じたのはラダックで旅をしているという日本人男性と飲食店に入った時の事。

彼とチベットの話で盛り上がってる中、ボクはチベット料理であるモモ(チベット版ギョウザ)とコーラを頼んだ。

 

その時だ。

 

店員から「コーラはない。」という言葉が。

 

 

コーラがない!?

 

 

ボクは絶句した。

 

世界中どこに行ってもある、あのコカ・コーラが無いだなんて!?

 

レーの売店にはマンゴージュースがよく売っている。

 

マンゴー売っていてコカ・コーラが無いだなんて考えられない!!

 

と、歯がゆい思いをしながらボクはコーラを諦めた・・。

 

というように冬のラダック旅行をすると食べられる料理が限られてくるので予め知っておいた方がいいだろう。

ラダックで食べられるチベット料理はチベット版ギョウザのモモやトゥクパやタントゥクという、うどんのようなもの。

だがボクのオススメは路地裏でイスラム教徒が売っている薄く焼き上げたパンで10ルピーと安くて美味しいので是非ともラダックに訪れたら試してほしい。

 

■其の五【レーから各エリアに行くバスの便数が減る】

厳寒期のレーは各エリアに運行するバスの数が減るため、レーから各エリアに行く為にはタクシーで行く事になる。

ただタクシーは組合を組んでいてぼったくられる事は無いが、結構いいお値段がするため安くしたいという人は行きはタクシーにして帰りはヒッチハイクやバスを捕まえてレーまで戻るといいだろう。

 

■其での六【ゴンパ(チベット仏教寺院)に入れない(一部)】

冬になるとゴンパにいるはずの僧侶が消え中に入れないという事がある。

多くの僧侶が本来いるはずなのに、一体どこへ行ったのか?疑問に感じるが、中に入れないと結果的に戻るしかなくなってしまうのだ・・。

ボクが実際に入れなかった例をあげるとレーからインダス川を挟んで南側にあるストク・カルというラダック王家の居城跡で現在は博物館になっている。

博物館内は王家にまつわる品々やタンカが展示されているが行ってみて分かったのが冬は営業しておらず6月にならないと開かないという事実をストク・カルの入口前に置いてあった看板で知るのであった。

仕方なくボクは近くのストゥーパを写真に収め、レーに戻るのであった。

もう一つはレーから西に17キロ程行ったところにあるピャン・ゴンパ。

 

ラダック在住の日本人からピャン・ゴンパの壁画は美しい。

 

という情報があり行ってみたが僧侶が一人もおらずゴンパは鍵が閉まり入る事が出来なかったという事がある。

またラダックのシンボルともいうべきティクセ・ゴンパも人気がなく、偶然出会った僧侶のおかげで巨大な弥勒菩薩立像を見る事が出来たくらいで、他の御堂の中をうかがい知る事は出来なかった。

以上のようにゴンパ内の美しい壁画を見れるかどうかは、もしかしたら『運』のようなものが必要なのかも知れない。

 

【冬は冬でいい所もある】

移動手段が限られ、モノがなく、くそ寒いラダックであるが冬は冬なりにいい所もある。

例えば飛行機から見える雪化粧された雄大なヒマラヤ山脈は感動を覚える位絶景でもあり、ナイナイ尽くしのラダックを旅すると本来の姿を垣間見れるはずだ。

 

 

そしてチベットの正月ロサルや冬のゴンパではチャム(仮面舞踏)が開催されチベット文化の美しさを感じる事が出来る。

ボクがラダックに行った最大の目的はそのチャムであり、三月の始めマト・ゴンパで開催された盛大な仮面舞踏祭はまさに異次元に迷いこんだようだった。

因みに、この時のチャムの様子を記事にしてみた

チベットのお祭り『チャム』インド秘境の地ラダックで見た曼荼羅世界とは?

ともあれ冬季のラダック旅行は何かと不便な所が多いかもしれない。

しかしそれがラダックであり下界から閉ざされたチベット文化の宝庫の真の姿なのだ。

 

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