世界には人類が未だ見ぬ秘境があれど冒険者達はその秘境を求め世界中を旅するのだ・・。
インド辺境の地ラダックには冒険者達が憧れる秘境中の秘境チベットが失いつつある美しき仏教美術や文化が溢れ誰しも一度は行ってみたい世界の秘境の一つだ。
ラダックがあるのはインドのジャンムーカシミール州にある標高3500メートルに位置する山岳地帯にあり夏は30度まで達するが冬は一点氷点下20~30度は行く極寒地帯だ。
ただラダック人と結婚したある日本人女性によれば温暖化の影響なのか「寒くなくなった、異常だよ。」
といっていたが冬のラダックは猛烈に寒かったのできっと麻痺しているんだろう・・。
【ラダックへの交通手段】
ボクは普段仏教をモチーフにした絵を描いているがその参考の為、勉強の為に冬のラダック(3月)に行こうと決意した。
ラダックに行くためには二通りの交通手段がある。
一つは陸路で。
インド辺境の地ラダックに入るためのルートはスリナガルかマナリからのルートがあるがラダックに行くには雪が降らない六月から十月位までだ。
二つ目は飛行機でレーまでひとっ飛びの方法だ。ボクが行ったのは3月だったので飛行機(エアインディア)を使い、レーまで行った。
ただ一日欠航してしまい二日目でようやく行く事が出来た。
ラダックは欠航がよく発生し夏でも欠航する事があるそうだから余裕をもってラダックの旅に挑んだ方が良いだろう。
ボクはHISで航空券を買ったが金額は以下の通り。
成田~デリー~レーまで往復95000円位だった。
*インド国内線は日本国内でも発券出来るので便利だ。
*ボクは冬に行ったが夏のシーズン中は人気が高く予約が取れにくい為注意が必要だ。
飛行機で行ったのは当然ヒマラヤ山脈に雪が降れば車での移動なんて出来ないのだが夏でもボクは飛行機で行くと思う。
陸路の場合マナリからラダックの中心地レーまで1泊2日間でバス移動する。(ゲストハウス等で泊まりながら、大胆2000ルピー)窓の外を見ると美しいヒマラヤ山脈の絶景が広がり移動の苦痛なんて忘れるのかも知れない。
ただボクは普通の感覚?なので飛行機で行ったのだ。
1泊2日間のバス移動・・
考えただけでも恐ろしい・・
東チベットへ行った際、成都からカンディンまで半日かかったのすらきつかったのに・・
因みに陸路で行く場合スリナガル経由は危険なのでやめておこう。
スリナガルはイスラム過激派のテロ事件等が頻繁し日本外務省から「渡航の延期をおすすめします」という警告が出されていて本当に危ない。
好奇心の引き替えに命を落とすような事はあってはいけないのだ。
■因みに東チベットの様子はこちら
【レーに到着したら必ずする事】
飛行機でレーに到着して、いざポタラ宮のモデルとなったと言われるレー王宮に向かおう!という前にやらなければならないことがある。
レー空港に到着したボクの前に現れたのは空港スタッフで、その人は1枚の用紙を渡された。
それは外国人全員が書かなくてはいけない用紙でラダックの入域許可証だ。
入域許可証とは入国許可証のようなもので様々な問いが書かれている。
例えば名前、生年月日から職業に目的等10問位あり外国人はそれを書いてカウンターに渡さなくてはいけないのだがボクは元々英語が弱く中々かけなかった。
でも大丈夫。
ボクのような人間でもカウンタースタッフに「アイドントノー(分からない)」と答えると彼らが口頭で質問され代わりに書いてくれるのだ。
何とも親切な空港スタッフだ。
【ラダックの観光スポット】
空港をでるとプリペイドタクシーで王宮がメインバザールに向かう事になる。
空港~メインバザール:タクシーで200ルピー
メインバザールに到着すると真っ先に見えてくるのがレー王宮跡だ。
中に入ったことがあるがお堂がある程度でもはや廃墟なのだがラダックのシンボル的存在であることには変わりない。
ラダックに行く人達には二種類の人達がいる。
1つは仏教美術を求め僧院を訪れる人達
ラダックは遥か昔、国として栄えラダックのある西チベット一帯では仏教再興運動があり、そのお陰で世界的にも有数のチベット美術が多く残る僧院が沢山ある地域となったのだ。
しかも中国による文化大革命の影響を受け僧院が破壊され続けたチベットとは違いインド領に属していたラダックは僧院の破壊を免れ今では美しい壁画が数多く残っていてボクのような仏教の絵を描く人間にとってはもってこいの場所としてその名を知られている。
有名な寺院としてアルチゴンパがある。
アルチにはチベット仏教美術の宝庫として有名でカシミール様式の仏教美術が僧院の中に埋め尽くされている。
因みに撮影禁止です。
他にもTHE・ラダックというべきティクセゴンパがある。
要塞のようにそびえる僧院の中には美しい壁画が沢山あり、中でも弥勒菩薩の仏像は凛とした表情が何とも美しかった。
レーから各エリアまでミニバスが運行しているが冬になると走っていない事があるので注意が必要だ。
その場合タクシーで行く事になるがタクシー組合を組んでいてぼられる事もなく嫌な思いをしたことがなかった。
タクシーを警戒している人にも一安心だ。
ただ少し高い感じがしたが・・
少し例をだすとレー南東約20キロにあるマトゴンパまでタクシーで行ったが800ルピーだった。
高いかどうかは人それぞれだ。
【インドのトレッキングエリア】
もう一つはトレッキング目当てでラダックに訪れる人達だ。
ラダックには美しいヒマラヤ山脈がそびえその山々をトレッキングする旅行者達が数多くいる。
ただトレッキングが出来るのは六月から九月の夏の間まで。
理由は冬になるとマナリからのバス移動が出来なくなるのと同じ理由で雪がふり通行不能になるからだ。
トレッキングを行う場合レーでしっかりと高地順応を行いトレッキングに出発したほうがいい。
でないと高山病になってとんでもない事になる・・。
レーを歩いているとトレッキングが有名だけあってアウトドア用品を売っている店があったり、まるでネパールのタメルのような雰囲気がある。
そういう店でアウトドア用品を買いヒマラヤ山脈にトレックするのもありだろう。
そして旅行会社等でガイドを雇いトレックする事で遭難する事も防げると思うがボクのような人間には縁はないだろう・・。
以前カンボジアで知り合った日本人高木氏に「そんなに山上りは好きですか」と言った事がある。
すると彼は
「山上りとトレッキングは違う」
と答えた。
きっとトレッキングして山の頂にたった人にしか分からないものがあるのだろう。
【ラダックの各エリアについて】
美しきヒマラヤ山脈に抱かれしラダックには様々なエリアが存在し、ラダックの様々な顔を見せてくれる。
●上ラダック
インダス川上流一帯にあるエリアを上ラダックといいストク王宮、ティクセゴンパ、マトゴンパ等有名な寺院や遺跡がある。
中でもマトゴンパでボクはチャムと言われる仮面舞踏祭を見てチベット文化の美しきを知ることが出来た。
その時の様子は以下の記事を読んで欲しい。
●下ラダック
インダス川下流にあり標高も低い下ラダック。
草木があり野菜も取れるエリアであり有名なアルチゴンパがあるのも下ラダックだ。
他にもピャン、リキルと言った僧院がある。
●ヌブラ
ラダック北部にある渓谷地帯であり、雄大な渓谷や農村風景がみられラダックの荒野の中で現れるオアシスのような場所だ。
ヌブラを訪れる場合インナーラインパーミットと言われる許可証が必要でこれはレーの旅行会社で取得出来るのでヌブラに行く場合頼んでおこう。
●ダー・ハヌー
ラダックはパキスタンと近い事もありイスラム教徒が多く存在する。
レーをあるくとモスクまで存在し見事に仏教とイスラムが調和を図っているがイスラムが多くいるのがダー・ハヌーだ。
下ラダック、カルツェからインダス川沿いの道を北西に行くとダー・ハヌーにつき近くにはドクパと言われる少数民族が住む村もある。
ここも許可証が必要だ。
●ザンスカール
ラダック南の奥地にあるザンスカールというエリアには切り立った山々が広がり冬になると下界から隔絶される事もあるため正に秘境という場所だ。
このように一口にラダックといっても様々なエリアがあり何度来ても旅人を飽きさせない魅力的な場所だと思う。
【ラダックの治安について】
ラダックは比較的治安がよく犯罪に巻き込まれルような事もないがパキスタン寄りのエリアは外国人が巻き込まれる事件も起きている為行かない方が無難だ。
あとラダックには魅力的な土産物が沢山あるがもって帰れないもの(骨董品とか)があるため、そういうものは買わない方が良い。
ボクはデリーに戻る際、空港の中で何度も荷物をチェックされた事があり、これは貴重なラダックの文化を海外に渡さない為の措置なのだ。
ここまで秘境ラダックを紹介してきたがラダックに行ったらラダック人の優しさにふれ間違いなくまた戻りたくなると思う位、本当に素晴らしい場所だ。
仏教美術やトレッキングに興味がある人以外でも訪れる価値は本当あると思うから是非一度訪れて欲しい。