SNSで神絵師さんなんて言われている人の中には、ごちゃごちゃした感じで描いている人がいるが
一体どうやって描いているのか?
また、実際に描いてみたいなんて思う人もいるのでは無いでしょうか?
チベットを旅する画家であるぼくの絵もごちゃごちゃした感じで描いている事も多い。
そこでこの記事では絵描きである、ぼく目線で描き方・メリット・デメリットについて記事にしてみた。
【ごちゃごちゃした絵の描き方】
ぼくの絵の題材は仏・天使・悪魔など宗教画をモチーフにしたものが多いが、それゆえ細かくなったり登場人物が多くなる傾向になってしまう。
ただ意識している事は余り沢山色々なものを描きすぎないようにしている事だ。
ぼくの絵を見ればわかる通り登場人物を沢山描いているけれど
それはあくまでメインとなる人物を引き立てる役割を担ってる感じで描いているので題材が一体何なのか?
が分かるように工夫している。
沢山色々な物を描いて情報量を増やす事で見ている人を引き込ませる事が出来るのが
こういった絵の魅力だが見せるやり方というのが必要になってくるのだ。
さて!
ごちゃごちゃした絵を描くテクニックとしては先ほども書いた通りメインとなる人物(または建物や植物等)をいかに引き立てるか?
そして情報量を増やすためメインとなる人物に組み合わせられそうな小物、人物、背景等はないかという事が挙げられる。
例えば仏画を例にとってみると菩薩や明王は必ずといっていい程、装身具を身に付けているが
こういった装身具の数を増やしたりデザインを工夫する事がポイントだ。
チベット仏画をモチーフにしたぼくが描いた絵の下の方には大きく描かれた文殊菩薩の他に中くらい仏を描いたが回りには
取り囲むように小さく神様達を描いたり装飾的な枠を囲んで描いている。
つまり一番目に入る大きな物の他に中くらいの物、さらに小さい物をいくつも増やす。
これを絵の中にいくつも繰り返す事でごちゃごちゃした感じに描く事が出来るのだ。
【絵を描く為に向いている画材とは?】
一番ごちゃごちゃした絵を描く為に向いている画材はやはりボールペンだ。
ボールペンなら細かい所を書く事に適しているし、世界中どこでも売っているので画材屋にわざわざ足を運ばなくてもいい。
またボールペンのいい所は絵の具ように色を塗らなくていい所で書いてから仕上げるまで時間がかからない所もメリットだ。
もし色をボールペンで表現するなら色の明暗をハッキリさせる事で
黒と白のバランス等の勉強は白黒写真やカラー写真を白黒に加工してみる事が近道かも。
ボールペンを使った絵は短いスパンで絵が上達する可能性がある画材だが
ぼくがメインに描いているアクリル絵の具を使った絵に関しては上達するのが時間がかかる。
ただしアクリル絵の具は色鮮やかに魅せる事が出来るし保存という面でもカラーペンを使った絵よりも長期的に保存出来るのでオススメ。
それとアクリル絵の具は間違った場合であっても、塗り重ねる事で修正出来るのも魅力のポイントだ。
細かい所を描く時は細密画用の筆を使いペンと同じように描いていく。
ぼくの絵の事を話すとグラデーションをつくように色を塗り重ねた後、細密画用の筆で黒い絵の具を使ってなぞっていく感じだ。
アクリル絵の具を使わないで色を塗りたい場合はペン画や色鉛筆画が考えられる。
ペン画なら黒いペンで描いた後にカラーペンで塗っていく事が出来るが失敗出来ないのが難点(コピックの場合塗り重ねるて描くのが基本だが、やはり塗りたい色はミス出来ない)
上記で紹介したのは全て手書きのアナログ画だが技術があればソフトやアプリで色が塗れるデジタル画もある。
ぼくはアナログ絵師なのでソフト等を用いた絵の描き方が分からないので教えられないが興味のある人は調べてみてはどうでしょうか?
【情報量を増やすメリットとは?】
以前画廊から言われた事だが色を色々な所に配置する事で情報量が増えて見ている人を引き込ませる事が出来るというアドバイスを頂いた事がある。
このアドバイスを元に実践してきた訳だけど分かりやすい例を言えば
『ウォーリーを探せ』という有名な絵本がある。
ウォーリーを探せとは眼鏡に紅白の服を着てステッキを持ったウォーリーを数えきれない程の人達の中から探すというものだが
何故この絵本が世界中から愛されるかというと、やっぱり密度(情報量)の高さだと思う。
ぼくは子どもの頃、このウォーリーを探せをよく読んでいたが理由はウォーリーを探す事よりは沢山いる人達を見ているだけで面白かったからだ。
つまり沢山の老若男女は様々な行動している所が面白く一人一人個性的に描かれている所が情報量を増やし飽きさせない工夫をとっている。
という事が、この絵本の魅力であり作品、アートとして世界中に愛されるのではないかと思います。
この世界一有名なごちゃごちゃした絵本のように情報量を増やす事で飽きさせないというメリットがあると共に
絵が得意でなくても情報量を増やした描き方というのは上手く見える錯覚を引き起こせるのだ。
正直ぼくは絵を描き始めた頃は今のように絵が細かくなかったが(独学で描いていたので)初個展は何点も絵を売る事が出来た。
理由は今考えれば値段が想像以上に安かったのと今も昔も沢山のキャラクターが登場する絵を描いたからである。
とにかく初めの頃は描き方や見せ方を模索していた頃だったので美術書に載っている宗教画をもとに
キャンバス上に粗っぽい感じで神様達を沢山描いていたが、それでも買ってくれた人が多かったのは
やっぱり上手く見えてしまう錯覚があるのだと思います。
ただし錯覚させているだけで画力が追い付いてないのは絵描きとやっていく上で問題だと思ったので、後年ぼくはネパールで絵の修行をしに行く事に。
独学で続けるというのは絵が上達するのが時間もかかりデメリットな所があるが誰かから教わると上達も早くなるので
画力に自信がない人や絵描きとしてやっていきたい人は一度は絵の描き方・塗り方等を教えてもらった方が経験上ベストです。
【潰れて見えなくなる事への回避法】
絵を何年も描いている内、こんな指摘をもらうようになった。
離れて絵を見ると細かい所が潰れて一体何が描いてあるか分からない、と。
これは原画だけでなくオーストラリア旅で作ったポストカードにも言える事で
原画を小さくプリントした事が原因で細かく描かれた所が分からなくなってしまうというデメリットが生まれてしまった。
また、色々と描きすぎると全体的に黒っぽくなってしまうという事も画廊から言われたが
黒っぽい=見にくい絵という事に繋がるので見やすくするための工夫があるという事がこうした絵を描く為の課題である。
*ボールペン画の場合、逆に黒っぽく描くのがベスト
それは色の組み合わせ(なるべく明るい色を使う)や小さく描いた所をあえて中くらいに描いてみるといった具合に。
特に色の使い方とは何年も絵を描いてきても自分の物にするのは難しく今も勉強中だが
以前影があれば立体的に見えるのではないかと思い暗い部分が出来るように塗ってみたら
やっぱり黒っぽくなり売れいきとしては下がってしまった。
絵とは遠くからみても何が描いてあるか分かる絵を描くのがポイントで
冒頭に描いた中くらいの物と小さい物を描くバランスが必要なのだという事だ。
また組み合わせが大事という事は絵を描く前の下書き・構図を決める段階で完成図をイメージする事が大切であり
ぼくの場合、絵を描く為のキャンバス選びからそれは始まっている。
その後スケッチブックに完成図をイメージした絵をボールペンで書くが、そのまま書いてしまうと黒っぽくなってしまう事があるので
これを描いたら間隔が有りすぎて潰れてしまわないか?
等を考えながら絵を描いているようにしている。
絵は描けば描くほどレベルが上がっていくのは必然的だが
同時に雰囲気や色の使い方が変化するのでアドバイスをくれる人がいると指摘された所を改善、制作を繰り返す事がポイントなのです。
【まとめ】
今回はごちゃごちゃした絵について記事にしてみたけど色々な物を追加しながら情報量を増やすというやり方は
時間がかかる反面、絵が完成した時の達成感があるからこその面白さというものがある
また、あれも描こうか?これも描こうか?
など考えて描く事が醍醐味であるが増やし過ぎると全体的に見にくい絵になってしまう難しさもある。
ただ難しく時間もかかるが面白い。
だからごちゃごちゃした絵は止められないのだと思います。
それではこれから絵を描くので今回はこの辺で失礼します!