不動明王の仏画の世界!名前の由来や持ち物を解説!

日本各地に不動尊や不動滝といった名前のつく場所があります。

 

 

名前の由来となっているのは、あの不動明王です!

 

青黒い身体に剣と索を持って怒った姿をしている明王さまの事ですね。

 

日本では阿弥陀如来や地蔵菩薩、弁財天などと同じように人気の高い仏の一つのようで

不動明王の仏像や仏画をまつった寺院仏閣、霊験あらたかな聖地が数多くあります。

ぼくの出身地である新潟にも不動尊、滝が沢山あって、たまに観光がてらに行ったりするのですが

そういった所には仏像があって地元の人から信仰されているんだなぁと感じたりします。

 

さて!

 

今回は以外に知っているようで知らない不動明王についてチベットを旅する画家のぼくが解説しようと思います。

【明王とは?】

 

そもそも明王さまとは一体どういう存在なのか?

 

簡単に言えば仏教の敵から守ってくれるボディーガード的な仏達

元はヒンドゥー教の神々が密教に取り入れられると共に大日如来から生まれた存在

として様々な明王が誕生しました。

 

例えば日本には五大明王や八大明王というものがあって、顔や手がいくつもある忿怒の仏達のチームなのです。

 

五大明王の顔ぶれは以下の通り

■不動明王

■降三世明王

■軍荼利明王

■金剛夜叉明王

■大威徳明王

八大明王はこれ以外に三尊を加えたものを言います。

■烏枢沙摩明王

■無能勝明王

■馬頭明王

これ以外にも日本では様々な明王が信仰され仏像や仏画に残されています。

 

例えば怒った姿の明王には珍しく優しいお顔だちの孔雀明王や愛欲を悟りの境地へと変えてくれる愛染明王。

 

元は人間を喰う悪鬼だった大元帥明王、弥勒菩薩の化身とも言われる大輪明王、普賢菩薩の化身とされ人々を救う存在の歩擲(ぶじゃく)明王。

 

お釈迦様が悟りをひらく際に悪魔達が妨害した時に手助けしたという無能勝明王といった数多く明王さまがいます。

また、ぼくが大好きなチベット文化圏には十忿怒尊といってチベット版明王さまチームがあって日本とは違った姿で表現されています。

仏教の五大明王とチベットの10忿怒尊の違いとは?

【不動明王という仏】

名前の意味はアチャラ、アチャラナータといってサンスクリット語で動じない者を意味します。

また名前の由来であるアチャラというのはヒンドゥー教の破壊神シヴァの名前の一つであり

千手観音(サハスラ・ブジャ)や大黒天(マハーカーラ)もまたシヴァ由来とされています。
仏教における不動明王について話を戻すと彼は大日如来の化身として人々を救い悪者を降伏させるための使者なのです。

【姿や持ち物について】

この絵はぼくがボールペンで描いたものだが一般的な不動明王の姿です。

右手に煩悩を絶ちきる宝剣をもち左手に羂索(けんじゃく)という索で煩悩を縛り人々を救う役割をもつ武器を持った姿が多い。

姿は童子形で身体の色は青や青黒、黒、黄、赤など色々な色で怒った顔をしています。

眼は天地眼といって全てを見通すように左右、上と下を同時に見ている(眼を見開いたものもある)

口元は右上と左下の牙をつきだしている(これも例外がある)

 

髪型は髪の毛を束ねていて、髷をつくっていたり蓮華を頭の上に置いていたりする。

 

また背後には明王さまの特徴である炎の光背の迦楼羅炎(かるらえん)を背にしています。

名前の由来は八部衆の一つ迦楼羅(ガルーダ)が羽を広げた形に似ている事から名付けられたからだという)

また瑟瑟座(しつしつざ)という不規則な形をした台座に座っています(中には立像も有り)

 

不動明王の姿の中にはくらりから明王といって竜に変化し剣に巻き付いたものもあります。

チベット文化圏では忿怒の形相と怒っていない顔の両方があり眼も三つあって、片ヒザをつき蓮華座に乗っている。

明王妃を抱いた姿もあってヤブユムというのですがチベット密教独特の作例といえるでしょう。

チベット仏教『曼荼羅の歓喜仏ヤブユム』歴史に隠された意外な真実!!

 

【眷属】

眷属、つまり従者の事ですが不動明王には制吒迦童子(せいたかどうじ)を左に矜羯羅童子(こんがらどうじ)に右に従えた姿が一般的です。

二人の童子は15歳位の姿で白い肌をして合掌している少年が矜羯羅童子、赤い肌に棒を持ってる少年が制吒迦童子です。

 

因みに本来はこの二人の他にもう六人が従えている八童子の場合があります。

 

矜羯羅童子と制吒迦童子以外の童子の名前は以下の通りです。

■慧光(えこう)童子

怒った顔で右手に五鈷杵、左手に月輪のついた蓮華を持っている。

■慧喜(えき)童子

天衣をまとい右手に三鈷杵、左手に如意宝珠を持っている。

■阿耨達(あのくた)童子

菩薩の姿で右手に独鈷杵、左手に蓮華を持ち龍に乗っている。

■指徳(しとく)童子

目が三つで甲冑をつけた姿で右手に三叉ぼう、左手に輪を持っている。

■烏俱婆伽(うぐばか)童子

冠を戴き三鈷杵を持っている。

■清浄比丘(せいじょうびく)童子

僧侶の姿で剃髪。右手に三鈷杵、左手に経典を持っている。

その他にも四十八人、三十六人の童子を従えているという例もあります。

 

【拝観できる場所】

不動明王は現世利益があるだけあって日本でよく信仰されている仏さまです。

その為、仏像や仏画を拝観できる場所はけっこうあります。

仏像で有名なのは京都、東寺にある立体曼荼羅の仏像ではないでしょうか?

 

以前ぼくは東寺にて拝観した事がありましたが密教の代表的な仏

大日如来を頂点とした五仏や梵天、帝釈天に四天王、五大明王の仏像が勢揃いで迫力がありました!

 

撮影出来なかった事は残念でしたが国宝で、それ以前に信仰の対象なので仕方ないですが。

因みに身近な所では不動滝や不動尊には仏像がある事が多いです。

大自然の中にある不動滝を見るために歩いていたりすると絵のイメージがわいたりするので

ぼくはたまに息抜きの為に近隣の山に行って滝を見に行ったりしています。

仏画においては三大不動というものが日本にあって

京都、青蓮院の青不動や世界遺産である高野山の明王院にある重要文化財の赤不動に

滋賀県の天台宗の総本山三井寺の秘仏、黄不動が有名です。

海外では特にチベットのお寺は壁画が美しく絵のイメージを膨らませるため旅をしたりしていますが

チベット自治区のシャル寺には白不動と黒不動の壁画があってチベット独特の日本と違った描きかたで描かれています(まだ未見ですが)

【まとめ】

今回ご紹介した不動明王、特に日本は盛んに信仰された事もあって作例が多く、色々な所にあります。

ぼくは仏の絵を描いているせいか、この類いの事を調べるのが好きで興味が尽きる事はありませんが

特にチベットは日本以上に密教色豊かなカラフルな仏像、仏画、壁画が豊富で何度も足を伸ばしています。

今回は不動明王の世界を紹介しましたが、このブログでは様々な密教の仏に関しても紹介しているので是非チェックしてみて下さい。

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