ボクは2年に1回のペースで個展を開いたり韓国の国際的な展示会テグ・アートフェアに出品した事がある画家の宮下拓美。
今では繊細な絵を描けるまでになったが始めた当初は画材の使い方すら分からない素人だった。
今回はそんな絵の初心者だったボクの絵が上達するまでの過程を大公開しようと思います。
【元々は漫画家志望だった。】
ボクの絵は漫画風にアレンジされているが、それはボクが元々漫画家志望だったからだ。
中学3年の頃に漫画家を目指し、後に漫画を上達させるため日本アニメ・マンガ専門学校に入学するも、そこで出会ったのは絵だった。
卒業後ボクは専門学校時代に描き上げた絵を発表するため個展を開く事になるのだが、そこに至るまでの過程は一筋の
『運』
がボクに舞い下りたからに他ならない。
専門学校では画材技法という画材の使い方・絵の授業があり、アクリル絵の具や水彩画等を学ぶ時間があった。
そこでボクは自分でも気付かなかった絵のセンスを見いだしてくれた担当の先生がボクに
「画廊で個展をやってみない?」
と話を持ち掛けてくれた。
これはボクにとって間違いなく『運』が巡ってきた瞬間だった。
何度描いてもいい結果が出ていない漫画とは違い絵は初めて認められた、そんな気がしたボクは漫画よりも絵を主軸に描くようになっていった。
【悪戦苦闘の日々~色の使い方はゲームから学ぶ】
初の個展に向け絵を描き進めるボクだったが使い始めたばかりのアクリル絵の具は中々マスターする事が出来なかった。
それもそのはず絵の具自体中学の美術の時間以来ずっと使っていなかったしアクリル絵の具や筆の使い方もよく判らなかったからだ。
この絵は描き始めた当初に描いた宗教画のような絵であるが現在の繊細な絵と比べても全くダメダメな絵である事がおわかり頂けるだろう。
画像では分かりにくいがリキテックスガッシュ・アクリリックとレギュラータイプを混合して描いた事により光沢のある部分と光沢の無い部分が丸わかりで統一性の無い絵となってしまっている。
この絵を見ると凄く荒いが、ボクは始め漫画のように細かく描けるものだと勘違いしていたが
1番の原因は筆であり後々ネパールで細密画を描くためには細密画用の筆があるという事を知るのだった。
下の画像はボクが最後に描いた漫画であるが、こういう細かい感じで描けるんじゃないかと思っていたが、それは大きな間違いだった。
それと特にボクを悩ませたのが色の使い方だった。
今まで白黒世界の漫画を描いてきたボクにとって色鮮やかな絵の具を使う『絵』は未知の領域であり、相性の良い色の使い方がボクにはまるで判らなかった。
そこでボクはゲームをして色の研究をした。
これには理由があり昔のゲーム(スーパーファミコン)は全体的に色調が濃い傾向にあってドンキーコングやカービィ等、色の使い方の勉強に最適だと感じたからだ。
とはいえ簡単に習得できる訳もなく個展開催までの1年間位、試行錯誤して絵を上達させていった。
因みにボクは色の使い方が分からず何度も塗り重ね様々な色を試した結果、なんとヒビ割れが発生し画廊に注意された事があった。
今ではその対策として絵が完成したらボクは必ずメデュウムをヒビ割れ防止として上塗りしている。
【宗教画の勉強の為ネパールに行く】
初の個展は金額が安かったせいもあって沢山売ることが出来た。
その後ボクは絵の勉強をしてみたいと思いネパールに行く事になった。
理由はネパールは仏教美術が沢山あって絵の勉強になると思っていたからというのと物価が安いので長く滞在できると思ったからだ。
実際に行ってみると美しい仏像、壁画の数々が沢山あって一層宗教画にハマっていく事になった。
ただ旅中、悪徳ネパール人に何度も遭遇し人間不信になったボクは一ヶ月の殆どを安宿の中で引き籠もる事になる。
【韓国のテグ・アートフェアへ】
帰国後ボクは食料品会社の仕事の傍ら仏教の絵を描き進め個展をして海外に行くという事をしていた。
そんな生活をしていたある日、画廊から韓国のテグ・アートフェアに出品して貰える話が持ち上がりボクは画廊の手伝いとして一緒にテグに行く事になった。
最寄りの釜山までは大阪からの船旅で到着するとテグのスタッフらしき人物の車で開催地まで荷物を持って同行。
テグ・アートフェア内は地元韓国のみならず世界中の画廊が集まる国際的な展示会で一流のアーティストが創ったアートが沢山展示されていた。
そんな中、羊画廊がピックアップした絵の中にボクの絵があったのだが・・
やはりどうみても当時のボクの絵はまだまだで当然売れる事は無かった。
世界との壁をまざまざと感じたボクは漫画家の夢を諦めてまで一層絵に励み続けた。
その後もテグ・アートフェアに出品して貰える機会があったが売れず後に開催された四回目の個展の売り上げ金を元にいったインドでボクはその後の人生感・絵の向き合い方を変えるまでなる。
因みにテグ・アートフェアの様子は羊画廊のHPにアップされている。
【ネパールにタンカ修行の旅へ】
インドでチベット文化に触れたボクは、彼らの信仰心・文化の神髄を探るためネパールでタンカと呼ばれる仏教画の勉強に行く事にした。
ボクは観光ビザで行ける三ヶ月間タンカ絵師マイラさんの元修行したが絵を学んだ事が無かったボクにとって新鮮な毎日だった。
タンカ絵師マイラさんとの出会いはこちらの記事を読んで欲しい。
帰国後描いた絵は天と地との差でやっぱり絵を上達させるには、誰かから学ぶ事が1番だと感じる出来事であった。
ネパールでタンカを学んだかいもあってボクの絵は毎年見るごとに進化を果たしドンドン繊細さをましていき、その事が画廊に評価され画廊の紹介で新潟の新聞社『新潟日報』の取材を受け記事にあるという事もあった。
以上が絵の初心者だったボクが上達するまでの過程の話です。
専門学校で絵と出会って、かれこれ7年以上たつがボクの絵は進化し続けているので、今後どのような絵になっていくのかボクにも分からない。
それが画家として楽しみでもあるため個展が開催された時はブログで紹介していこうと思う。