仏画と絵の違いとは?タンカ絵師ロク・チトラカール氏との出会い

ネパールの美の都のパタン・ドガ近くには日本で個展経験もあるタンカ(仏画)絵師ロク・チトラカール氏のシムリク・アトリエがある。

開:11:00~17:00

休み:土曜、祝日

ボクはタンカを三ヶ月間ボダナートで学んだことがあり、以前よりロク氏のシムリク・アトリエには一度でいいので行ってみたかった。

因みにタンカというのはチベット仏教画の事で宗教的目的の為に描かれるが、その美しさの為、欧米諸国や中国で人気が高くネパールはその生産地ともなっている。

因みにボクは以前、ネパールのチベット仏教の聖地ボダナートでタンカ修行をした事があり、そこで得た経験は今でもボクの絵に活かされている。

ネパールで3か月間チベット仏画タンカを学ぶ!『タンカ絵師マイラ氏との出会い』

【パタンのシムリクアトリエ】

ボクはチベット仏教美術の魅力に取り憑かれ、様々なチベット文化圏の国々を旅している。

 

ラダック、東チベット、ネパール・・

 

特にネパールは今まで三度訪れ、今回は4度目。

 

7月の夏の事でネパールは雨期に入る。

 

4度目のネパール訪問でパタンに行ったボクは、チベット難民キャンプのハンディクラフト・センターでチベット絨毯製作風景を見学したり、ネパール版金閣寺とも言えるゴールデン・テンプルでネパール仏教徒達がマントラを唱えている様子等を見学した。

パタンに行くと数多くの仏教・ヒンズー教美術が至る所にあり、さすが美の都といった所だ。

ボクは日本では見られない、こういった仏像達を見て歩くのが好きでよく海外に行くが特にネパールは1番だと思う。

一通りパタン散策したあとボクはパタン・ドガ近くにあるシムリク・アトリエまで足を伸ばした。

 

迷路のようなパタンの街を抜け、パタン・ドガを通り過ぎた所に、日本語でシムリク・アトリエという看板が・・!

 

早速ボクは看板の先にあるシムリク・アトリエに行った。

 

 

ドキドキ・・

 

 

ロク氏には会えるのだろうか?

 

 

シムリクアトリエに入ってみると、そこには何人ものタンカを学んでいる人達がいて、奥にはロク氏らしき人物の姿が。

 

遂に対面・・

 

 

とはならなかった。

 

 

彼は仕事(タンカ作業)中で恐る恐る

 

 

「見学してもいいですか?」

 

 

と尋ねると一人のタンカを学んでいる女性が丁寧に案内してくれた。

 

彼女はシムリク・アトリエに飾られてあるタンカについて詳しく説明してくれたが(当然英語で)

 

 

ボクは全く判らなかった。

 

 

ボクは・・

 

英語が全く判らない(英語レベルは中1です)

 

英語判らないのに、今まで頑張って海外の旅をしてきたボク・・

 

 

このことを他の人に話すと、よくやって行けるね!?

 

 

と返されるが、英語が判らなくても何とかやって行けるのがボクなのだ。

 

人間言葉が違っても同じ人間だ。

 

 

何とかなる!!

 

 

でも彼女の本格的な英語に圧倒されたボクは、とりあえず相づちをうっていたが、遂にロク氏が登場!

因みに日本人が英語が話せないのは、とある理由があるらしい・・

その理由とは?

日本人は英語が出来ない?英語が喋れるネパールの子供達との違いとは?

【ロク・チトラカール氏との対談】

彼は日本語が話せ、彼女とバトンタッチする事に。

 

彼からはシムリク・アトリエにいる間、様々学ぶことが出来た。

 

チベット仏教の神々は沢山いて、文殊菩薩の種類だけでも沢山あると。(以前ボクの知り合いのタンカ絵師に文殊菩薩は六種類あると教えてくれたが、その数をゆうに越えていた事は驚きだった。)

 

またタンカの本を売っているお店を紹介してくれたり為になる情報を教えてくれたりもした。

 

そんなロク氏にボクは自分の描いている漫画風にアレンジした仏画を見せた。

 

するとロク氏から以外な返事が・・

 

 

「こういう絵を描いて仏教徒は怒らないのか?」

 

 

ボクとしては以外な、驚きの答えだった。

 

 

今まで、そんな風に言ってきた人がいなかったからである。

 

ボクは思い切ってロク氏にこんなことを聞いてみた。

 

 

「あなた達から見たらボクの絵はどんな風に写るんですか?」

 

 

彼は「タンカというのは本来、瞑想等、宗教的目的の為に描かれているのであり、目とかを漫画風にするのは・・」

つまり信仰心高いネパール人から見たらボクの絵はナンセンスなんだろう。

 

確かにボクの絵はネパールでは受けないと思う。

 

もしネパールで画家活動していたらブーイングがくるかもしれない。

 

ボクの絵は漫画文化が盛んな日本だからこそ描けるものなのかも知れない。

 

【シムリク・アトリエに行って思った事。】

今回初めてシムリク・アトリエに行き、タンカ絵師ロク・チトラカール氏に会って思った事があった。

 

それは・・

 

 

お国が違えば文化も違う。

 

 

ネパールやチベットでは仏画は単なる絵ではなく宗教的な実用目的の為にある存在だ。

 

ラダックのとある寺院で巨大なタンカの下で何度も五体投地を繰り返すラダッキがいた事を不意に思い出した。

 

日本でも仏画の前で拝むという事があると思うがネパールやチベット程でもない。

 

だがネパールでは、神仏に祈るという事が日曜的であり、彼らは信仰心を大切にしている。

 

ロク氏はボクに改めて仏画の持つ意味を教えてくれたのかもしれない。

 

そして、信仰心高いチベット人やネパール人の気持ちが少しだけ垣間見れたような気がした出来事であった。

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