チベットの高僧『リンポチェ』という存在を知っているだろうか?
リンポチェというのは多くの人に仏法を指し示す高僧の事をいい、仏教論理を正確に実践し偉大な業績を残した僧侶に与えられる。
またチベットの風習、活仏制度によって活仏と認定された高僧をリンポチェと呼ばれる事がある。
有名なのはダライ・ラマだが彼は観音菩薩の化身とされ、多くのチベット人や仏教徒を導いている。
ボクは知り合いのチベット人絵師がいるが以前ダライ・ラマはどういう存在かと言ったことがある。
「世界の人達にとって大切」と答え、その言葉からも分かるようにチベット人達に慕われ、幸せを願う全ての人達に愛されているのだと思う。
ダライ・ラマは多くの人達を導くため何代も生まれ変わり、亡くなるその都度チベットの僧侶達は生まれ変わりを探し出し、新たなダライ・ラマを創るのだ。
【リンポチェとは生まれ変わりなのか?】
チベット仏教には輪廻思想があり功徳や修業によって永久に続く輪廻の輪から脱出でき仏教徒達は、その輪廻の輪から解脱するために祈りをささげている。
チベット寺院ゴンパに行くと輪廻思想を描いた六道輪廻の壁画を見ることが出来るが、彼らはその壁画を通して輪廻思想が身近にあるというのを知ることが出来るのだ。
リンポチェはそんな輪廻思想がある仏教世界の中、誕生した制度なのだ。
とはいえ、全てのリンポチェが生き仏『活仏』なのか?
というとそうではない。
あくまで仏法をきちんと理解し指し示すため、何代も生まれ変わる存在を活仏と呼ばれるリンポチェなのだ。
つまりリンポチェ=生まれ変わりという訳ではなく、仏教論理等を何十年も実践し僧侶達を導く高僧の事をリンポチェとして認定されることがある。
ちなみにリンポチェという言葉の意味は如意宝珠からきている。
如意宝珠とは何でも叶えてくれる宝の事をいい、宝である仏教の教えを明らかにし実践する幸せをもたらす存在としてリンポチェという存在がある。
【様々なリンポチェ】
チベット文化圏の国々をまわると必ず釈迦像と同じようにパトマサンヴァパの仏像だったり宗教画がある。
パトマサンヴァパとはチベットに密教を広めた実在の人物で、彼が行った奇跡はチベットに脈々と受け継がれチベット人から愛称をこめ『グル・リンポチェ(導師)』と呼ばれ、チベット各地に巨大なパトマサンヴァパの仏像が置かれチベット人の信仰の対象となっている。
■チベット仏教の開祖パトマサンヴァパの生涯についてはこちらの記事を読んでほしい。
あと一つ『リンポチェ』の名称で忘れてはいけないのがカン・リンポチェことカイラス山だ。
カン・リンポチェとは『尊き山』という意味を持ち、チベット人達にとってこの聖山は仏陀であり世界の中心である須弥山なのだ。
西チベット・ンガリ地区にあるカイラス山はチベット仏教のみならず他の宗教の聖山とも知られ
ヒンズー教、ジャイナ教、ボン教の聖山として巡礼者達が祈りを捧げるのだ。
ちなみに西チベットはチベットの奥地にあり中々訪れるのは大変だが、カイラス山やチベット始まりの地グゲ王国があったグゲ遺跡があり巡礼者のみならず旅人を引きつけてやまない秘境の地だ。
リンポチェはこのカン・リンポチェからも分かるとおり決して活仏や認められた高僧にだけ与えられるのではなく、自然界の畏怖の対象として聖なる山の信仰の対象としてリンポチェとして呼ばれているのだと思う。
ともかくリンポチェは幅広く使われているがチベット人や仏教徒を導く大いなる存在なのは間違いないだろう。
このリンポチェという存在がある秘境チベットはネパール、ラダック、チベット等、国や地域を含め広範囲にわたりチベット文化が広がり現在も非日常を求め多くの旅人を魅了している。
様々なチベット文化圏の国々の『まとめ』