チベットの文化

チベットの恐るべき葬儀『鳥葬とチベットの死の文化とは?』

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秘境チベットには鳥葬という葬儀方法がある。火葬を行う日本では考えられないことだがチベットでは御遺体をハゲワシに食べさせるという文化が根付いているのだ。

何故このような葬儀方法がとられているかというとチベット人の死生観が強く影響している。

 

チベット仏教では人が死ぬと魂は抜け出し、もう元の肉体に戻れない状態にあるため“魂の器”である肉体を保存しないで、ハゲワシに食べさせるのだ。

因みにハゲワシに食べさせる理由として多くの命を食べてきたからこそ最後は自分の肉を分け与えるという仏教概念が存在している為だ。

 

一方抜け出した魂はチベットの死後の世界を書いた『死者の書』において克明に書かれており、魂(生命の風)が肉体から離れた後は死の世界で様々なヴィジョンを見ることになるが、それが幻影だと認識しないと解脱できず、六道輪廻のいずれかの世界に転生する事になる。

六道輪廻とは現世で行ってきた人間の業によって生まれ変わる場所が決まるとされ、それぞれ六種類ある。

 

六道とはつまり天道、人道、阿修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道であり生きるとし生きる物、解脱出来なければ、この世界を未来永劫繰り返す事になるのだ。

チベット人は六道輪廻という考えを常に意識し、死は終わりではないと身近に感じる為、ゴンパと呼ばれるチベット仏教寺院に描かれる東西南北を護る四天王の壁画と共に六道輪廻の壁画が必ず描かれるのだ。

因みに四天王については以下の記事で具体的に書いている

邪鬼を踏みつける怒れる四天王『チベットと日本の四天王図の大きな違いとは?』

【チベットという環境が生んだ鳥葬】

鳥葬が生まれた要因として宗教的な理由の他にチベットという環境が原因でもある。

チベットの葬儀方法は鳥葬の他に火葬、土葬、水葬、塔葬(ダライ・ラマ等の高僧の葬儀方法で簡単に言えばミイラにする。)があるが標高3500メートルを越える高地において、死者を火葬にするにしても火葬をする際に必要な木材がなく、燃やす事も出来ない。

また標高が高くなれば土に埋めても分解されず、そのまま残ってしまうため土葬も不可能だし、川のない場所ならば水葬もする事が出来ない。

 

だからこそ鳥葬が選ばれるのだが、これはお金のあるチベット人が執り行う葬儀方法で、お金のないチベット人は何処かの人気の無い岩の上において自然に任せておくという結末になってしまう。

 

確かに鳥葬は専門の裁断師が必要で僧侶による供養も必要な為、お金がかかる。

 

国も違えば葬儀方法も違って驚く事もあるがチベットにおいて、これが一般的なのだ。

とはいえチベット全土が鳥葬を行っているかというと、そうでは無くチベット文化圏の一つネパールにおいては火葬が一般的であり、チベット仏教の聖地スワヤンブナート寺院近くの火葬ガートには御遺体をワラのような物でくるんで火葬しているという事がある。

 

この場所においてネパール人の遺族はチベット仏教僧によって葬儀を執り行われていて、多民族国家ならではの光景がそこには有るのだ。

 

またヒンズー教を信仰するネパール人が大半を占めるネパールにはヒンズー教の聖地パシュパティナート寺院では輪廻思想を信じるヒンズー教徒によって火葬を執り行われ、その様子を見学する事が出来る。

パシュパティナートというヒンズー教の死生観を垣間見れる場所では熱心なヒンズー教徒が瞑想している姿を見ることが出来るがチベットにおいても同じ事がいえ、死を受け入れ、それが終わりではないと悟る為、一部の修行者は葬場に住み着いて瞑想を行うのだ。

因みにパシュパティナートがあるネパールにはチベット仏教の聖地や観光スポットが沢山あり、チベット好きにはたまらない国だ。

【検証】一日でネパールの観光名所をどれだけ回れるのか?仏教の聖地編

【チベット美術における鳥葬と死と骨の芸術品】

鳥葬はしばしばタンカ(チベット仏教画)の中にも登場し彼らの死生観を見ることが出来るが、タンカには鳥葬の様子の他に墓場の主チティパティというRPGでお馴染みの土堤版モンスター、スケルトンそっくりの神様がいて、彼らは髑髏杖を手に持ち夫婦で踊っていたりヤブユム(男女が抱き合った姿の交配図)の状態をとったりしている。

ヤブユムというのは知恵と方便の結合は真理へと至る道という意味で、詳細はこちら

チベット仏教『曼荼羅の歓喜仏ヤブユム』歴史に隠された意外な真実!!

また彼らはチャムというチベットの仮面舞踏祭において病魔を退散させる役割を担っている。

 

このチャムにおいて鳥獣の顔をした悪魔の面をつけたキャラクターも登場するが、これは鳥葬で遺体をむさぼり食うハゲワシや野獣達であり、その姿を反映させ役者達は舞い踊るのだ。

それとチャムが開催されるチベット寺院の中には寺院に伝わる品々を展示している部屋があり、その中には恐らく鳥葬で残った骨で作った品々が展示されている場所もある。

その品々とは頭蓋骨の杯や太鼓、大腿骨の笛、骨の首飾りやダーキニーがつける前掛けが作られ、チベット人が余すことなく活用しているというのが見て取れる。

遺骨を楽器やアクセサリーにするなんて日本人には考えられないことだが先に述べたように魂が抜け出した肉体はただの空っぽの肉体であり、それを活用しようとするチベット人の考え何だろう。

*人骨で出来たアクセサリーや楽器は100年以上も前の品々ばかりであり、恐らく現在は製作されていないと思う。(又は禁止されている)

 

死者を葬る場所はどの国でもおごそかな場所で霊的な場所だがチベットの鳥葬文化はチベットを秘境を秘境じみさせる異質な葬送だと言えよう。

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