苦しみから人々を救う観音様の種類とは?『チベットの観音菩薩信仰』

仏教が伝播している国々で広く信仰されている日本でも有名な観音菩薩には様々な種類があり事にチベットには日本では耳慣れない観音様も登場する。

ボクは仏教徒の多いチベット文化圏の国々を旅しているが信仰心高いチベット人達が祈りを捧げるゴンパ(チベット寺院)の中には本尊の両脇などに様々な種類の観音菩薩やチベットの神々を見る事が出来る。

【観音菩薩とは?】

観音菩薩(ボーディ・サットヴァ)とは仏となるために常に修業している存在であり世の中で生きとし生けるものの苦しみを救済する事が彼の修業とされている。

悟りを開き直接人々を救う事のない仏とは違い観音菩薩は仏の命により人々が負う苦しみを取り除く事が出来る人々と一番身近な存在といえる。

だからこそ庶民に愛され特にチベット人の間では有名な真言オム・マニ・ペメ・フムを唱え、観音観音の化身であるダライ・ラマが人気なのである。

ではチベットメインに観音観音の種類と解説をしようと思う。

 

【六字世自在菩薩】

チベットで最も有名な観音菩薩でありオム・マニ・ペメ・フム(蓮華の中の宝珠よ幸あれ)の尊格として有名であり四つの手を持ち、一対の手は合わせていて、右手に数珠、左手に蓮華を持った姿で表されている。

因みに六字世自在が持つ数珠はチベット仏教において真言を唱えることで得られる力を象徴している。

その『力』とは友人のネパール人仏教徒ラマ氏によれば数珠やマニ車を回すのは人間の魂が天国へ無事に届けさせる為なのだそう。

また蓮華は慈悲の象徴として観音菩薩から生まれた緑ターラーや白ターラーの持ち物としても有名でありチベットの吉兆模様としてゴンパに描かれている時もある。

 

【弥勒菩薩】

弥勒菩薩は釈迦如来が入滅した際、悟りを開き兜率天に上がったと伝えられ、その場所で修業して五十六億七千万年後再び生を受け人びとを救済すると言われている。

インド・ラダック地方のティクセ・ゴンパには高さ十五メートルを超える巨大なチャンバ(弥勒菩薩)があり、その静観な顔に息を飲んだ事を記憶している。

少なくともチャンバ像がラダック地方を代表する仏像であることは間違いがなく、その美しい仏像を一度見るためにラダックに訪れてみては如何だろうか?

 

【十一面観音菩薩】

十一の頭を持つ観音菩薩であり彼が多くの頭を持つのは多くの人々を救いたいという事の表れなのだ。

また一番上の頭は阿弥陀如来であり日本では日本の手が一般的であるが多臂の十一面観音菩薩も存在する。

その場合一対の手で合掌していて与願印を結び数珠、蓮華、水瓶、弓等を持っている。

また日本では中央と頭上に頭が放射状に広がって表現されているがチベットでは下から上へ三・三・三・一・一の頭が重なっている。

 

【千手観音菩薩】

千手観音は千の手と沢山の眼を持ち、その手と眼で苦しみから人々を救い願いを叶えてくれる大変慈悲深い観音菩薩である。

東チベットのラガン・ゴンパには巨大な千手観音像が鎮座しているがチベットで禁止されているダライラマの写真が千手観音像の下に掲げられチベット人の心を千手観音菩薩が救っているかのようだった。

 

【文殊菩薩】

“三人寄れば文殊の知恵”の諺にもある文殊菩薩(マンジュシュリ)は知恵の菩薩で有名であり体は黄色、煩悩を打ち消す宝剣と般若心経を持った姿で表現されている。

またチベットではヴァジュラハイラヴァという水牛の頭と36本の腕を持つ異形の守護神がいるが彼の頭上には文殊菩薩の頭がありヴァジュラハイラヴァが文殊菩薩の化身であるという事を表している。

ボクがよく行く『ヒマラヤの国』ネパールに広がるカトマンドゥ盆地は文殊菩薩が人々を苦しめている蛇を倒すためにチョバールの山を切り裂くと蛇は消え去り人が住めるカトマンドゥ盆地が残り小高い丘の上にストゥーパを建設したという。

ネパールには文殊菩薩が造ったとされているスワヤンブナート寺院があり文殊菩薩ゆかりのヒマラヤ最古の寺院と言われている。

 

【金剛手菩薩】

日本では耳慣れない観音様の一つであり『手に金剛杵を持つ菩薩』を意味するヴァジュラパーニという名で知られチベットやネパールのゴンパでは金剛手菩薩の仏像を安置している所が多い。

金剛手菩薩は他の観音菩薩の姿とはかけ蒼黒の体に離れ髪を逆立て、トラの褌を巻く忿怒の姿で表現されている。

何故このような姿なのかというと金剛手菩薩が持つ意味。

魔を払うための怒りの青色、すなわち魔除けの意味合いとしてゴンパに鎮座しているのだ。

 

【地蔵菩薩】

日本の至る所で頭を丸めた僧侶の姿で表されている地蔵菩薩の仏像を見かけるがチベットでは一般的な天衣をまとった観音菩薩の姿で表現されている。

右手には蓮華を持ち左手に与願印を結んでいる。チベット名クシティガルパ

 

【普賢菩薩】

文殊菩薩と共に釈迦如来に仕えている慈悲を司る観音菩薩であり六つの牙を持つ像に乗って姿で表現されることもある。

また金剛界曼荼羅では五仏(大日・阿閦・宝生・阿弥陀・不空成就如来)を取り巻く十六人の菩薩の一人でありニンマ派では本初仏とされ体は青色で裸体であり妃を抱く姿でタンカ(チベット仏画)の中でしばしば登場する。

 

この他にも必ず成功する索を持つ不空羂索観音や獅子に乗り与願印と蓮華を持つ獅子吼観音がチベット仏教の中で登場する。

 

このようにチベット仏教には観音菩薩一つとっても様々な種類があり仏に菩薩や女神、護法尊を合わせればチベット仏教は最も尊格の多い仏教と言えよう。

その証拠にゴンパ内に彩られた美しい壁画を見ると数々の神仏が描かれチベット人の信仰の高さと仏教美術の美しさを垣間見る事が出来る。

チベットの観音菩薩信仰は寺院や人々の間で広がっていて深く信仰されているが彼らが今救って欲しいのは中国に侵略されたチベット本土であろう。

 

人々から信仰される観音菩薩はチベットに何をもたらすのか?

 

それは天上で見守る観音様にしか分からない事なのだ。

 

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