ボクはネパールで3ヶ月間タンカ(チベット仏画)を学びに行ったが、タンカを学ぶには何処で学べばいいのか考えていた。
考えた末、タンカ製作で有名な2つの町が選ばれた。
それがパタンとボダナートである。
結論から言うとボクはチベット仏教の聖地ボダナートでタンカを3ヶ月間学ぶ事になったのだが何故ボクがボダナートを選んだのか?
そして何故タンカ絵師の多いパタンをやめたのか?
パタンとボダナート2つの町がどういう所で何があるのか?
そして観光スポット・宿泊施設・移動手段についても語っていこうと思う。
【美の都パタン】
通称“美の都”と評されるパタン(正式名称ラリトプル)は彫刻や絵画に秀でたネパール人が多く、カトマンズ盆地にあったマッラ王国では彼らの役割が大きく果たされ旧王宮広場ではその片鱗を随所に見ることが出来る。
パタンは元々職人の町だった為か絵師たちや彫刻師が多くいて旧市街を歩いていると至る所でタンカを描いている絵師の姿を見ることが出来る。
またパタン・ドガ(パタンゲート)近くには日本で個展を開催したことがあるロク・チットラカール氏のシムリク・アトリエがあり無料で見学する事が可能だ。
●観光スポット
タクシーでパタンに向かうと必ずダルバール広場前に到着し、入場ゲート向こうには多くのヒンドゥー教寺院が見えてくる。
ただ震災後の9月にパタンに行った際ネパール様式の寺院は崩れ去り、残っていたのは石造りのクリシュナ寺院等だけであった。
改めて震災の恐ろしさを実感した出来事であった。
ダルバール広場の入場料金は200ルピーだがボクは裏ルートを使い、こっそり広場に入るのが常だ。
パタンの旧市街は入り組んでいて歩いてる内に知らず知らずダルバール広場に入ってるという事もあるのだ。
どうしても入場料金を払いたくない人はチケットカウンター近くの建物の隙間からダルバール広場に入るのがいいだろう。
広場を過ぎるとゴールデン・テンプルと言われるネパール版金閣寺が見えてくる。
始めてパタンに行った際、この仏教寺院では仏教徒による法要のようなものが執り行われており大変賑わっていた。
ネパールではネワール人仏教徒も少なからずいて儀式等を各地で見ることができ地球の歩き方に乗っている祭りやイベントのカレンダーを参考して各寺院等を訪れると思いがけないイベントに遭遇するかもしれない。
因みにゴールデン・テンプル前のタンカ屋には日本語の話せるネパール人がいて行き先が分からなかったりしたら相談してみるといいだろう。
ゴールデンテンプルを真っ直ぐ進むとクンベシュワール寺院と言われるシヴァ神を祀った寺院が見えてくる。
さながら五重塔であるがこの寺院はパタン最古の寺院と言われ、ダサイン(ネパール正月)中この寺院に訪れたら新年を祝うネパール人で賑わっていたのを記憶している。
パタンの旧市街を歩くとこのようなヒンドゥー教寺院が至る所にあり隠れた寺院を探しに街歩きをするのもいいだろう。
ここで寺院発見のポイントを教えておこうと思う。対外小さな寺院やストゥーパ(仏塔)は家と家の間に寺院へ続く狭い通路があったりするから、建物を注意深く観察すると地元の人にしか分からない秘密の寺院を発見するかもしれない。
●宿泊施設について
パタンはタンカや彫刻で溢れるそんな環境だからこそタンカを学びたい人には是非訪れて欲しい町だが問題点もある。
他の町に比べ宿泊施設が少ないのである。
例えあっても20$以上するホテルばかりで、長期滞在者向けの安宿が無くボクのように3ヶ月間タンカを学びに行くには中々不向きな面がある。
だが例え安宿が無くても安い値段で泊まる方法がある。
ホームステイだ。
ネパールにはホームステイを受け入れてくれる民家が少なからず存在しネット上でもホームステイ可能なネパール人が募集をかけていたりする。(ネパールの旅行会社の中にはホームステイをツアーみたいな形でとっている所もある。)
ホームステイ現地の人に近づきたい人にうってつけだがボクはホットシャワーがついてて安心して(信用していない訳では無いが)泊まれる所が良かったのでパタンでタンカを学ぶのはやめることにした。
●移動手段
ほとんどの旅行者はパタンにいく場合タメルから行くのでは無いだろうか?
タメルには近隣の町へ行ってくれるタクシーが集まっている場所があり、そこから各地へ移動出来るようになっている。
タメルからパタンまではタクシーで600~800ルピーくらいだ。
パタンまでのバスもあるが満員になるまで発車しないし何度も乗り入れするからボクとしては余りオススメしない。
またバスをオススメ出来ないのは旅行者の金品を狙ったネパール人も少なからず存在し、現地ネパール人によればポケットを切り裂いて金品を奪うそうだ。
ただバスの良い点は僅か10~20ルピー程度でパタンに行く事ができ安く移動したいという人に便利な存在と言える。
【聖地ボダナート】
ボダナートはチベット仏教の聖地であり世界一とも言える巨大ストゥーパがシンボルで有名な場所だ。
しかし震災によりストゥーパ上部が崩落しボクが訪れた震災後の9月にはストゥーパ下部の楕円状の部分しか残っていなかった。しかし今では元に戻りストゥーパ上部のブッダアイを見ることが出来る。
ボダナートにもタンカ絵師達が大勢いることでしられ外国人観光客向けのタンカスクールやチベット仏教を学ぶための施設があったりする。
ボクはパタンではなくボダナートでタンカを学びたいと思ったのは宿泊施設事情だけで無くチベット仏教寺院ゴンパが密集していて仏画の勉強になると思ったからだ。
ボクはこのチベット仏教の聖地で師匠マイラ氏と出会い3ヶ月間彼のタンカ屋でタンカを学ぶ事になるのだが、その時の経験は現在のボクの絵に活かされ本当に行って良かったと思っている。
またボクはタンカ修行が休みの日等近くのゴンパまで足を運んだりしていたがボダナートのゴンパは20以上もあり各ゴンパの特色が違っていたりして時間があったら一つ一つ見学するのもいいと思う。
ボダナートのゴンパ一覧はこちら
●宿泊施設
安宿のないパタンと違い、仏教を学ぶ為に長期滞在する外国人が多いだけあってゲストハウスの数が多いのも特徴だ。
中でもゴンパ経営のゲストハウスでは夜、早朝に僧侶達による経や宗教音楽がゴンパから聞こえてきてチベット仏教を間近で感じたい人はゴンパ経営のゲストハウスに泊まるのもいいだろう。
因みにゴンパ経営のゲストハウスはシェチェン、タプサン、タルラム・ゴンパでゲストハウスを運営している。
●移動手段
タメルからボダナートまでタクシーで600~800ルピー、ボダナートからパタンまでは1200ルピー、ボダナートから空港まで1000ルピーだった(確実にぼられたが。)
ボクはタンカ修行が終えるとカタと言われるスカーフを首にかけて貰ったがカタは旅立つ人に向け送られるチベット伝統のものだが、タクシー運転手がカタをかけているのを見ると例外なく近寄ってきます。
そしてぼられる・・
パタンとボダナートを比較してみたが、これからネパールでタンカを学びたいと思う人の参考になれれば幸いだと思っている。