チベット自治区に行くためには中国政府が発行する特別な許可証(パーミット)と旅行会社が主催するツアーに参加しないと行く事が出来ない為、現在チベット自治区への個人旅行は困難な状況だ。
しかしチベット自治区ではないが、チベットへ個人旅行する事は可能という事を知っているだろうか?
チベットには非解放区と解放区という区域が存在し、いわゆるツアーでしか行けないラサやギャンツェがあるチベット自治区、カイラス山やチベット発祥の地グゲ遺跡がある西チベットを非解放区
東チベットのカム、アバ、アムドといった中国四川省や青海省に組み込まれたチベットエリアを解放区に分類される。
その為、チベットに個人旅行したい場合、東チベットへ行く事をオススメしている。
とは、言ってもチベット自治区じゃないから雄大な山々や仏教美術が無いんじゃ無いの?
と思われるかも知れないが、そんなことは無い。
近年有名になったラルン・ガル・ゴンパも東チベットであるし(2017年現在立ち入り禁止だが)アムドにはゲルク派の巨大僧院タール寺もある。
東チベットには日本では知られていない秘境の地がまだまだ沢山あるという訳だ。
ボクは、そんな秘境の地チベットにハマり東チベットやネパールやラダックといったチベット文化圏の国々を旅しているが、その理由は・・
チベットの文化、美術が大好きだからだっ!!(≧∇≦)b
チベットには日本で体験する事が出来ない圧倒的な非日常世界があり、チベット人が祈りの為に訪れるゴンパには美しい仏像や壁画があり、仏教の絵を描いているボクにとっては最大の学びの場なのだ。
だからこそボクは日本でお金が貯まったらチベット文化圏の国々に行き“非日常世界への旅”を何年も繰り返している。
さて前置きが長くなってしまったがチベットに個人旅行する場合東チベットをオススメすると言ったが、そもそも東チベットとはどういう所なのだろうか?
東チベットを構成するチベットエリアを一つ一つ紹介しようと思う。
【カム(四川省カンゼ州)】
一般的に東チベットと行ったらカムを指すが、カムへ行くためには四川省の省都成都からバスで6時間かけていくと、東チベット始まりの街カンディンに到着する。
そしてカンディンを越えると雄大なチベットの山々がそびえるチベットエリアに入り、ようやくチベットに来た!!
と実感するはずだ。
カムにはラルンガルを初め、アチェンガル・ゴンパやカンゼ・ゴンパ等美しいゴンパが沢山あったりチベット自治区とは違う色鮮やかな民族衣装をまとったチベット人が多いのも特徴だ。
彼ら(男性)の事をカムパといい、頭に赤や黒の布をターバンのように巻いたダシェーという髪飾りが特徴だ。
またカムパはどいつもこいつも巨大で、まるでレスラーのような姿に驚いた事があるが、彼らは最後まで中国に抵抗した勇猛果敢な男達なのだ。
カムがある四川省に行くためには日本から直行便があり、僅か6時間余りで到着する。
特に四川航空はオススメで往復35000円と安いためチベット、四川旅行する場合この航空会社を利用した方が良いだろう。
【カムの観光スポット】
■ラルン・ガル・ゴンパ
近年TV等で紹介され有名になった、このお寺は東チベットで絶大な人気を誇るケンポ・ジクメによって建設されたチベット最大のニンマ派僧院で、まるで宗教都市のような姿だ。
だが巨大化してしまったせいで当局の監視対象となり、ラルンガルの破壊を行う等暴挙を度々行っているせいで外国人が立ち入り禁止になりやすい寺院だ。
ラルンガルに行く場合、セルタから行くのが基本だが検問所があるため、そのままラルンガルに行くのは難しい。その為、旅行者は公安がいない深夜に出発するなどしてラルンガルに行くのだが運があるため、行くのは難しいだろう。
■アチェン・ガル・ゴンパ
ラルンガルに行けない場合、旅行者が行くのはアチェンガルだ。
アチェンガルもラルンガル同様巨大な寺院でカンゼからバスで四時間余りで到着する。
ただアチェンガルは犬が多く、犬嫌いにはオススメできない観光スポットだ。
ボクも犬が苦手で恐怖を感じているため、東チベットに行った際アチェンガルに行かなかったが、いつかは行こうと思っている。
ただ犬はヤバい。ヤバいからチベット旅行する場合注意が必要だ。
噛まれたら狂犬病になる可能性があるため、そのリスクを減らすためにも犬がうじゃうじゃいる所に訪れないのも一つの方法だ。
■カンゼ・ゴンパ
カンゼ州の名前にもなっているカンゼにあるゲルク派僧院。
カンゼゴンパには千体はあろうかという仏像があり、信仰心の無いボクでも五体投地を繰り返してしまう位圧巻だ。
この他にもラガン、タウ、タンゴ、ニャロン、デルゲ、ペユル等カムの町々に様々なゴンパが存在する。
【アムド(青海省・甘粛省)】
アムドは大草原が広がり、遊牧民が多く、ゲルク派の開祖ツァンカパやダライ・ラマ14世の出身地がアムドで、ゆかりの寺院が沢山あることで知られる。
■ラプラン寺
甘粛省甘南チベット族自治州にはラプラン寺というゲルク派六大寺があり数多くの僧侶が学んでいる。
巨大な寺だけあって、1年を通し、様々な行事が開催され大タンカ開帳やチャムが開催されたりしている。
チャムというのは僧侶による仮面舞踏祭の事で、神々の面をつけた僧侶が境内を舞う姿は圧巻だ。
ボクはラダックのマト・ゴンパでチャムを見た事があるが、面をつけた僧侶達が登場すると、辺りは異様な雰囲気に包まれ異次元の世界に入り込んだような錯覚になってしまうくらい、美しくチベットを象徴する祭りだと思う。
■タール寺
ゲルク派開祖ツァンカパによって建てられた巨大僧院でゲルク派六大寺院の一つ。
ツァンカパは密教と顕教(開かれた教え)の統合を図り、乱れていたチベット仏教を宗教改革を成し遂げたスターである。
個人旅行出来るチベットエリアはアムドやカムの他、伝説の理想郷シャングリラがある雲南省の一部や四川省北部にある世界遺産『九寨溝』があるアバといった広い範囲があり、様々な特色を持つチベット文化を各エリアごとに見ることが出来るため、何度行っても飽きる事は無いだろう。
【東チベットからチベット自治区へ行く事は可能?】
東チベットからチベット自治区ラサに行く場合、2006年に開通した青海鉄道で行くか各チベットエリアからラサ行きのバスに乗りチベット自治区に行く方法があるが、許可証の提示が必ず行われるので、やはり個人旅行は難しいだろう。
ただタウにある外国人経営のゲストハウスに行った際、オーナーから
「ラサに行くのかい?」
と声をかけられたから、やはりチベット自治区へ行く旅行者が少なからず存在するのだろう。
その場合、恐らく闇バスに乗ってチベット自治区に行くのだと思うが、検問に発見されれば、追い返されてしまう為、運が必要なのかも知れない。
また同乗者がいれば、彼らも一緒に追い返されてしまう為、迷惑がかからないためにも東チベットなどの解放区エリアを旅する事をオススメする。