チベットのギャロン地方にあるマルカムに初めて行ったのは2018年の夏の事だった。
マルカムというのは四川省アバ州の馬爾康市(マーアルカン)の事であり川沿いにあるギャロン・チベット族が暮らす街です。
またギャロン地方はチベット人ではなかった人々がチベット化していった場所で、その為かチベットに仏教が伝わる前からあったボン教の寺が多い。
【台風の中マルカムまで行く!】
さて!
ぼくがギャロン地方に行った年は台風が大接近し成都は大雨で道路は川のようだった!
マルカムに行く前に行った理県の道中も大雨が降りしきる中の苦難の連続で
川が氾濫して道路に水があふれでて何度も車が立ち往生!
そんな中で理県を観光するも思った程、楽しめず(観光スポットをよく知らないという事もあり)
翌日マルカム行きのバスに乗り込みギャロン地方の山々をバスは駆け巡った!
■理県の観光情報
バスは温泉街のミャロを抜け民族衣装を着たお婆さんを乗せながら目的地まで走ったが
途中トンネルで足止めを喰らうことになる。
窓の外をよく見てみると他のバスやトラックが我先にと割り込み運転を繰り返し大渋滞を起こしていたのだ!
何なんだ!これは!!
さすが海外!日本ではあり得ない道路交通状況がそこにあった。
待ちぼうけをくらい、どの位だってだろうか?
警察が交通整備をしていた事もあり少しずつだがバスは動きだした。
そしてトンネルを抜ける頃には渋滞は無くなり普通に走る事が出来た。
ただ反対斜線は未だ大渋滞・・
帰りもこの道かよ・・と不安になりながらバスはぐんぐんと川沿いを走っていくと民家やギャロン地方特有の石造りの塔が見えてきた。
そう。ぼくは遂にマルカムに到着したのだった!
マルカム周辺にある石造りの見張り台の塔はギャロン各地にあってマルカム他に茂県(チャン族の町)、ブン川県、理県、金川県、小金県、丹巴(特に美しくて観光地として有名)にあります。
【マルカムに到着したのに繁華街が見当たらない。なぜ?】
バスはバスターミナルに到着し乗客たちは降ろされた。
ぼくはとりあえず繁華街にある宿を探すべく周辺をぶらついてみたが・・
あれ?
これがマルカム?
ガイドブックに載っているような繁華街や寺がない。
ぼくの目の前に広がるのはバスターミナルに宿、小さな飲食店、政府関係の建物だけと何だか寂しい光景。
*因みにバスターミナル横にある宿『余郊旅館』は早朝出発のバスに早く乗れる為オススメ。一泊60~120元
ただし後年、同宿に行ったら値段表が消え去り街まで行って探してくれとの事だったので現在泊まれるか不明。
バスターミナル上を見上げると小さな丘の上に寺らしき建物があったためぼくは、ここがマルカム・ゴンパなのだと思い向かってみると
全く違う名前の寺の名前があった。
何かおかしい・・
ぼくは元いた場所に向かい、駐車場にいたチベット人のおっちゃんにガイドブックを見せ
そこに行きたいという事を身ぶり手振りなんとか伝えた。
するとおっちゃんは宿の名刺を取り出し、ここは安くて良いみたいな事を言ってきた。
宿を探していたから丁度よかった!
おっちゃんにここに泊まりたいと伝えると
彼はどこかへ電話をし始めぼくに待つように言われた。
それから何分かたったその時、ぼくの前にバスが現れた。
おっちゃんは名刺にある宿に連れていくように運転手に言いぼくはバスに乗り込んだ。
ありがとう!おっちゃん!
バスはバスターミナル先にある道路を走って行った。
窓の外を見ていると
ん?
何だか建物が増えて賑やかになってきた。
まさかここがマルカムの中心地だったのか!?
ガイドブックにあるようなバスターミナル周辺に繁華街が広がっているのではなく
繁華街はバスターミナルから5分程離れていた場所にあったのだ!(多分バスターミナルが移転したんだと思う)
ぼくのここで降りなくてはならない!
と旅人の勘が働き運転手にお金を見せ降りたいという旨を伝えた。
元からめんどくせい外国人だなぁ
と思われていたのか機嫌の悪い運転手はお金を受け取らずぼくを繁華街で降ろし去っていった。
よし!まずは宿探しだ!
デカイ建物が並ぶマルカム市はきちんと整備されていて本屋や仏具屋、服屋等何でも揃っていた。
街をうろうろしていると向かい側の道路から、どこかのオバサンが大声でぼくに話している。
何ですかアレは?周辺には小さな宿が沢山あるし話を聞いていると、もしかしたら宿のキャッチ?
向かい側の道路に行こうとしたその時
後ろから感じの良いオジサンが話しかけてきた!
どうやら彼もキャッチらしい。
彼に着いていけば何とかなるかも知れない。
またもや旅人の勘が働きぼくは彼に着いていく事に。
【激安宿と激辛料理と激疲れトレッキング】
さて!
ぼくは怪しげなオジサン(失礼)と共に向かい側にあるボロッチい建物が並ぶ暗い道をとぼとぼと歩いていった。
愛想の良いオジサンは仕切りに
国はどこだ?とか宿はこの奥だ。とかぼくに話しかけてきて
ぼくはいつしか人気の無い場所にある3階建ての宿に着いた・・
何かヤバい宿に泊まる事になるのかなぁ
等と思ったがぼくの心はこの宿にすると決心していた。
いちいち宿のクオリティにこだわらないのがぼくの旅のスタイル(出来ればホットシャワーが出ればベストだがな!)
オジサンに案内されたホテルに行ってみると値段は一泊120元。
日本円で約2000円くらいだろうか。
日本と比べてみても全然安くて
オジサンは親切にもあれやこれやと部屋の説明をしてくれた。
四畳半位の小さな部屋だがテレビは完備!Wi-Fiも可!ホットシャワーにトイレも使える。
否定すべきポイントが見当たらない!
ここにしよう!と決めたぼくはオジサンにお金を払いチェックイン。
鍵をしめ、さぁ次はお昼だぁ!
安宿街ともいうべき、安宿がいくつも入っている建物の隣には飲食店ストリートがあり
ぼくはその内の一つに入った。
だが適当に入った飲食店だったがぼくは地獄を見ることに・・
四川省に来たのだから名物の四川料理を食べたい!
という事でぼくは麻婆豆腐を注文!
ただこれは止めときゃよかった・・
と後々後悔する事になる。
出てきたのは香しい匂いのする美味しそうな麻婆豆腐。
スプーンで豆腐をすくい一口、二口・・
固めの豆腐に山椒のきいたピリ辛でおいし・・
・・・・・・
辛!
まじで辛い!
食べれば食べる程、ぼくの額から汗が吹き出し麻婆豆腐が恐怖の食べ物にしか見えなくなってきた!
そんなぼくを横目に店員の少年はゲラゲラと笑い
どこから来たの?台湾?と英語で話してきたのでぼくは日本と答え
ベリーホット!ベリーホット!
とこれは辛いアピールをしながらぼくは我慢しながらペプシを片手に麻婆豆腐を食べた。
どんなに辛くても残すのは失礼だ精神でぼくは我慢しながら赤い食べ物を完食した!
よし!
お腹もふくれたので次は目当てのゴンパ(チベット寺)だ!
ぼくの旅の目的はゴンパ巡りだ。
ゴンパには美しい壁画や仏像があって絵を描いているぼくにとっては見て学べるアートスポットのような場所だ。
でだ。
店員の少年少女に行き方を教わったぼくは仏具屋がある坂道を登るとそこに丘に続くと思われる階段が。
この階段かなぁ、それとも目の先にある門の奥にゴンパに続く道があるのか?
混乱したぼくは住民に寺と書いた手帳を見せると門の方を指差し、その場所に寺があるという。
言われた方に行ってみると階段があり、この先に小さなお堂が。
そのお堂に入ってみるとお婆さんがコルラしていたり雑談していたりチベタンの憩いの場所になっていた。
目新しい仏像や壁画があったりしたがここはゴンパじゃない。
そもそもマルカム・ゴンパは丘の上にある。
振り出しに戻ったぼくは階段がある場所に戻り意を決して登ろうとすると後ろから中国人女性二人が。
彼女達に件の手帳を見せると
あっちだよ!
と、何と日本語でかえってきた!
思わず日本語!?と声に出たぼくは彼女達と共にゴンパを目指した。
しかしゴンパまでの道はキツかった!
ゴンパまでは階段があるのだが、それが何段も何段も続くのでぼくは休み休み登って行った。
もはや軽いトレッキングである。
彼女達が案内してくれた事もあり遂に目的のマルカム・ゴンパに到着!
【仏教とボン教寺院があるマルカム・ゴンパ】
敷地内に入ると子犬がキャンキャンと鳴き始めぼくを威嚇した!
この小さなモンスターめ!
いつも思うのだが何故か子犬は威勢がいい・・(ネパールでは何度も追いかけ回されたし)
だけどそのモンスターは吠えるだけで襲うような事をせず出来るだけ近付かないようにして前を進んだ。
するとぼくの目の前には小さな寺が二つ見えてきた。
この寺こそがマルカム・ゴンパ。
ゲルク派の仏教寺院(写真一枚目)とボン教寺院(写真二枚目)の2つを見る事が出来るのだ!。
仏教寺院は鍵が閉まって入れなかったけどボン教寺院は中が見学出来たので入ってみると
そこには色とりどりのボン教壁画が!
あまりの美しさに(絵の資料として残しておくという意味も)ぼくは写真を撮りまくった!
ここでぼくのちょこっとガイド(^-^)
こちらの美しい壁画。
左の千手観音みたいな神さまはクンサン・ゲルワ・ギャンツォ。
右のターラー菩薩みたいな神さまはユムチェン・シェーラプ・チャンマ。
この観音さまみたいな神さまはクンリク・ナムナン。
共に十二儀軌の神さまで、これは12尊の神さまで構成されているグループの事を言います!
他にも奇怪な姿のヤマンタカを思わせる右の神さまはウェルセー・ガムパ(右)
文殊菩薩!
と思いきやシェーラプ・マワセンゲー(通称マセン)というボン教の神さま。
マルカム・ゴンパの本尊のこちらの仏像はナムパル・ゲルワ!
ボン教寺院の本尊はこの仏像が多いんだけど、これはボン教開祖ツェンラプ・ミボが
悪魔を降伏させた姿の事を言うようです!
詳しい人なら見ていて分かると思いますが
ボン教の神さまの姿・・凄く仏教の影響を受けていると感じませんか?
*仏教の観音さま
そう、ボン教が仏教を仏のイメージを受けた影響何でしょうね!
それにしても・・
あ~~~!やっぱり美しいっっ!!
結構ね。こういったチベットの壁画や仏画から絵のイメージを受け取っているので
こういった壁画を見る事がぼくの勉強みたいなものです。
だからチベット旅をしているですけど(^^;
さて!
この後ぼくはマルカム・ゴンパがある丘で気持ちいい風を浴びながら下山するのでした。
因みにこの丘からはマルカムの町並みがドーン!と見えるのでオススメです(>_<)
【その他のゴンパについて】
後年マルカムに昌列寺っていうニンマ派寺院の存在を知ってガチで行こうと思ったんだけど
マルカムから車をチャーターして行くと(往復)400元もかかってしまうらしい!
高!
ふっかけられてるのかと思いきや中国のサイトで昌列寺までの料金200元と書いてあったので、適正な料金のようだ。
という事で金銭面の問題で昌列寺に行ってません(TT)
あと大蔵寺という1414年建設の名刹があって、こちらはマルカムから遥か遠くにあってバスターミナルから大蔵行きのバスが出ています。(14時30分発、帰りは不明。チャーター?)
【マルカムの宿についての注意点】
ここで恐ろしい話をしなくてはなりません。
二度目のマルカムの訪問の際、ある小さなホテルに泊まったら公安に連れていかれて事情聴取されました!
特別、公安派出所に拘留されたりホテルを追い出されたりする事はなかったですが
チベット旅始まって以来の怖い体験だったのでマルカムに限った事ではないけど
特に東チベットを旅するときは、こういう事が起きる可能性があるという事を頭に入れて欲しいです。(時期もあると思うけど)
【バス情報】
マルカムバスターミナルの伝言板にあったマルカム発のバス情報はこちら。
アバ:7時40分 85元
紅原:8時 67元
黒水:8時 62元・12時30分
成都:8時 134元・12時40分
ブン川:8時 76元
小金:8時30分40元
観音橋:8時30分24元・15時27元
茂県:8時30分91元
大臓:14時30分22元
金川:15時33元
あと一体何時からバスターミナルが営業してるのか分からなくてホテルを朝五時にチェックアウトしたのが大間違い!
どうやら六時から開始で15分位には窓口が開門。
その間ぼくは冬の早朝の中、凍えながら待ってました!
因みに馬爾康市はアバ州の中心地なので成都(茶店子バスターミナル朝6時50分発132元、到着は約6時間後)はもちろん
アバ州の町からならどこでも行けます。
【まとめ】
マルカムは山あいにある大きく賑やかな町だけど、怖い体験もしたので出来るだけ行きたくないのが現在のぼくの心境。
ただマルカム・ゴンパを初め近隣には大きな寺があったり
町の10キロ先には卓克基(タクチョク)っていう美しい村があったりするので
掘り下げるとまだまだ面白い観光スポットが見つかるかもしれないと思いました!
他の町にもガイドブックに登場していない寺や観光スポットがあるので
チベットに行く機会があればたちよってみたいですね!
そしていつかはチベット旅なら
ウチのブログ!
そしてぼく!(はいっ超ダサい事言いました!)
みたいな感じになったら感動です!(それは無いか(^^;
今回ぼくが見たアバ州の中心地マルカムのありのままを書いてみましたが、これを読んで行ってみたいな!
とか思えたら幸いであります!