ボクはライブペイントをするために場所探しやポストカード作りを入念に行い、バイロンベイにやってきて六日目にビーチ沿いで初ライブペイントを行った。
人生初のライブペイント・・
正直凄く緊張した。バイロンベイでは絵がよく売れるから現地でライブペイントする人が一人位いるんじゃないかと思ったが・・
誰もいやしない笑
バイロンベイにいるのはブレスレット売ってる連中や歌を歌ってる連中ばかり。
ライブペイントして絵で稼いでるみたいな人はボク一人だけだったからだ。
それにボクは対面商売に苦手意識があり余計に緊張(^-^;
かつ『海外で物を売る』という事も初めてだった為一体どうなるか分からない中、手探りの中バスキング旅が始まった。
因みにバイロンベイに来るまでの話はこちら。
【ライブペイント初日に10$稼ぐ!】
何人もの外国人がビーチへ向かう道端でボクは絵の商品を並べ、画材を出しストリートで絵を描く事を始めた。
初めてみると、たまに絵に興味を示してくれた人が足を止め
「アメージング!」
「ビューティフォー!」
「クレイジー!」
とか言ってくれる人がいたがポストカード等を買ってくれる人はいなかった・・
そんな時だ。
ボクの事を見ていたヒッピー風の男性が駆け寄り5$をいきなり渡すのだった。
!?この5$は一体・・
男性は語る。
「チップだよチップ!バスキングは長く長く長くやる事が大切なんだよ!」
とボクにアドバイスをし去っていくのであった。
彼の言っている事はとても深い言葉だと思った。
バスキングに限らず何かにチャレンジする時は結果がどうなるか分からなくても長く長くやる事なのだと。
そうすれば、いつかは運が掴めるのではないか?
とボクは彼の言葉をそんな風に受け取った。
その後もボクはその場所で描き進めていると通りすがりの夫婦がポストカード一枚(5$)買ってくれた!
初のお客様だ!
しかしその日は立ち止まる人がいたものの売れたのはポストカード一枚だけだった。
【2日目にして10分で絵が売れる】
2日目ボクは町で絵を売る事にした。
ボクはこう思ったのだ。
ビーチはそもそも買い物しにやってきてる訳ではない。
だから買い物客で溢れる町(店の前)でライブペイントやろうではないかと。
だがさすがに店の入り口付近でやるのはまずいと思い画廊の角でライブペイントした所・・
なんと10分で絵が欲しいという客が!
ただこの時ボクは絵の値段を決めていなかったので思わず
「ユアフィーリング(感じたままに)」
と言ってしまった。
するとパンクファッションに身を包むコワモテの男性は
「123$でどうだい?」
と高めの金額を提示してくれたのでボクは了承し絵を渡すのだった。
その日はそれ以上売れる事は無くホテルに戻るのだった。
【実はバスキング禁止エリアだった】
初バスキング2日目で絵が売れた2日後問題が起きた。
この日も件の場所でライブペイントをしていると老婦人が絵が欲しいという。
2日前100$以上も出してくれた客が絵を買ってくれたので、またフィーリングで。
と言ってしまったのが間違いだった。
彼女は30$という安値を提示しボクは『絵が売れた』という事でいっぱいになってしまい30$を貰うと絵を渡してしまうのだった・・。
*それ以降は価格をつけ販売した。でないと安く買い叩かれてしまうためだ。
問題は他にもあった。
絵が売れ直ぐの事だ。
店の人らしき人物がボクに話しかけてきた。
彼の話によると店の前でバスキングしてはいけないらしい。
なんと!
バイロンベイは何処でも絵を描いていいという訳ではなかったのか!?
ボクは慌てて絵を描くのを止め荷物をしまいこみ、バスキングを終了させるのだった。
【売れない日が1ヶ月続く】
ボクはバスキングする場所を町からビーチへ変更する事にした。
だがオジサンが毎日歌を歌うせいで独演会場になってしまい立ち止まる人すらいなくなる・・
歌のオジサンめ~!
ボクは再び場所を替える事を余儀無くされた。
色々考えた末、思い付いたのはインフォメーションセンター近くの広場に替える事だった。
このエリアでは歌手らしき人もいないし路上販売してる人もいたせいか安心してバスキング出来ると思ったからだ。
それにあたり荷物が必要なアクリル画からペン画に変更し荷物を出来るだけ減らしバスキングを行うようになった。
ボクは広場の通りにある木の下で絵を描くようになったのだが・・
中々売れなかった。
立ち止まる人はいるものの町の時より反応が悪い、そんな印象だった。
ただ広場で描いていると宗教団体の活動が見れたり
地元のアーティストにアドバイスして貰ったり
時々絵やポストカードが売れるので、そこで描くのを止めなかった。
因みに広場でバスキングした時(12月の中半~年末)の収益は
ペン画10$
スケッチ5$
ポストカード5$
チップ5$
合計25$だけだった。
余りの収益の低さに愕然(T_T)
だがそれではいけないと思ったボクは年明けの2019年の2日。
再びビーチ沿いに行く事に。
【約1ヶ月ぶりに絵が売れた!】
久々のビーチ。未だにオジサン歌手がいるため、今度は彼から離れた所でやってみた。
木の影とか良さそうと思ったが前任者がいるため断念し
強烈な日差しが照り付けるビーチまで行く道端で絵を描いた。
やっぱダメかな・・
と思ってると4日にポストカードが売れ、それを買ってくれたオジサンが原画も買ってくれる事に!
105$の収益だ!
その後もポストカードが一枚売れ、その日は110$でフィニッシュ。
【街中でのライブペイント】
1月に入った頃からボクは街中でもライブペイントをするようになっていた。
理由はビーチも広場も街中に比べて人通りも落ちるし見てくれる人が多くなるからだ。
ただし18時以降の店が閉まる時間帯から。
この時間帯になると通行人やバスカーが多くなりバイロンベイの本来の姿を見たような気がした!
また夜にやるようになってから知り合った画家のパウルさんとも何度か近くでライブペイントしたが彼はアーツファクトリーの依頼で作品を仕上げたり中々有名な人のようだった。
【泣きながら食べたフライドポテト】
ビーチで絵が売れて10日位たった頃だろうか。
この日、いつものようにスケッチブックに絵を描いていると男性がやってきて
いつものように絵について褒めて、その場を立ち去るかと思いきや彼は
手に持っていた出来立てのハンバーガーとフライドポテトを見せ
「ポテト食べる?」
「!」
願ってもない事だった!ボクはオーストラリアに来てパンとクッキーとジュースしか口にしていなかったので塩分が欲しくて堪らなかったのだ!
ボクは申し分なさそうに少しだけとると彼は箱に入っていたポテトを全て渡し、その場を後にした・・。
「全部食べていいのか・・」
ボクはポテトを手に取り一口、二口。
止まらなかった!
約1ヶ月半ぶりのマトモな食べ物である。
食べてるうちに余りの美味しさに目頭が熱くなり泣きながら食べた。
体が本当に塩分を必要していたんだと思う。
あの時食べたフライドポテトはボクの中で間違いなく今までで一番美味しかった食べ物に違いない。
【街中は売れやすい?】
1月に入った後ボクは暗くなってから街中でライブペイントをやっていたが人通りが多いせいか立ち止まって見てくれる人やポストカードを買ってくれる人の率が
ビーチや広場に比べて上がったような気がした。
ただまとまったお金は手に入っていない状況には変わらない事だった。
実は1月の20日過ぎまでボクは日中の間、この状況を打開すべく日本にいたときから描いていた10号サイズの絵を描き進め
なんとか完成させたのだが(結局3ヶ月かかった)
やはり中々売れるものではなかった笑
1月のライブペイントの成果は以下の通り
ポストカード 10枚50$
A4サイズのポスター 1枚10$
原画 1つ100$
チップ 20$と20¢
差し入れ フライドポテト、唐揚げの残り(おじいさんから)ご飯と唐揚げの残り(日本人から)
という結果となり180.20$(約14000円)の収益となりました!
こうして年始めに110$と絵の商品が幾つか売れたという成果を挙げバイロンベイでのライブペイントの残りの日々を過ごすのだった・・。
【250$で絵が売れた!】
2月に入り残り間もない日々をボクは毎日ライブペイントをやっていた。
もうホソボソとポストカードを売って終わりかな・・
と思った2月の2日。
この日も店が閉まる18時過ぎから近くにいるパウルさんとライブペイントをやっている最中の事だった。
ある日本人の方がボクの絵に興味を持ち話してるうちに売れないで終わるかと思ったペン画の曼荼羅を買ってくれました!
なんと250$で(T-T)
感謝の言葉しかありません!
あまり思うような売上がなかったライブペイントの日々の中で光が差し込んだ瞬間だったのかもしれない。
その後もボクはライブペイントをやったがポストカード二枚(10$)だけでバイロンベイ最後の日を迎えるのだった。
【まとめ】
ボクは画家人生を賭ける思いでバイロンベイにやってきて思い知ったのは人生そんなに甘くないという事!(当然か)
12月~2月の売上をまとめると総額648$(約5万円)という結果だった。
ただライブペイントやキャンプ生活を通してバイロンベイで活動する画家達や様々な人達との出会いはボクの中で貴重な日々であった。
今後ボクはライブペイントをやるかわからないが仮にやったとしても短期間、もしくは旅の小遣い程度に留めておくかもしれない。
何故ならライブペイントで生計をたてていくのはボクの中でハードな感じがしたし、オーストラリアにいた時いつも考えていた事は秘境チベットの事ばかりだったからだ。
(とはいえライブペイントする事で絵の仕事を貰えたりするチャンスがあるとは感じたが、ひとえに『運』が大きいのかもしれない。)
やっぱりボクは南国での生活よりもチベットを旅をする事。
そしてゆっくり自宅で絵を描く方が自分にはあってる。
以上がバイロンベイでの2ヶ月半に及ぶライブペイントの日々の全てとボクの中で導きだした答えである。