森羅万象の神々を描く銅版画家・和田豊樹さんにインタビュー

銅版画家の和田豊樹さんとの出会いは羊画廊主宰のパーティーだった。

 

そのパーティーは親ぼくを深めるため羊画廊由縁のアーティストさん達が集まり行われたもので

 

 

参加者の一人に和田さんがいたのだった。

 

 

彼は神仏に詳しい方で彼の作品の銅版画もインドやペルシャの装飾された写本からインスパイアされた天使のような作品が多い。

そんな和田さんとはパーティー後も連絡を取り合い、彼のアトリエで木版画を教えて貰ったり、観音寺での展覧会で御一緒させて頂いたり何かとお世話になっているアーティストなのである。

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今回、そんな新進気鋭の銅版画家である和田さんの取材を行ったので一人でも多く彼の事を知って欲しいな、と思っております。

【銅版画家・和田豊樹】

略歴

1993年 新潟県生まれ
2012年 東北芸術工科大学版画コース入学
2014~  日本版画協会展出展
2015年  第40回全国大学版画展
2016年  同大学院入学
2017年  第85回日本版画協会展 〈A部門奨励賞受賞 準会員推挙〉
第42回全国大学版画展 〈町田市立国際版画美術館収蔵賞〉
2018年 同大学院修了 第86回日本版画協会展 〈準会員佳作賞〉
2019年「第86回日本版画協会展 画廊選抜展」 養清堂画廊
第87回日本版画協会展 〈会員推挙〉
2020年 高知国際版画トリエンナーレ 入選(賞候補)
2021年 新潟県美術展覧会 入選
2022年 新潟県展 入賞 京都版画トリエンナーレ出展

和田さんのインスタグラムはこちら

https://www.instagram.com/wada_toyoki

【和田豊樹さんにインタビュー】

Q.昔から版画に興味はあったのですか?

A.昔は版画というのは眼中になくて、保育園の頃からずっとボールペンで絵を描いてました。

Q.銅版画家になったきっかけとは?

A.高校時代に色々本を読んでいく中で、西洋の銅版画の挿し絵を載せた本を読み

自分はずっとボールペンで描いているけれど線の表現を活かせるのは銅版画なのではないか?

と思った事がきっかけで銅版画家を目指しました。

 

Q.東北芸術工科大学に入学したきっかけは何ですか?

A.高校時代に美術系の大学を目指そうと美術予備校に行ったのですが、そこで先生から東北芸術工科大学を勧められました。

その先生の先輩が大学の教授だった事もあり入学しました。

Q.銅版画家になって良かった事はありますか?

A.線の表現が出来て、尚且つ手書きじゃない表現が出せるのが銅版画しかないので、それで銅版画をやって良かったなと思っています。

Q.作品のテーマの見つけ方を教えて下さい。

A.世の中の色んな植物の成長だったり生き物の営みだったり、『生命(いのち)』とかそういったものを具体的に物語として描きたいなと思っていて

現実的な物語ではなく空想上の生き物を登場させたような自由な物語を表現したいなと思い、テーマが生命になっています。

Q.制作していく上で気を付けている事は何ですか?

A.絶対この作品を描いて良かったと思えるような作品にしたいな、と思う事を目標にして丁寧に描いています。

Q.作品はどのくらいで完成しますか?

A.小さいサイズだと1週間、大きいサイズで2週間ですね。

Q.どのような版画家を目指していますか?

A.版画を制作している時に

 

ここいらなかったかな

 

こういう形は相応しくなかったかな

 

とかあるのですが、表現している物語を相応しい形で的確に躍動的に表現出来る版画家になりたいなと思っております。

Q.日本版画協会について教えて下さい。

A.日本版画協会の会員になっているのですがコンペに応募してきた一般参加者の入選や落選の通知を書くような係りに徴集されたりします。

Q.和田さんは神仏について詳しいですが、その魅力とは何ですか?

A.森羅万象を裏から支配している生命そのものだと思っています。

生命の営み、自分の身体もそうですが、太陽や雲の雲向等、森羅万象に対して畏敬の念を感じた時に

森羅万象を具体的な人格で表現したものは神仏だと思います。

 

だから森羅万象に目を向けた時に、神仏にも親しみを感じるんです。

 

特定の宗教とかではなく血管の脈動とかに目を向けただけでも神仏が身体の中に走り回って脈動しているなと思います。

 

壁や光等、全部に目を向けた時に神仏の動きというのが自分にとって魅力に感じています。

この世界の全部、一神教みたいに一つの神様という風に認識してもいいし多神教のように個別の神様として認識しても、どちらも自由だなと感じています。

普通、一神教の民族か多神教の民族かのどちらかですが

自分はそういう垣根を取っ払ってもいいかなと思っています。

 

描いているのって特定の宗教のじゃなくても基本的に神様みたいなものだな、精霊みたいなものだな、と思いながら描いています。

 

Q天使を描いているわけではない?

A.天使も神様と捉えているので位の低い神様というか

一神教は神様がいて、その下に天使がいるじゃないですか。

 

それって、どうしても神様が一つっていうスタンスですよね。

 

だから一番上の神様を『神様』として扱って、それ以下の神様を『神様』として扱うわけにはいかないじゃないですか。

 

だから神の使いという風に捉えているんだと思います。

 

多神教の場合は一番上の神様も勿論『神様』として扱って、それ以下の神様も全部『神様』として扱う事を許されている

 

一神教も多神教も見ているのは同じなんじゃないかと思います。

 

宗教的な人達からすると反発されそうな意見ですが自分はそういう風に見ています。

Q好きな神様はいますか?

お釈迦様、イエスキリスト、梵天ですね。

 

お釈迦様が原点にして頂点かなと思います。

 

やっぱりキリストもお釈迦様と通じる所があるのでお釈迦様とキリストも同時に大切にしています。

 

あと神様でいったら梵天

 

梵天はお釈迦様が悟りを開いた時に広めなくていいかな、と思った時に

 

梵天が

 

「広めてくださいよ!」

 

と説得した話が有名ですし

 

ガンダーラ地方の言い伝えだと帝釈天が最初にお釈迦様のもとに説得したけれど断られ

その後に梵天が来て説得に応じたと言われています。

梵天は最初、五個頭があったのに帝釈天によって一番上の頭が切断されて四個になったみたいです。

Qこれからやってみたい事はありますか?

色んな展示会をやって少しでも多くの人に知ってもらいたいなと思います。

あと本とかの表紙をやってみたいです。

Q.これから銅版画をやってみたい人に伝えたい事はありますか?

A.銅版画というのは同じ版でも刷り方を変えると全然違う雰囲気のある作品になるので手で描くのとは違う魅力を出したいな

と思う人は是非、銅版画をやってみたらいいんじゃないかと思います。

【まとめ】

今回初めてアーティストさんに取材を行いましたが、取材する事でわかった作品に対する思いや考え方がわかって面白かったです。

これからも新潟県のアーティストさん達に対して取材を行い沢山の人に知ってもらいたいなと思っています。

またアーティストさんの輪が広がったら、いつか情報交換の場としてのオフ会というのを開きたいなと企んでいるので取材活動を続けたいと思います。

ではでは(^^)/

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