伝説の理想郷『シャンバラ伝説』が残る秘境チベットへの大冒険
伝説の理想郷『シャンバラ』を知っているだろうか?
シャンバラとはチベット奥地にあるとされる伝説の理想郷であり、隔絶されたその場所に住むシャンバラの民は争いや病も苦しみもなく美しく平和な国とされる。
伝説の理想郷シャンバラを求めあまたの冒険者、神秘主義者、研究者達が大秘境チベットに赴いた。
そして、その地に赴き彼らが見たものとは伝説の理想郷シャンバラの名に相応しい世界が広がっていた。
天まで届くかのようなヒマラヤの峰峰の下に大自然が広がり独自の文化や宗教、過酷な環境下で生きる信仰心高いチベット人達に彼らが話す難解な言語と美しい文字・・
そして他の国に類を見ない極彩色に彩られた大僧院と美しい仏教美術の数々、そんな絶対的な非日常世界を見れば伝説の理想郷シャンバラも本当に雄大なヒマラヤ山脈の何処かに存在するのでは無いか?
ボクはそう思っている。
【シャンバラ伝説】
そもそもシャンバラの伝説発祥は一体なんなのか?そして語源はというと
中央アジアを支配していた『シャンバカ王』が由来するとも、チベット語の『幸福の源』サンスクリット語の『平穏』ともされているが、よく判っていない。
ただ、昔から中央アジアの人々の間では
『安穏と叡智に満ちあふれた理想郷がある』
という伝承があった。
この伝承が十世紀頃にロシアの神秘主義者セルギウス神父と出会い、聖者達が暮らす『白い湖の国(ベロヴォティエ)』を知り、旅立った。
彼が旅立って50年が過ぎた頃に帰国して聖なる国の事を語ったという。
この話が始まりで、後々多くの神秘主義者達が伝説の理想郷が中央アジアの何処かにあると主張しはじめた。
例えば神智学協会のブラヴァッキー(1831~91)はシャンバラ思想の源はチベット奥地に住む大師(マハトマ)による霊的通信だと言い
神秘主義者のグルジェフ(1877~1949)も大いなる叡智を結集した聖地があると主張。
シャンバラという名前が始めてヨーロッパに伝わったのが17世紀のイエズス会の宣教師によるものだが
それが真実性を帯びてきたのがロシアの美術家ニコライ・レーリッヒ(1874~1947)による中央アジア探検談だった。
レーリッヒは1925年から四年間にわたり、中央アジアを旅して回った。
彼はインドのスリナガルから入り、ロシアのバイカル湖~チベット高原~シッキムを旅し、この間に宗教関係者や地元の長老達にシャンバラについて取材して1925年に報告書を書き記した。
この後、神秘主義者や探検家達がシャンバラ探しに奔走する事になる。
その中で有名な探検家がドイツ人のテオドール・イリオンで、彼はチベット奥部のツァンポ峡谷に入り、謎の地下帝国に潜入し、光の王子なる人物と接触したという。
*シャンバラ、テオドール・イリオンについては『奇怪遺産』の佐藤健寿氏のサイトで詳しい事が述べられている。
http://x51.org/x/05/10/3050.php
*因みに中国雲南省にある『香格里拉(ギェルタン)』はシャングリラがここであると2002年に改名。
香格里拉は松茸が有名で松茸料理を食べることが出来る。
【オルモ・ルンリン】
チベットの土着宗教であるボン教においても理想郷伝説が存在する。
その理想郷の名前はオルモ・ルンリンまたの名をタジクと言い壁画において須弥山のような形をとっている。
ぼくがガワにあるボン教寺院を訪れた時、どの寺院にも描かれている四天王や六道輪廻図と共にユートピア図が描かれていた事は
チベットにシャンバラ伝説が浸透していると実感したほどだった。
また壁画が須弥山のような形をとっているという事はチベット仏教の聖地たるカイラス山が須弥山とされているので
オルモ・ルンリンと何か関連しているのではないかと思われる。
【虹の都アガルタ】
シャンバラと同じように、二十世紀の初め、もう一つの聖地伝説が噂されていた。
それは虹の都『アガルタ』
アガルタとはインド奥地にあるとされる謎の聖地の事で
『遥か昔、叡智を備えたケルト人王国が暴力的国家に脅かされ、避難するためにインド奥地にアガルタという大学を造った。』
というものである。
この謎のアガルタ伝説も数多くの神秘主義者達が独自の理論を主張していて、中央アジアを探検したポーランド人作家オッセンドフスキーが
「卓越した理想郷が地下帝国として存在し、世界の王と呼ばれる指導者が統治している」
と主張している。
このアガルタ伝説はレーリッヒの探検書が出ると『アガルタはシャンバラの首都』であるという翻訳によって、同一視されていく。
また、神秘主義者のダルヴェードル(1842~1909)によればアガルタにはヒエラルキーがあるという。
■アガルタのヒエラルキー(下に行くほど位は高い)
ドゥイジャ(二度生まれた者)、ヨギ(神と合一した者)が数百人。
ブンティ(学者)が五千人。
パグワンダ(枢機卿)が365人。
パクワンダ(導師)が12人。アルキ(?)が21人。
ブラハトマ(教皇)、マハトマ(補佐)マハンガ(補佐)
今回はテーマがテーマだけに妙にオカルティックになってなってしまいましたが、ボクが本当にシャンバラに行く事が出来れば
その時が本当の意味でチベット文化圏完全制覇なのだと思っている。
そしてテオドール・イリオンが辿り着いたとされる謎の地下帝国に行く事が出来るのでは無いか?と。
ナチスもシャンバラを探したのか?
伝説的な冒険映画『インディ・ジョーンズ』の1、3では聖遺物を狙いナチスが度々インディの邪魔をするが、元ネタは実際に存在した『アーネンエルベ』という組織。
アーネンエルベはヒムラーをトップとするナチス親衛隊の組織で古代の紋章や遺跡の調査を研究する機関で1938年、アーネンエルベ傘下の『スヴェン・へディン協会』はアーリア人の発祥地を突き止めると共にシャンバラの調査も行った。
*親衛隊長官ハインリッヒ・ヒムラー(1900~1945)は神秘主義者で『地球空洞説』等の証明の為、研究者を世界中に派遣していた。
ナチス時代の探検家や研究者は資金援助を受けるため親衛隊に加入している者が多く、有名な人物がチベット探検の隊長エルンスト・シェーファーや『アメリカのロケットの父』フォン・ヴラウン。
またダライ・ラマ14世の家庭教師ハインリッヒ・ハラーはオーストリア・ナチ党員。
ハラーの半生を描いた『セブン・イヤー・チベット』は余りにも有名だが、冒頭で彼がナチ党員であると彷彿とさせるシーンがある。
そんなナチスなのだから、もしかするとシャンバラも探したのかも知れない。
シャンバラを探しているボクとチベットとの出会いは『ヒマラヤの国ネパール』だった。
ネパールはチベットとインドに挟まれたお陰でヒンドゥー教とチベット仏教が見事に調和した宗教世界をカトマンズのあちこちで目にする事ができ、住んでいる人より神々が多いと言われる国である。
またチベット仏教の聖地ボダナートやスワヤンブナートでは中国の侵略から逃れてきた亡命チベット人の姿を多く目にする事ができ独自のチベット人コミュニティを創っている。
ボクはそんな環境であるネパールでチベット仏画『タンカ』という存在を知り後にボダナートで3ヶ月間のタンカ修行の旅に出ることなった。
そしてそこで知り得る事になったのチベット仏教や文化の詳細・・
何故チベット仏教僧院にはグロテスクとも言える壁画があったり日本の柔和な表情をした仏とかけ離れた鬼のような形相の仏や男女の神々が絡み合うエロティックな仏が存在するのかを・・。
当然タンカを学ぶにつれチベット仏教には多種多様な神々が存在するのを知り、神仏の体の色や持ち物が違うだけで全く違う神様になることを知った。
ボクはネパールでチベット人達が祖国や宗教にかける想いを感じる事が出来たが、残念なのは中国共産党がチベットに対して同化政策を行い徐々に美しいチベット文化が消えていっていることだ。
ボクはこのブログを通してチベット文化の美しさを世界に発信していきたいと思っている。
【ラダックの旅がボクの人生観を変えた】
何故ボクがこんなにチベットに魅了され、ネパールでタンカ修行までしたかというと全てのきっかけは『インドの中の小チベット』ラダックに行った事だ。
ラダックにはチベット本土では失いつつあるチベット文化・宗教、芸術が多く残され、とりわけチベット美術の多さは世界的に見てもラダックに集中している。
例えばアルチ・チョスコル・ゴンパにはチベット文化圏1とも言える貴重な仏教美術の宝庫であり、曼荼羅や千仏画等が寺院内に隙間なく埋め尽くされ繊細で美しい壁画が残っている。
画家として活動しているボクはラダックで古のチベット仏教壁画から多くのインスピレーションを受け
その年の9月にネパールでタンカを修行し、そこで得た情報をキャンバスにぶつけた結果・・
『マイチベットアート』としてのボクがより美しく、よりチベット的に仕上がったのでは無いかと思っている。
ネパールから帰ってきた後も幾度となく東チベット等のチベット文化圏の地を訪れ、その度にチベット文化・芸術の新たな発見をし日々チベットへの想いを馳せているのだ。
ラダックの旅はチベットを魅了する『きっかけ』を作り、その後のボクの人生に大きな影響を与えたのだ。
だからこそボクは秘境チベットに魅了され足しげくチベット文化圏の地を回っているのだがバックパッカーのボクだからこそ分かるガイドブックに乗らないチベットの様々な情報をこの目に焼き付けてきた。
例えば
チベットの知られざる神仏達のカテゴリーや持ち物、意味等、チベット仏教に関する情報の数々。
驚きに満ちた美しきチベット文化や風習と「フリーチベット」と叫ぶチベット人達の心とは?
現地取材したボクだからこそ分かるガイドブックに乗らない安宿や安くて美味しいレストランの数々・・
ボクはチベットで得た様々な情報をメールマガジンの中で語り秘境チベットへ冒険する人、チベット仏教に興味がある人や糸も美しいチベット仏画をこよなく愛する人に向け情報を発信していこうと思う。
少しでもチベットに興味がある人は『漫画仏画メールマガジン』に登録してボクの現地取材したからこそ分かる情報を受け取って欲しい!!
*メルマガ登録についてのお詫び。
突然ではありますが情報整理の為、しばらくメルマガはお休みさせていただきます。
誠に申し訳ありませんが再開時期は未定となっております