ぼくは画家としてラオスにある仏教美術から絵のイメージを得るためビエンチャン、バンビエンと北上し各地でお寺巡りをし
壁画の写真撮影、お寺から得られる自身の仏教画のイメージを膨らませる旅をしてきた。
そして最終目的地としたのがルアンパバーンだった。
ラオス北部メコン河沿いに広がる古都ルアンパバーンはフランス統治時代の面影を残す世界遺産の街であり
モザイク画で美しいワット・シェントーンやワット・ヴィスンナラート等、絵を描く上で気になるお寺が沢山あるので旅の最後の場所として世界遺産の街ルアンパバーンに赴いた。
因みにルアンパバーンまでは過酷な峠道を走るバスで行ったのだが、その時の様子はこちらの記事を参考にして欲しい。
【メコン河沿いの美しき仏教寺院群】
バスはルアンパバーンに到着するとChaofa Ngum Rd沿いで停まったので寝床となるゲストハウスを近くで探し終えると、あまりの気分の悪さでベットでバタンキュー。

夕食はローカル食堂でガパオライスを食べ、観光はそこそこにルアンパバーン1日目は終了した。

翌日ゲストハウスを探す道中に見つけたWat Phonxay Xayxana SongKhamに行ってみる事にした。
このお寺の詳細は不明だが壁画が美しいお寺で釈迦の生涯が色鮮やかに描かれていた。




また至る所に金の装飾が施されていて本堂裏の壁面にもラオス独特の装飾模様が描かれており
ぼくが描く色鮮やかな現代仏画の勉強となるような壁画や彫刻が沢山あった。



次に向かったのがワット・マイ
ルアンパバーン中心部に位置する王室寺院で1796年に建立(入場料2万キープ※約140円)

創建時はワット・シースワンナプームマラームと呼ばれ1821年にマンタトゥーラート王により修復された後「新しい寺院」を意味するワット・マイとなったとか。
ワット・マイには1960年代に制作されたラーマーヤナの金のレリーフがあり見事だった。


ラーマーヤナとはインドの長編叙事詩なのだが他の東南アジア諸国同様ラオスでも仏教とヒンドゥー教がミックスした宗教芸術が様々なお寺で見る事が出来る。
また本堂内も撮影可能で大きな金の釈迦牟尼仏の本尊を拝観出来る。

ワット・マイを後にしたぼくはルアンパバーンのシンボルであるワット・シェントーンを目指し東へと進んだ。
右手にはプーシーの丘がありチケット売り場近くにあるWat Pa Huakという小さなお寺に立ち寄った。

エメラルドグリーンの装飾で施された美しいお寺で壁面上部には仏陀?が乗った3つの頭を持つ像の彫刻がある。
1861年創建の仏教寺院で内部には19世紀に描かれた古い壁画があるのだが残念ながら見る事は出来なかった。
さらに東へ東へと進むとフランス統治時代の面影が残る美しい建物があるエリアになりカフェや飲食店、雑貨店等、観光客向けの店が沢山並んでいた。
このエリアは特に夜が綺麗で眩いばかりのランプでお店が照らされ、いつの間にか光のアート空間となっている。

ワット・シェントーンが近付くとお寺の数が増えてきて、お寺好きとして見所満載であった。
初めに見えたのがワット・セーン・スカーラーム
創建時は「10万の寺」という意味を持つワット・セーンという名前だったが1953年に当時の住職によりスカーラム(幸福に満ちた仏教の場)が付け加えられた。


金と大豆色のコントラストが美しい仏教寺院で繁華街から一番近いだけあって観光客が何人も散策していた。
次に向かったのはワット・ソプ シカラム(Wat Sop Sickharam)
この仏教寺院は仏教学校でもあり16世紀創建の歴史のあるお寺である。観光客が殆どおらず境内は緑豊かでお坊さんが談笑しながら歩いていたり和やかな光景が広がっていた。


ワット・シリムンクン・サイヤラム(Wat Syrimoungkoun Xaiyaram)は赤い瞳・赤い爪を持つ狛犬が印象的なお寺で1763年に建立。


ワット・シー・ブン・フアン(Wat Sibounheuang )は金とえんじ色のコントラストの装飾が美しいお寺で本堂内には立派な台座に座った釈迦牟尼仏が安置されている。歴史等は詳細不明。


他にもワット・シェントーン近くにお寺があるのだが
犬が吠えていたり身の危険を感じるようなお寺もあったので、そういった所は立ち寄らないようにしていた。
こうして幾つもの仏教寺院をまわったぼくが最後に向かったのがワット・シェントーンであった。
【ルアンパバーンで一番美しいお寺】
ルアンパバーンを象徴するワット・シェントーンはセタティラート王により1560年に建立され本堂は「ルアンパバーン様式」と呼ばれる流れるような屋根になっている。
また寺院はモザイク画が施され霊柩車を納めたお堂等、見所満載でラオスで最も美しい寺院と讃えられている。

ルアンパバーンに来たからにはワット・シェントーンに行くっきゃない!と思い、行ってみた。
入場料は30000キープ(約213円)
山門前でチケットを買い境内に入ってみると、やはりルアンパバーン指折りの観光地。
観光客で賑わっていて静かに観光する事は出来なかったがラオスの仏教美術を沢山見ることは出来た。
まず入口から一番近くにあった初代ラオス国王・ルアンパバーン王国最後の国王シーサワンウォン王の霊柩車が納められた1959年建立の霊柩車庫に行ってみた。

黄金の霊柩車は凄かったけど、ぼくが一番見事だと思ったのは霊柩車庫の壁一面施された金の仏教装飾だった。
巨大な鳥と戦っているレリーフ等、恐らくテーマはあるとは思うけれど装飾の詳細は分からなかったが
絵を描く上で参考になりそうな装飾模様や仏像等、ずっと見ていたくなるような建物であった。

勿論中も凄くて、巨大な霊柩車の周りにはスタイリッシュな仏像が幾つも並び、霊柩車庫だけでも見応え十分だった。


ワット・シェントーンの目玉ともいえる本堂は絶えず観光客で賑わっていて内部は撮影可能だった。
中には大きな釈迦牟尼仏が祀られていて壁や柱、天井にまで金の装飾模様がビッシリと描かれている本堂内は美しかった。

件のモザイク画については本堂裏の壁に施されておりモチーフは生命・宇宙の象徴である「生命の樹」であり孔雀や虎、人間等が樹の回りに描かれていた。

因みに仏教における生命の樹はサラソウジュで2本並んだサラの木の下でお釈迦様が入滅した事から涅槃の象徴とされている。
ワット・シェントーンは仏教寺院なのでもしかしたら宇宙の樹=サラソウジュをイメージしているかもしれないが詳細不明。
本堂裏隣には赤堂(レッド・チャペル)と呼ばれるお堂があり、こちらも壁一面にモザイク画が施されており見応えがある。こっちはラオスの生活の様子が描かれていた。

さらに仏塔までモザイクで施さていたりとモザイクアートが境内そこかしこで見る事ができた。

その後、気温が高くなりラオスの本気がひしひしと感じはじめたのでローカル食堂で昼食をとりゲストハウスで夕方になるまで休むのであった。
【ラオスのスワヤンブナート】
ルアンパバーンに来て思ったのはメコン河から望む夕日があまりにも美しかった事だ。
その夕日がよく見える絶景スポットがプーシーの丘と呼ばれる山頂にタート・チョムシーと呼ばれる黄金の仏塔がある小高い丘で
ワット・シェントーン同様、ルアンパバーンのメジャー観光スポットだけあって観光客が多い。
さて、そんなプーシーの丘だが遠くから見るとネパールの猿寺スワヤンブナートとそっくりなのだ。

プーシーの丘同様、小高い丘の上に立つスワヤンブナートはネパール最古のお寺であり、猿が多い事から「モンキーテンプル」とも言われている。
ネパールを旅していた時、何度も通っていたので
ここラオスでネパールの思い出が蘇る程、プーシーの丘はスワヤンブナートを彷彿するような場所だった。
ネパールの思い出に馳せながら入場ゲートでチケットを購入(30000キープ(約213円)し山頂のタート・チョムシーを目指し出発。
夕日を見に行く沢山の観光客と共に階段を登り続けると広場のようになっている所に辿り着いた。
広場には1955年にインドから贈られた菩提樹がそびえ立ち、その下には仏像が安置されておりプーシーの丘を登る参拝者を見守っているかのようだった。
少しだけその広場で休憩すると再び山頂を目指す事に。
ぐんぐんと幾段もの石段を登り続けると、ようやく目的のタート・チョムシーに到着。

狭い境内にはメコン河からの夕日を見るため集まった観光客で賑わっており日本人の姿もあった。
境内からはルアンパバーンの町を一望でき絶景ではあったがメコン河が夕日で輝く時間帯まで、まだまだ時間があったので境内を散策してみる事にした。


タート・チョムシーは内部を拝観する事が出来たので中に入ってみると金色の仏像が幾つも並んでいて静かな空間がそこにはあった。
一通り散策したぼくは絶景タイムが始まるまで待つことにしたのだが、とうとう待ちくたびれて帰る事にした。
正直何もやる事がなく暇過ぎたし、ルアンパバーン到着日にゲストハウス付近で見た夕日の方が綺麗だったからだ。

なので夕日はメコン河沿いでディナーをとりながら見る事にした。
メコン河沿いには幾つかのレストランがあり、その内の一つでディナーをとったが
ここで正解!
多分プーシーの丘で沢山の観光客で見るよりメコン河沿いのレストランで見た方が静かにラオス料理を食べながら感動の夕日を見る事が出来るのでオススメだと思った。
【ルアンパバーンの仏像博物館】
ルアンパバーン3日目。
ゲストハウスでシャワーを浴び身支度を整えたぼくは、プーシーの丘裏手にある通り沿いにあるワット・ヴィスンナラートまで歩いていく事にした。
お寺までの道はプーシーの丘から一直線なのでテクテクと歩いていると難なく到着。
ワット・ヴィスンナラートは1512年のヴィスンナラート王の時代に建てられた仏教寺院でルアンパバーン最古の寺院と言われている。

また境内にはヴィスンナラート王の妃パンティーシアン王妃の命で1514~15年に建てられた「タート・マークモー(スイカ仏塔)」と呼ばれるタート・パトゥムがある。
因みにお寺の隣にはワット・アハムという1527年に建てられた(1818年修復)お寺あり、境内にある2本のカジュマルの木は夫婦の精霊プーニュー・ニャーニューが宿っているという。

↑ナイトマーケットで購入したプーニュー・ニャーニューの置物。
ワット・ヴィスンナラートに到着すると入場料30000キープ(約215円)を支払い本堂内に入場。
本堂に入り一番初めに目に飛び込んでくるのは前身金ピカの釈迦牟尼仏だ。そして仏陀を囲むように沢山の仏像達。



スタイルのいいルアンパバーン様式の仏像や付近から発掘されたと思われる仏像の頭部や仏像の残骸、仏教レリーフ、妙にリアルに作られた住職?の置物等など…
さながら仏像博物館。
とにかく見応え十分でルアンパバーンのお寺で一番好きかもしれないと思った程だった。



またメインストリートから少し離れているせいか観光客も少なめでゆっくり仏像を見て回れる事が出来るのもポイントが高かった。
その後、昼食を探すついでにManomai Rd沿いにあるワット・マノーロム(Wat Manorom)に立ち寄ってみた。

ワット・マノーロムは瞑想の修行の場として役割を果たしてきた仏教寺院で創建は不明だがカム・デーン王(在位1416〜1427年)が建立したらしい。
本堂は壁一面に壁画が描かれており(正面は立体・両横は壁画)扉や柱等に装飾模様が施されていて美しかった。


境内には両手と下半身がない本尊のレプリカがあるが本尊は19世紀にホー族が兵器製造のため両手と両太ももを壊したという被害があったという(1972年に修復)

昼食後「UXO Lao Visitor Center」でラオスの負の歴史を学んだり不発弾を加工したアート作品等を見学し終えると、この日は終了するのだった。

4日目、5日目はルアンパバーンの滝巡りを行い有名なクアンシーの滝やバイクでセーの滝まで行ったり、古都ルアンパバーンの大自然を満喫した!
滝巡りの話は次回話そうと思う。
因みにバンビエンやビエンチャンにも絵の勉強になるような仏教美術が豊富にあるお寺が沢山あり見応え十分で楽しめた。
お寺を回りながらラオスの町を観光するというのも面白いと思うので、興味のある人はバンビエンとビエンチャンのお寺を紹介した記事を読んでみて下さい。
【まとめ】
今回ルアンパバーンのお寺を幾つかまわったけどルアンパバーン市内には34の寺院があり、全てをまわりきる事は出来なかったが
美しいルアンパバーンの仏教美術を沢山見る事が出来たのは画家として絵のイメージを練る為に勉強になったと思う。
また旅の中で、ふと思った事があったのだが日本のお寺もラオスのお寺程じゃないにしても、本堂や天井に装飾模様が描かれていたら見応えがあるし注目されるんじゃあないだろうか?
と思った。
お寺離れが進んでいると言われる日本のお寺だからこそ、アートの力というのがあればお寺と接点が増えるんではないか?
とラオスのお寺を見て感じるのであった。

