今回取材に訪れたのは胎内市黒川にある長谷寺(ちょうこくじ)という曹洞宗のお寺。
黒川を治めていた柳沢経隆(やなぎさわのりたか)公の菩提寺であり、この地域の歴史を語るにはかかせないお寺である。
今回、絵画制作のご依頼を頂いた村上市の光浄寺さんからの紹介がきっかけで長谷寺のご住職
安澤尚永(あんざわしょうえい)さんにお話を聞く事が出来たのでご覧下さい。
【長谷寺の歴史】
諸嶽山(しょがくざん)長谷寺は天正15年3月15日(1587年)創建。塩谷村で荒廃していた真言宗の増慶院を建て直す為、樞山梵守(すうざんぼんしゅ)大和尚を柳沢経隆公が派遣をしたのか、自分の博をつけるため長谷寺を建てたのかは経緯は不明だが再興し曹洞宗に改宗・開山した。
本尊 釈迦牟尼佛
本寺 増慶院
【長谷寺の見所】
境内に入ると右側に地蔵菩薩や馬頭観音の石碑、左側には六地蔵が祀られている。
正面には1763年(宝暦13年)に再建された山門があり、山門を抜けた所に樞山梵守大和尚が植えた赤い椿の木と対になっている白い椿の木があり、長谷寺の椿の木が綺麗であると噂になり、見に来られる方も多いようです。
また樞山梵守大和尚はお庭に力を入れた方のようで、百日紅(さるすべり)や紅葉の木など樹齢400年位の木を境内で見る事が出来る。
本堂の屋根には村上市の耕雲寺のお弟子さんが長谷寺の住職をしていたという歴史がある為、菊水の家紋が彫られている。
また柳沢家の四つ花菱(よつはなびし)の家紋が残されており、黒川にお寺を建てたという証明になっている。
本堂内部には龍江堂があり、そこにお祀りしている不動明王像や観音菩薩像等は檀信徒の方から寄進されたもので龍江堂内部を胎内潜りすると
長谷寺の秘仏である薬師如来像を表している木彫りの薬師如来像が祀られており御祈祷の際、身体の悪い所を一つだけ撫でる事が出来る。
本堂奥には位牌堂があり、三界ばんれい堂やおびんずる様、柳沢家の当主の方々のご位牌、歴代住職、檀家総代の方々のご位牌が祀られている。
因みに本尊のお釈迦様は400年前の昔のもので火事等の直接的なお寺への被害がなかった為、保存状態が良い状態で残っている。
【年中行事】
■1月1日 大般若会
■5月21日 大般若会
■7月23日 お地蔵様の為のお祭り
■10月22日 子ども食堂
因みに安澤さんが力を入れているのが「子ども食堂」で子ども達が作った料理を大人達に食べに来てもらうというのをコンセプトにしている。
お寺の中の調理場で子ども達がカレーを作ったり注文をとって配膳したりする子ども食堂のようです。
【安澤商永さんにインタビュー】
●お坊さんになった理由は?
お坊さんになったのは家族喧嘩がきっかけで本当は兄が得度式(正式にお寺に入り父親の住職との師弟関係を結ぶ儀式)を行ったのだが
兄が怪我をしてお医者さんにお世話になった事がきっかけで、兄は医者を目指した事でお寺を継ぐのを拒み父親のご住職と大喧嘩した事で
その雰囲気に耐えられなくなってしまった安澤さん(当時12歳)が代わりにお寺を継ぐ事を選び得度式を行ったようです。
●修行時代の話
一年間の永平寺での修行後、東京のお寺で修行に行く事になった。
そのお寺のご住職の父親が通称「御前様」と呼ばれており何度も料理を作らせる位、厳しいお方であり、お寺側としても生ゴミを絶対に出さないお寺であった。
御前様が食べ物を無駄にしたくない観点からパイプを通った食べ物をお寺の裏にまとめていた物を一回洗って鍋で煮て食べていた光景を安澤さんが目撃。
御前様を止めようとしたら
「修行僧の人達に料理を作る立場なんだから、この食材全て一つ一つにも敬意払ってやらんことには供養に繋がらないし農家の人達にもならないから全部食べなきゃいけない。」
トイレに行って顔洗って出直してこい!っと怒られてしまい一回家に帰されてしまった。
だが
一つの事を突き詰めてやれ!という凄くいい言葉を教えてもらい、そのお陰で今も違う事をやろうという考えが起こらなくなったので
そういう意味で御前様にはお世話になったという事と
当時93歳位という高齢ではあったが凄い元気な方で庭木の剪定を行っており修行僧達と一緒に伸びきった木を切ったりしていた。
御前様は自分の事は自分でやれ、自分の出来なくなった事は修行僧に任せるというスタンスだったので、そういう意味で凄い方だったと当時を振り返って頂きました。
●お坊さんになって良かった事
「色んな檀家さんに出会えた事で、そこから色んな縁に繋がって改めて野菜の作り方等を教えてもらったり
紙芝居をやっているので、うちでも紙芝居をやって欲しいという声が上がった事
そして、お坊さんになって本当に良かったのは他の先輩のお寺様の姿を見て凄いカッコいいなと思う事が沢山あり
そういった憧れの方々がいたから、その方々の背中を目指せるからお坊さんになって良かったと思う事はある」
と語って頂きました。
●日々大切にしている事
「一日一善。
まわりの檀家さんに敬意を払う事を大事にしており
亡くなった時に戒名やどのような葬儀にしたいのか?どのような感じでお寺に入っていきたいのか?という事を檀家さんとよく相談するという事と
檀家さんと一緒に作っていくお寺を目指しており
子供達の相談やまわりの方の意見を聞いたり、いい法要、いい近所関係を築きあげたいと思いながらお寺の住職を勤めている。
また地域の人に利用してもらう為、筋トレルームを設置したり子ども食堂等、他のお寺さんがやらないような事をやっていきたい。」
【まとめ】
長谷寺のご住職とお会いしたのは二回目だったのですが取材をして思ったのは話しやすく明るい方だと思いました!
また子ども食堂という取り組みも面白く地域の人達を大切にしている様子というのが、お話の中で感じ取れたので
このようなお寺が増える事でお寺が衰退ではなく繁栄という世の中が来るのではないかと思いました!
この度はどうも有り難う御座いました!