この記事では、仏画をイラスト風に描く3つのコツを紹介しようと思うが、ボクが仏画を描き始めたキッカケを少しだけ語らせて欲しい。
ボクが仏画をイラスト風に描き始めたのは、初の個展『天使と悪魔とボク』が終わった頃だった。
当初は天使や悪魔をイラスト風に描いた絵を描いていたが、突然の思いつきで仏教の絵を描く事を決意。
仏画を描き始めたのがキッカケで今では仏教美術を求めチベット文化圏の旅をする事になったが、ボクは元々漫画家を目指していた。
結局夢は挫折してしまったが、仏画との出会いで海外に行く事になるなんて夢にも思わなかった。
人生何が起きるか分からないものだ。
前置きが長くなってしまったが、ボクが紹介する3つのコツは主にキャラクターを重点をおいて紹介しようと思うので、仏画をイラスト風に描きたい人の参考になってくれれば幸いだ。
【ホトケの身体は4~5頭身】
まず初めにメインとなる尊格(仏)を描く事になるがボクの場合、身体は4~5頭身位に意識して描いている。
通常の仏画に描かれている仏は、大体8頭身位で、背丈も高いような気がする。
だがボクの仏画に登場するホトケ達は意識的に幼く描いているので顔も丸みをおび、4~5頭身位の少年少女のようだ。
ただ、個展を開く度に常連のお客様が言うのは
「個展を開く度に年齢(仏の)が上がっているような気がする」
と語っている位、ボクの絵は常に進化をしているようだ。
何故ボクが仏を幼く描いているかというと、そのように描く事でマンガ風に見えるし、何より自分らしさを表現出来ると思うからだ。
マンガを読めばわかると思うが、主人公は大体十代前半のキャラクターが大半を占め、か弱い彼らが困難に立ち向かう事で読者は感情移入するのだが、ボクはそういうマンガを描いていたから、その影響が強いのだろう。
ボクの仏画の場合、特徴である枠を描いてから仏を描く事になるが、まずはシャーペンで薄く全体の輪郭を描く事から始まる。
描き方はキャラクターのイラストを描く時と変わらず、顔や身体を十字に描き、その十字にそって肉付けしていくような感じだ。
仏のポーズに関しては真面目に描くなら参考書を元に決められたルールにそって描くのもアリだし、自分流にアレンジしたポーズで描くのもいいかも知れない。
ボクの場合タンカ(チベット仏教画)を元に描いているので、出来るだけルールにそって描きたいという想いがある為、タンカ風イラストのようになっている。
【目が1番重要!!】
イラスト、マンガ、アニメやゲームに至るまで様々な場面でキャラクターが登場するが、そのキャラクターに感情移入、好きになるかどうかは性格や思考といったキャラ設定もあるのだが、1番は『顔』の描き方にある。
中でも『目』は1番重要で、そのキャラクターの印象を決定してしまう位だ。
だから漫画家の人はキャラクターを描く時、気に入った顔になるまで何時間も費やす事もあるし、それにより読者はキャラクターにグッと引き込む事ができる。
ボクの仏画は見ての通り顔をマンガ風(主に目が)に描いていることで、仏がキャラクターのようになっている。
ボクが目を描く時に気を付けている点と言えば、出来るだけ(不自然にならない程度)目を大きく描いている事だ。
これにより十代前半の仏を描く事が可能になって、可愛い感じになる。
ただ、やはり目を描くのが1番難しい為ここで記事にして、説明しても中々伝わりづらいものがあるかも知れない。
だが、目や顔を上手く描く為に1番の近道は、プロの漫画家やイラストレイターが描くキャラクターを模写しまくる事だ。
現にボクは、その方法でキャラクターの描き方を学んだようなもので、漫画家を目指していた頃『鋼の錬金術師』のキャラクターを描きまくった事により、現在の顔や目の描き方を習得するに至った。
だからボクにとってマンガ本は教科書のようなものなのだ。
もしキャラクターを描くのを上手くなりたい!
と思うならばマンガ本で描き方を学んでみては如何だろうか?
【イラスト風な仏画で使う画材について。】
イラスト風な仏画と本格的な仏画の違いは、何と言っても使っている『画材』だろう。
ボクは以前ネパールでタンカ(チベット仏教画)を学んだが、そこで初めてタンカに使う画材や描き方を学んだ。
タンカは岩絵の具で塗り、伝統的描き方で描いていくのだが、初めて使う岩絵の具でボクは悪戦苦闘。
学んでみて分かったのはボクにとって使い慣れたアクリル絵の具で描く方がしょうにあっていた。
だから現在に至るまでボクはアクリルを使っているのだが、これがボクの仏画をイラスト風にしている大きな要因だろう。
アクリル絵の具を使えば色鮮やかに描く事が出来るし、失敗しても地塗り剤『ジェッソ』を使うことで何度もやり直す事も出来る。
その点、タンカの場合、失敗すると布やティッシュで拭き取る事しか出来ないので“失敗出来ない難しさ”みたいのがある。
因みにボクの使っているアクリル絵の具はリキテックスで、色々試した結果1番ボクにあっていたのだ。
このアクリル絵の具を使うことで様々な色を作れる事ができイラスト風に描く事がしやすく、黒を使えば尊格の輪郭も描けるので色々幅をきかせる事が出来る。
また、アクリル絵の具は初心者にも優しい絵の具だと思うので実践してみて欲しい。
【まとめ】
仏画をイラスト風に描く3つのコツをまとめてみると
■4~5頭身に描く。
■目を大きく、マンガ的に描く。
■アクリル絵の具で描く。
という結果になった。
ただ、これはあくまでボクの仏画を基準にした結果なので、3つのコツは参考程度で頭に入れておき、自分だけのイラスト風仏画を描いて欲しい。