仏画・絵について

カッコイイ仏画の描き方『智恵の仏“文殊菩薩”編』

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三人よれば文殊の智恵の代名詞となっている文殊菩薩(マンジュシュリ)とは智恵の仏であり、チベット文化圏では人気の仏様の一つである。

文殊菩薩が司っている智恵とは真実を見極める力の事をいい、学問云々の知恵とは関係ないのだけれど、智恵の仏が一人歩きし、いつの間にか学問の仏様として崇められるようにもなった。

ボクはこの文殊菩薩を10号のキャンバスを使い20日間位かけ描き、とある賞に応募し・・

 

落選した。

 

 

落選した原因は今思えば、当時の仏画は今と比べるとまだまだ荒く、落選してもしょうが無い画力だった。

 

落選後、2015年度の『宮下拓実』展にて展示販売したものの売れず、文殊菩薩は結果的にお蔵入りになってしまった。

 

だが、ボクはその後ネパールでタンカ絵師の元、タンカを三カ月間学び、絵や筆の使い方を一から学び直した結果、ボクの画力は格段と上がってしまった。

その状況を見た画廊のオーナーはボクに今まで描いた絵の再ペイントを要求され、20点近い絵を塗り直す事になったのだが、その中の一つに文殊菩薩があった。

 

ボクは文殊菩薩の絵を2カ月半かけ、毎日毎日少しずつ色を加えながら何とか完成した。

 

ただ再ペイントするにあたり、気を付けた事がある。

 

ボクの絵は枠が特徴的で、作業の中で枠の部分が最も時間のかかる場所だったせいもあってか、時間短縮の為、普段より枠の幅を小さくして描いたことだ。

こうすることにより作業時間を短縮する事に繋がったが、それでも2カ月半もかかってしまった。

 

それでも完成してみると以前より美しく描けたので手間暇かけて描いて本当によかったと思っている。

 

因みにボクの仏画はチベット仏教画タンカを元に描いているが、本来伝統的な描き方で描く場合、枠にあたる場所は表装部分にあたり枠を描くのはNGなのだがボクはタンカを描いている訳ではないので問題はないと思っている。

(というより、神仏を漫画風にアレンジしている時点でタンカとは違っているのだが)

 

それと文殊菩薩の再ペイント前の絵は羊画廊の過去の個展情報にしっかり文殊菩薩の絵が残っているので興味のある人は調べてほしい。

 

【文殊菩薩の図像】

ボクは数ある仏達の中で一番好きなのは文殊菩薩です。

理由は子供のようなお顔で天衣をまとった菩薩形の姿なのに、右手にこれ見よがしに宝剣を掲げ、左手には経典を持っている、どこかユーモラスとも言える文殊菩薩のお姿が好きなのである。

さて、この文殊菩薩であるが、実際に実在したと言われ、数々の伝説が語り継がれている。

 

チベット仏教の始祖パトマサンヴァパもそうであるように、伝説的人物は何故かまことしやかには信じられないような語り草が語られている。

例えばネパールのカトマンズ盆地は文殊菩薩が宝剣で切り裂いた事により、盆地が出現したという伝説がある。

 

 

当然誇張表現だと思うが、ネパールではそういう事になっている。

 

 

文殊菩薩はネパールを含めチベット文化圏の国々で信仰されているが、その造形は日本とは微妙に異なっている。

日本では獅子の上に蓮華座が置かれ、文殊菩薩が座っているのだが、その姿も髷を結っておりチベット仏教の文殊菩薩のように冠を被っているという訳では無い。

またチベットの文殊菩薩は黄色い身体をしているが、日本では肌色で表現されている違いもある。

 

チベット仏教における文殊菩薩の造形はまだまだあり、知り合いのチベット人タンカ絵師の話によると、文殊菩薩の造形は六つあるという。

 

ボクは六つある文殊菩薩の姿がどういうものなのか判らないが、チベット仏教美術の宝庫ペンコル・チョルテン内には美しいチベットの壁画が数多くあるが、その中に伝承が途絶えてしまったチベット仏教の神仏の姿も多数ある。

例えば、とあるチベット仏教美術の本で見た事があるのだが、ヤマーンタカ文殊金剛や文殊金剛ヤマーンタカといった異形の神々も存在する。

 

ヤマーンタカとは五大明王の一つ代威徳明王の事だが、チベット仏教ではヤマーンタカは文殊菩薩の化身と言われておりヴァジュラハイラヴァという獣面で凶暴な仏も存在し、柔和な表情である文殊菩薩のもう一つの顔と言っていいだろう。

ボクは仏画を描くにあたり、仏画のテーマとなる神々について調べたり実際にチベット文化圏の国々に行き、仏像や仏画等を見てインスピレーションを受けたりするので、仏画を学びたい方は海外へ行き、地元住民から信仰される仏達と対話してみては如何だろうか?

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