幻の1,000体仏像を探しに東チベットへ。『カンゼで見た荘厳な神々の世界』

チベット文化圏の国々では日本で見ることの出来ないチベット独特の色合いを持つ仏像達がチベット寺院に鎮座し参拝者達の信仰を受けている。

ボクは画家であり主にチベット文化圏の国々を旅しているがチベットの仏像や壁画の数々を見ていると、そこから放たれるエネルギーを元に絵のインスピレーションが沸き立ち、良い絵を描くことが出来る。

 

残念ながら日本の厳かなで渋い表情を持つ仏像からは、そういったエネルギーを感じる事が出来ない。

だからこそボクはそのチベットのエネルギーを貰いにチベット文化圏の国々を旅するのだ。

 

【カンゼまでの道】

東チベット・カンゼには1,000体はあろうかという仏像達が拝観出来るチベット寺院があると聞きつけたボクは件のカンゼ行きの乗り合いタクシーに乗りこみ、まだ見ぬ美しい仏像を考えながら物思いに耽っていた。

カンゼ行きの乗り合いタクシーに乗ったのはチベット情緒溢れる山あいの町タンゴ(ルーフォ)

この町までやってくると色取り取りの民族衣装を着たチベット人達に会え、丘の上には巨大なタンゴ・ゴンパが町を見下ろし存在感を放っていた。

朝の8時過ぎに出発した乗り合いタクシーは広大なるチベットの荒野を駆け抜けた。

窓の外をみると日本では絶対に見ることが出来ない美しい山々がボクの心を洗ってくれるかのようだった。

ボクは東チベット最終目的地となるカンゼへ向け走る乗り合いタクシーの中、今までの事を考えていた。

東チベット始まりの街カンディンのチベット寺院では巨大な観音菩薩の仏像を拝み、ラガンではチベット仏教独特の怪しく甘美な壁画やチベット1神聖な釈迦牟尼の仏像を拝観し、画家として大きなインスピレーションを受けた。

タウではチベット人達の信仰心の象徴として巨大なストゥーパ(仏塔)見ることが出来たし、近くのチベット寺院では幾つも並んだ仏像達の前で五体投地を繰り返すチベット人達の姿を捉え宗教に対する信仰心の深さをうかがい知れた。

中国共産党に支配されたチベットではあるが文化や信仰心が残る東チベットの地にやってきてボクは本当によかったと思っている。

タンゴを出発して2~3時間たった頃だろうか?

荒野の中、民家がちらほら見え始め大きな建物も見え始めた。

 

そう

 

ここはもうカンゼなのだ。

乗り合いタクシーはカンゼの街の中で止まり乗客達を降ろすと、颯爽と何処かえ行ってしまった。

ボクは中国人が経営する宿にチェックインすると1,000体の仏像があるとカンゼ・ゴンパを探すべく街中を散策した。

カンゼの街の印象は以外に都会で民族衣装ばかり売っている商店街や土産物店や地元住民が通うローカルな食堂でひしめき合っていた。

 

それともう一つ。

 

カンゼの一番の印象は公安警察が多かった事だ。

今までタウ、タンゴとドンドンチベット自治区に向かい移動してきたが民族衣装を着たチベット人が多くなるにつれ公安警察の数も多くなってきた気がする。

治安が悪い訳ではないが、いつ何が起こるか分からない東チベットの現状を垣間見た気がした。

*カンゼに赴いたのは2017年1月だったが、僅か3ヶ月後の4月にカンゼの街中で抗議の焼身自殺が発生している。中国共産党に不満を持つチベット人が多いという事だ。

*タンゴ~カンゼ間の乗り合いタクシーはカサル飯店前の目抜き通りに多数止まっていてボクのような旅人がホテルから出てくると声をかけてくる。

おおよそ80元程度

*東チベットで幾つかグループ経営しているカサル飯店だが内装は良くてもやはり水回りが・・。

シャワーはお湯が出ない。東チベットはシャワーが使えないのを覚悟した方がいいだろう。

Single:120元

 

【幻の1,000体仏像を遂に発見!!】

1,000体仏像があるカンゼゴンパを探すべく商店街前の大通りを北へ北へと歩いていった。

するとあれ程賑やかだった商店街が嘘のように静まりかえり人通りも少なくなった。

公安局近くまで来るとチベット人達がたむろっていたのでカンゼゴンパはどうやって行けばいいか聞くと目指すべき方角を教えてくれた。

教えてくれた方角に行くとチベット人達の集落があり、どこからともなく番犬のけたたましい音が集落中に鳴り響いていた。

ボクはうっすらと恐怖を感じながらも集落のチベット人達にカンゼゴンパの行き先を尋ねながら何とか目的のカンゼゴンパに辿り着いた。

カンゼゴンパは創建17世紀の由緒あるゲルク派の大僧院でカンゼのシンボル的な存在と言える。

ボクはカンゼゴンパの小さい入り口から境内に入ると、直ぐ近くにお堂があった。

中に入ってみると文殊菩薩や観音菩薩、金剛手菩薩等の美しい真鍮製の仏像達がボクを迎えてくれた。その美しさにばしゃばしゃと写真を撮ったが、煩悩だらけのボクにチベット仏教の神々は天罰を与えた。

ボクが使っていたカメラはフィルムカメラだったのだがフィルムが無くなったのでフィルムを取り替えようとしたその時・・。

 

取り替え方に失敗しフィルムが飛び出てしまった!!

 

こうなるともう現像しても写真が写ってるか分からない。

そしてこの『天罰』がカンゼを最終目的地にさせてしまった原因だった。

ボクはアチェンガルに行きたかったが仕方ない・・。

もう一度写真を撮るために着た道を戻ろう・・。

そんな失意にも似た気持ちを抱きながらアパートのような建物を目指した。

中に入ってみるとドンヨリとした気持ちも嘘のように吹き飛んだ!!

 

そう、幻の1,000体仏像がボクの前に広がっていたのだ!

何とも美しい!ボクはチベット文化圏の国々を色々行ったがこんなにも美しい仏像は今まで見たことが無い。

1,000体仏像は雛壇のような所に鎮座し回りを祖師像や釈迦如来や観音菩薩の仏像が雛壇を見守っているかのようだった。

ボクはその神聖ともいえる1,000体仏像が放つパワーに圧倒され思わず五体投地を何度も繰り返すのだった。

ボクはカンゼゴンパで1,000体仏像が放つパワーを体に取り込み、その場所を後にするのだった。

チベットに行くと信仰心の薄い日本人でも体が勝手に五体投地をしてしまう不思議な事が起きてしまう事がある。

 

そう

 

それが『チベット』なのだ。

 

 

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