住む人より神々が多い?『混沌のカトマンズ』

元々ボクは悪魔や天使といった絵を描いていた。

だけどネパールに行ったことがきっかけでカトマンズの神々と出会い、仏教画を描くようになったのだ。

 

ネパールは住む人より神々が多いと言われるくらいカトマンズの街を歩くだけでヒンズー教やチベット仏教の神々と出会うことが出来る。

例えば信仰心高いネパール人達が朝のお祈りをする『神様のお家』があちこちに立っていたり、よく目をこらすと民家にも細かな神様をモチーフにした装飾が施されている。

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ボウダナートやスワヤンブナートといったチベット仏教の聖地では、巨大なストゥーパ(仏塔)を囲むように幾つものゴンパ(チベット仏教僧院)が点在し、ゴンパの外観や中には美しいチベット模様の装飾が施された柱や色鮮やかな壁画が描かれている。

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いわばゴンパはチベット人の信仰の場であると共に、チベット芸術の集合体なのだ。

『美の都』パタンには美しいヒンズー教の寺院が沢山あり、画家カーストを持つネパール人画家達が多く、タンカを描いている場面によく遭遇する。

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またカトマンズやパタン、バクタプルの博物館には貴重な昔の仏像や仏画が多く展示され何度来ても全く飽きない見応えのある逸品ばかりである。

 

ボクは初めてネパールに訪れた際、こういった日本では絶対みることも出来ない寺院や仏教美術の数々に感激し、暇をみては寺院の装飾的なレリーフをノートに描き写したくらいだ。

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ボクはこのネパールの旅から帰った後、カトマンズで出会った神々を描いてやろう!と思い“天使と悪魔”から“仏教やヒンズー教の神々”にテーマを変え、描いていく事になる。

そして描いていく内に他の仏教美術がある国はどういう所があるのか?という思いが沸き上がり後にカンボジアやインド、そしてタンカ修行の為3ヶ月間ネパールに再訪する事になる。

 

このカトマンズで出会った神々がボクの絵に与えた影響は大きいが2015年4月、ボクに衝撃的なニュースが入ってきた。

 

ネパール大震災である。

 

あの“カトマンズの神々が住む”ネパールの歴史的な建造物や寺院が地震により修復困難なまでに崩壊し、多くのネパール人が被災し亡くなった。

 

ボクはひどく悲しんだ。

 

震災5ヶ月後、タンカ修行の為再びネパールに訪れるとボクは衝撃を受けた。

 

あのダルバード広場の美しい寺院の数々が土台を残しすっかり消え去っていたのである。

 

地震の爪跡は至る所に見られ、ボウダナートの巨大ストゥーパの四面ブッダアイは壊れ、チベット仏教美術の集合体と言えるゴンパの数々も大打撃を受け、全壊寸前の所や美しい壁画に大きなヒビがはいっている所など沢山あった。

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ボクは地震の恐ろしさを知った。

 

どうにもならない事だけど、地震により何もかも無くなってしまうという現実を見ると胸が苦しくならずにはいられなかった。

 

このネパールに訪れる際は仏教画や絵を描く上で学べるものは多いが地震により多くの人が亡くなり、日常生活が壊れ、失われたものも計り知れない‥。

この国を訪れるたびにそう思わずにはいられないのだ。

 

 

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